2・9国鉄集会 戦争阻む階級的労働運動再生へ

週刊『前進』04頁(3383号02面01)(2025/02/17)


2・9国鉄集会
 戦争阻む階級的労働運動再生へ

(写真 集会の最後に発言者が全員登壇し、国鉄闘争全国運動呼びかけ人の山本弘行さんがまとめの発言に立った【2月9日 東京都内】)

基調報告

戦争情勢に立ち向かう労働者の闘いを
 国鉄千葉動力車労働組合委員長 関道利さん

 日頃より国鉄闘争へのご支援とご協力、ありがとうございます。
 初めに、昨日、6人の学生が不当逮捕されました。2024年の11月労働者集会で、前年の1・5倍の結集をかちとった仲間たちです。早期奪還を目指し、冒頭に弾劾します。
 国鉄分割・民営化から38年を迎えます。それは戦後最大の労働運動解体攻撃であり、改憲をやって戦争国家へと転換していくための国家的不当労働行為でした。
 この攻撃との闘いは決して過去のものではありません。私たちは、まさに「今現在の攻防点」だと訴えてきました。その理由は、現在の激しい世界戦争情勢との対決です。

世界大戦前夜の階級攻防

 トランプ政権の再登場は世界を揺るがしています。就任演説では「富を増やし、領土を拡大する」と言い、対中国の追加関税を発動しました。かつて世界の分割・再分割をめぐって2度の世界戦争を引き起こした論理とまったく同じです。まさに世界大戦前夜です。
 「トランプのおかげでガザ停戦が実現した」というのはペテンです。イスラエルは今もパレスチナの人々を殺し続け、トランプは「アメリカがガザを所有し、パレスチナの人々を追い出して再開発する」と発言しています。あくまでパレスチナ人民の民族解放の闘いを圧殺するということです。
 その最大の眼目は、国力を対中国に集中させることにあります。国防長官ヘグセスは、対中国を最重視するために「戦争を終わらせ、より大きな脅威に軍事的資源を優先して振り向ける」と語っています。
 こうした現実は、「トランプ個人がむちゃくちゃだから起こっている」わけではありません。戦後、絶対的な力を持ってきたアメリカはその力を失い、国内の支配をまともに維持することもできない状況です。戦時下の歴史的インフレに賃上げは追いつかず、平均的な労働者の実質賃金は50年前を下回っています。支配の崩壊的な危機があるから、トランプのようなファシスト的な人物が2度も大統領に選ばれているのです。
 トランプ政権は、帝国主義としての生き残りをかけて中国侵略戦争にますます突き進もうとしています。その要になるのが日本の全面的な参戦です。2月7日の日米首脳会談の共同声明も、完全に中国に対する侵略戦争を構えるということが中心です。冒頭から「自由で開かれたインド太平洋を堅持」と語り、中国を名指ししています。そして、日米軍事同盟の強化が強烈に打ち出されています。日米豪印のクアッドや日米韓軍事同盟などの中国包囲網の強化が確認されています。
 石破はトランプにすり寄るように対応していますが、「アメリカの戦争に巻き込まれる」という問題ではありません。自ら積極的に中国侵略戦争へ突き進むことで、生き残りを図っています。南西諸島が急速に軍事拠点化されている現実、自衛隊と米軍との一体化、NATO諸国を含めた巨大な軍事演習の数々を見れば、それが「防衛のため」などではまったくないことは明らかです。
 アメリカ・日本の側から圧倒的な軍事力で中国を打ち破ろうという侵略戦争が開始されれば、起こるのは世界戦争・核戦争です。これを絶対に阻止する闘いが、日本でこそ求められています。
 韓国の闘いを見てください。闘う労働運動の解体を狙ったユンソンニョルの非常戒厳に対して、民主労総はただちに国会前へ結集し、ゼネストを配置してユン政権退陣まで闘う方針を打ち出しました。鉄道労組はその先頭で、翌日から無期限ストに立ち上がりました。民主労総とは2003年以来、11月集会などを通して、かけがえのない連帯を築いてきました。私たちは、この仲間たちの決起に応える闘いを、巨大な反戦闘争の登場と階級的労働運動の再生としてかちとらなければなりません。
 国鉄闘争は、今に至るまで改憲を許さない階級的な力関係をつくってきました。侵略戦争に向けて国家のあり方そのものの大転換が問題になる中で、1047名解雇撤回の闘いはまさに「現在の攻防点」です。

3月ダイ改へスト構える

 もう一つの理由は、産業報国会としての道を進む連合との対決です。
 春闘をめぐる状況を見れば、政府も財界も「賃上げ」を叫び、昨年の春闘の賃上げ率は「33年ぶりの高水準」などと報道されていますが、実際には賃金はまるで上がっていません。
 経団連は経労委報告で今年を「力強い賃上げを定着させる年」としています。23年を「起点」、24年を「加速」と位置づけた上での「定着」ということです。しかし、実質賃金はこの3年連続でマイナスです。「名目賃金は上がった」と言いますが、一部の大企業の正社員を除く労働者にとって「歴史的な賃上げ」などどこの話かということです。この激しい物価高を考えれば、実質的な大幅賃下げが続いています。
 仮に「起点」だとしても、あまりに低い「起点」を作ってきたのは誰なのか。労働者の4割を非正規職に突き落とし、権利と雇用を破壊してきたのが自民党や経団連じゃないですか。そいつらが「賃上げだ」などとうそぶくこと自体がふざけています。
 しかも、賃金を抑制するということもはっきり打ち出されています。そもそも連合の要求自体が5%や6%で、賃金を抑え込む役割を果たしているわけです。それに対して経団連は「中小企業で6%以上は高すぎる」と強烈に反応しています。こういう連中に対する「ふざけるな」という怒りが必要だと思います。
 一方で、「賃上げ」と言わざるを得なくなっているのは、それほど危機が深刻だということでもあります。 新自由主義攻撃は労働者の雇用を徹底的に破壊し、医療や教育など社会そのものを崩壊させてきました。ところが、いざ本当に戦争に向かおうというとき、目の前には大軍拡のための増税を言い出すこともできない現実があるわけです。彼らも労働者の中に積もりに積もった怒りがあることを知っています。だから、「食わせられなくなった」現実を前に反乱を恐れているのです。
 膨大な数の労働者が非正規職に突き落とされ、労働者の権利と生活が破壊され、これほどの低賃金を強制される社会の出発点になったのも、国鉄分割・民営化です。敵の支配が危機にあるからこそ、すべての出発点であった国鉄分割・民営化との闘いに勝利することが決定的です。
 その上で、経労委報告で言われていることは雇用のさらなる破壊と極限的な流動化であり、「付加価値の最大化」「アウトプットの最大化」、つまり「どれだけ金を生み出せるか」が重要だということです。
 これに対する連合の方針は犯罪的です。「賃上げを『人への投資』や『付加価値の源泉』と位置づけたことは評価できる」などと、労働組合の側から言っているわけです。特に今の大軍拡の中で、「生産性向上で賃上げだ」というのは、結局、戦争にも積極的に加担していくことになります。まさに産業報国会そのものです。日本最大の労働組合のナショナルセンターである連合が、自国の侵略戦争に加担していこうとしているわけです。それは労働者全体の意識を大きく規定しています。
 国鉄分割・民営化―総評解散から結成された連合は、そもそも労働者の階級意識を解体し、労働運動を資本主義擁護の運動にするという狙いのもとに組織されました。この連合を打倒し、階級的労働運動を私たちの手でつくり上げなければなりません。
 戦争に動員されるのが労働者なら、戦争を止める力があるのも労働者です。国鉄闘争に勝利し、連合結成の出発点である分割・民営化に労働者の側から決着をつける----この闘いは今の時代に改めて決定的な位置にあります。
 JRで続発する事故を見てください。考えられない安全の崩壊です。民営化体制の破綻です。JR路線の6割で利用者数が廃線基準以下というのも、分割・民営化が完全に失敗だったということです。
 3月ダイヤ改定に対し、動労千葉は「久留里線廃線」問題を焦点にストライキを構えて闘いに立ち上がります。JRはすでに廃線方針を発表し、君津市は抵抗もせずに受け入れを表明し、いつ廃線が発表されてもおかしくありません。今、この問題を最大の焦点に押し上げて闘わなければならないという決意です。今回のダイ改でも、貨物での千葉機関区の廃止・派出化や、鴨川の検査派出の廃止など、重大な攻撃がかけられています。3・15ダイ改闘争に断固ストを構えて立ち上がります。
 分割・民営化の矛盾は爆発し、闘いは「勝利まであと一歩」です。現在、1047名解雇撤回の裁判闘争は高裁段階です。新たに署名運動を開始し、リーフも発行しました。第1回裁判は全国闘争として決戦を構えたいと考えています。

関生支部への弾圧粉砕を

 今年の沖縄闘争、広島闘争を決戦的に闘い抜くことを訴えます。
 戦後80年ということで、沖縄にも広島にも天皇が登場しようとしています。それで一切を「終わったこと」にして、再び戦争に突き進む出発点にしようという攻撃との対決です。
 この数年、11月集会に結集してくれている仲間の皆さんが、反戦闘争をつくり出すために全力を尽くして立ち上がっています。既成の運動体が軒並み力を失う中で、改憲・戦争阻止!大行進として、私たち自身の手で荒々しい闘いを取り戻す挑戦です。何波ものデモに立ち、新たな仲間たちの力も得て、可能性は切り開かれています。2025年を、大行進運動の大発展をかちとる年にしましょう。
 また、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の湯川裕司委員長に対して「懲役10年」の攻撃が狙われています。関生支部とともに2・26判決日闘争を闘い抜き、この攻撃を断固粉砕しましょう。
 そして、すべての闘いの力を11月集会に大結集していただくことを訴えます。

国鉄1047名解雇撤回高裁宛て署名運動を全国で

正念場を迎えた裁判闘争
 動労千葉副委員長 中村仁さん

 1047名の当該で、動労千葉副委員長の中村です。本日は同じく当該の高石正博さんもここに参加しています。私からは、1047名解雇撤回闘争についてお話しします。

JRの偽証を暴く

 1047名解雇撤回をめぐる労働委員会闘争、そして裁判闘争は、今日お配りしたリーフレットにある通り、「第3ラウンド」の、本当に最大のギリギリの局面に入っています。
 政府は「国鉄改革法がある限り不当労働行為はない」と主張してきましたし、JRは「自分たちは国鉄が作成した候補者名簿の全員を採用した。不当労働行為があるなら国鉄だ」と主張してきました。
 しかし、私たち動労千葉は旧国鉄・鉄建公団を被告とする裁判を行い、一審の伊藤証言では、国鉄が作成した採用候補者名簿に中村仁を含む動労千葉12人、計117人が記載されていたことが明らかになりました。
 しかしその後、「不採用基準」なるものが作られ、名簿から私たちの名前が削除されたことも明らかになりました。東京地裁の白石裁判長はこのことを不当労働行為と認定し、不採用基準の策定がなければ私たち117人はJRに採用されたと判決を書いたわけです。
 その後の闘いによって、JR設立委員会が不採用基準の作成に関わってJR側に要求し、国鉄が名簿から私たちの名前を削除したことも明らかにしました。JRは1987年の国鉄分割・民営化当時、「自分たちは無関係だ。採用者候補の名簿作成に関わることはできない」と言っていたんですよ。このすべてが偽証であったことが明らかになったわけです。
 不当労働行為の当事者が、その核心をずっと隠して、うそを言ってきた。本当に、裁判で語ってきたすべての主張がうそだったわけです。こんな不正義がまかり通っていいはずがありません。

団結すれば勝てる

 国鉄分割・民営化攻撃は、労働者の団結を分断し、労働組合を解体する大攻撃でした。そして民営化、規制緩和や労働者の雇用・権利破壊攻撃の始まりでした。資本の歯止めなき強引な金もうけを野放図にする究極の手段であり、戦争をできる国、戦争をする国にするための攻撃でした。
 確かに労働者は生きるために資本や国家のもとで働き、賃金を得て暮らしていかなければなりません。1980年代初めには40万人いた国鉄労働者を新会社JRでは20万人にする攻撃、2人に1人が解雇される攻撃にどう立ち向かうのか。国鉄労働者一人ひとりに突きつけられました。自分だけは残りたいと組合を脱退し会社の施策に従う者や、絶望して自ら退職した労働者もいました。
 しかし、私たち動労千葉は組合員が団結すれば展望をつかむことができる。全国の労働者が決起し、全国から連帯と支援を受け、不安もありましたが、勇気をもって、ちょっとやせ我慢をして、国鉄分割・民営化による首切り攻撃に抗してストライキを闘いました。労働者が一つになって団結して立ち向かえば勝利すること、負けないことを、確信と展望を持ってつかむことができました。

裁判所圧倒しよう

 資本や権力が一番怖がっているのは労働者の団結です。鉄建公団訴訟では国鉄分割・民営化の国家的不当労働行為を暴き、「不採用基準に基づいて労働者をJR不採用としたことは不当労働行為」と、2015年に最高裁で認めさせました。これは、国鉄分割をめぐる唯一の画期的な決定でした。
 不当労働行為については、さかのぼって原状回復が大原則です。解雇撤回、JR復帰・採用以外に私たちの結論はありません。最高裁決定は、動労千葉弁護団長・葉山岳夫弁護士を先頭に、国鉄闘争全国運動が呼びかけて、全国の仲間の皆さんが解雇撤回闘争をめぐる全国10万筆署名運動をしてくれた結果でした。
 署名運動は、労働者、市民、学生、すべての闘う仲間を団結させる原動力になります。ぜひこの署名に皆さんのお力をいただきたいと思います。高裁の第1回裁判期日が決まりましたら、直ちに皆さんにお知らせします。全国労組交流センターの総会でも、裁判所を取り巻く1千人の総結集を呼びかけました。裁判所を圧倒しましょう。
 真実は一つです。労働運動の力で真実を認めさせる。国家権力やJR資本に「国鉄分割・民営化は間違っていました」と言わせます。そして高石さんや中村を含め、名簿から削除された仲間を解雇撤回させ、JRに復帰させる。
 戦争国家づくり、戦争を絶対許さない。そして、「生きさせろ」の声を皆さんと一緒に上げます。闘いましょう!

(写真 新発行のリーフレット)

集会へのメッセージ

ストを組織し戦争止める
 全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部副委員長 武谷新吾さん

 結集された仲間の皆さんの、資本と権力に妥協しない原理原則の闘いに敬意を表します。関生支部は、2018年から始まった、資本と権力が一体となった産業別労働運動つぶしの弾圧を跳ね返し、反転攻勢の闘いに挑んでいます。
 全国の仲間の支援により、和歌山広域協事件や滋賀ビラまき事件など、3件11人の無罪判決をかちとりました。特に、23年3月の和歌山広域協事件の高裁判決では、関生支部を産業別労働組合と認定し、関生支部の組合員がいない企業へも憲法28条の団結権等が保障されることを示しました。この無罪判決を活用して、セメント・生コン産業のみならず、あらゆる産業に産業別労働組合の組織化と産業別労働運動を拡大する運動を展開します。
 そして、京都3事件の湯川委員長への懲役10年の求刑、加茂生コン事件高裁差し戻し審、滋賀事件の湯川委員長への実刑4年判決とコンプライアンス活動の有罪判決の控訴審など、正当な組合活動を犯罪とした刑事事件の無罪判決をかちとるために全力を尽くします。2月26日には、京都3事件の判決が言い渡されます。全国の仲間の結集を呼びかけます。労働組合つぶしは戦争への道です。関生支部は、産業別労働運動の拡大と産業別ストライキを組織して戦争を止めます。11月労働者総決起集会に3500人の結集をかちとり、階級的労働運動をよみがえらせましょう!

闘う中で展望を切り開く
 全国金属機械労組港合同委員長 中村吉政さん

 長きにわたる闘いの中で、多くの不当労働行為を暴き、果敢に闘い続ける皆様の運動は労働者に勇気をもたらす指針です。
 この一年間は、港合同昌一金属支部への組合役員選別排除攻撃の中で、多大なご支援をいただきました。
 港合同の真骨頂は、倒産であろうと、組織破壊攻撃であろうと、団結権を軸として闘い、闘う中で展望を切り開き、小さくても仲間が集う組織を残すことを心掛けてきました。貴集会の成功を祈念します。

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