十亀弘史の革命コラム-26- 帝国主義者トランプ倒せ
十亀弘史の革命コラム-26-
帝国主義者トランプ倒せ
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副題が「ドナルド・トランプの創り方」というアメリカ映画「アプレンティス」を見ました。今回の大統領選の直前に公開され、トランプが「中身は中傷のゴミの山で、製作者は人間のクズだ」として上映禁止を画策した作品です。実業家としての成功を追い求めていた1980年代のトランプを、事実に基づいて描き出しています。アプレンティスは弟子という意味です。トランプは強烈な悪徳弁護士ロイ・コーンから成功の秘訣(ひけつ)を教わり、彼のまな弟子としてその作法を身につけて行きます。
1927年生まれのロイ・コーンは「赤狩り」時代には検事としてマッカーシーに次ぐ権力を握り、反共主義の急先鋒(きゅうせんぽう)として苛烈(かれつ)な弾圧を実行しました。ローゼンバーグ夫妻を死刑に追い込んだことを生涯誇りにしていた人物です。そのロイ・コーンがトランプに、成功のための次の三つのルールをたたき込みます。〈第1に攻撃こそ全てだ。第2に絶対に非を認めるな。第3に何があろうと勝利を主張しろ〉。トランプはそのルールを堅持し、不動産事業においてうそや脅かしや非合法すれすれの手段を使ってのし上がり、やがて師を超える反共主義と新自由主義、排外主義と差別主義の「怪物」になって行きます。
三つのルールは今のトランプもそのままだと感じさせるリアルさを持っています。他にも例えば、1年間トランプに密着して彼の「自伝」を書いたトニー・シュオーツは、要旨次のように語っています。「トランプは人との出会いでは勝つか負けるかしか考えず、言葉は人を支配する目的だけで使用する。内省とは無縁で、結果など気にしない」
とはいえ、私たちが対決しなければならないのは、トランプ個人のそのような個性や人格ではありません。軍事力に訴えてでもアメリカの利害をむき出しに押し出して行く帝国主義権力者としてのトランプの力です。ガザから全てのパレスチナ人を追い出すという、絶対に許せない暴挙をもくろむ帝国主義者です。ウクライナと中東の戦争を「片付け」て(しかし実際には一層の混乱を押し付けながら)中国への侵略戦争に全力を集中しようとしている米帝の権力です。その外交と内政の全ての政策が深刻な矛盾に満ち、自国の危機を一層深めるだけだとしても、いや、そうだからこそトランプは中国侵略戦争を一気に不可逆的に引き寄せます。トランプを打ち倒せ。
(そがめ・ひろふみ)
2025.2.17
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