日米会談・共同声明を弾劾する 中国侵略戦争へ安保大転換 軍事費の更なる増額も確認
週刊『前進』04頁(3383号03面01)(2025/02/17)
日米会談・共同声明を弾劾する
中国侵略戦争へ安保大転換
軍事費の更なる増額も確認
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(写真 トランプ・石破の日米首脳会談弾劾!中国侵略戦争会議を許さないぞ!——2月7日、国会前に怒りの声がとどろいた)
2月7日、トランプと石破による初の日米首脳会談が行われ、共同声明が発表された。その最大の核心は、「米国第一」を掲げて戦後世界体制を破壊しながら中国侵略戦争・世界戦争に向かってなりふり構わず突き進むアメリカ帝国主義・トランプとの間で、日本帝国主義としてあくまでも「日米同盟基軸」を貫くこと、日米同盟の中国侵略戦争同盟としてのさらなるアップデートを推し進め、日米共同で中国侵略戦争に突き進むことを確認したことである。だが同時にトランプは、日帝をこの戦争の前面に立たせることを追求しつつも、対日要求・対日争闘戦を一層エスカレートさせる姿勢を隠さない。日帝・石破はこれに追い詰められながら、帝国主義としての延命を求めてますます凶暴に中国侵略戦争に突き進もうとしている。
軍事協力「かつてなく強固」
2月4日にイスラエル首相ネタニヤフと会談し、ガザ住民の強制移住=民族浄化と「米国によるガザ所有」をぶち上げたトランプは、この帝国主義的民族抹殺・領土強奪宣言に全世界の人民が猛然と弾劾の声を上げる中で、大統領就任後2人目となる首脳会談相手として日帝・石破をホワイトハウスに迎えた。米帝・トランプにとって日帝は、イスラエルと並ぶ最も重要な「戦争同盟国」であり、対中対決=中国侵略戦争の要であり、したがってまた、他の同盟国がトランプの言動に対して動揺や反発を示す中でも、あくまで揺るぎなく対米支持を表明するような「戦略的パートナー」と見なされているということだ。会談を経て採択された日米共同声明は、その冒頭、中国を念頭に「自由で開かれたインド太平洋を堅持する」と述べ、「暴力の続く混乱した世界に平和と繁栄をもたらす、日米関係の新たな黄金時代を追求する決意を確認した」などと明記した。それは、まさに従来の日米関係の延長ではない、中国侵略戦争・世界戦争への本格的な突入情勢下における日米同盟の大転換を意味するものである。
共同声明は、まずもって日米の「安全保障・防衛協力が、かつてないほど強固になっていくことへの共通の願望」を明記し、あくまでも軍事同盟としての日米関係の強化を推し進めることを確認。続いて「日本は、日本の防衛力の抜本的強化への揺るぎないコミットメントを改めて表明し、米国はこれを歓迎した」「米国は、核を含むあらゆる能力を用いた、日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントを強調した」とし、釣魚島(尖閣諸島)への安保条約第5条の適用、米軍・自衛隊の指揮・統制枠組みの向上、南西諸島における「2国間のプレゼンス」の向上、日米の防衛産業力強化への協力などを通じて、「日米同盟の抑止力・対処力をさらに強化していく」と明記した。宇宙開発やサイバー分野での安保協力も確認した。
そして重要なことは、2027年度までに「日本の防衛力の抜本的強化」を図るとしてきた従来の確認に加えて、「27年度より後も抜本的に防衛力を強化していくこと」を新たに確認したことである。トランプが会談後の共同記者会見で、防衛費を27年度までに国内総生産(GDP)比2%まで引き上げる日帝政府の方針を評価した上で、「今日の協議によって、さらにかなり増える」と語ったのは、この共同声明の確認を踏まえたものだ。米国製兵器の大量購入を含め、日本の軍事費をますます天井知らずに引き上げていくことをトランプとの間で決定したのだ。日本のマスコミなどは、今回の会談ではトランプから特に目立った対日要求もなく、終始「円満に」話し合いが行われたかのように牧歌的に描いているが、実際には中国侵略戦争に向けたとてつもない大軍拡のエスカレーションが確認されているのだ。
さらに、辺野古新基地建設を含む米軍再編計画の推進、日米安全保障協議委員会(外務・防衛担当閣僚会合=2プラス2)の早期開催なども確認された。
中国敵視、日米矛盾も激化
共同声明ではまた、中国を念頭に「日米豪印(クアッド)、日米韓、日米豪、日米比」といった同盟国との連携強化を確認し、中国を名指しして「力または威圧によるあらゆる現状変更の試みへの強い反対」を表明。さらに「台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を強調」した上で、「国際機関への台湾の意味ある参加への支持」まで表明した。これは台湾を明確に中国とは別個の「独立国家」として扱う動きにほかならず、これ自体が中国への激しい挑発である。そして、これと一体で北朝鮮の核・ミサイル開発やロシアとの軍事協力に対しても「対処する必要性を強調」した(ただしウクライナ戦争やロシアそのものについては、トランプのウクライナ停戦策動を背景に直接の言及を避けた)。その一方で、過去の日米共同声明では繰り返し確認されてきた「法の支配」という定型句が、今回は消滅した。もはや国際法などのブルジョア法規範すらも傲然(ごうぜん)と無視して「米国第一」の帝国主義的利害を貫こうとするトランプに対しても、日帝・石破はどこまでも「日米同盟基軸」で一体化していくことに合意したのである。そして共同声明の結論は、近い将来の「トランプ訪日」の確認で締めくくられた。
だが、同時に確認しておくべきことは、このようなトランプ反革命のもとでの日米関係は、矛盾や対立のない「蜜月」のようなものではなく、また日帝・石破の「対米従属」によって説明されるようなものでもなく、むしろ米帝トランプの対日争闘戦のエスカレートによる日米矛盾のすさまじい激化、そのもとでの日帝のかつてない絶望的危機をもたらさずにはおかないということだ。すでにトランプは「対日貿易赤字1000億㌦の解消」に向け米国産石油・液化天然ガス(LNG)の購入を迫り、共同会見では「日本はまもなく歴史に残る記録的な量の輸入を始める」と断言した。
日本製鉄のUSスチール買収計画についても、トランプはあくまで買収阻止の姿勢を崩さず「多額投資」のみを日鉄に求め、会談後の9日には「誰もUSスチール株の過半数を保有することはできない」と明言した。また10日には米国が輸入する鉄鋼・アルミ全製品に例外なく25%の関税を課すことを発表、バイデン前政権による日本への免除措置も撤廃が不可避となった。会談直後の「日本は関税をふっかけられずに済みそうだ」というマスコミの希望的観測は一夜で吹き飛び、日本政府は対応に追われている。さらにトランプは今後、半導体、医療品、銅、原油などあらゆる分野に関税を発動する構えだ。
だがこうした米帝トランプの関税政策は、世界経済の収縮、分裂・ブロック化と戦後世界体制の最後的崩壊を著しく促進し、米帝経済の危機をもますます深める。そして結局は中国侵略戦争・世界戦争に一切の活路を求める以外にないところに米帝自身を追い込むのだ。この戦争を絶対に許さず、トランプ反革命粉砕・石破打倒の内乱的決起をつくり出し、反帝国主義・反スターリン主義世界革命の突破口を今こそ開こう。
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