戦争翼賛国会粉砕を
戦争翼賛国会粉砕を
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「減税しない」石破が答弁
あくまで防衛増税強行狙う
8兆7千億円という大軍拡予算の年度内成立を狙う石破政権は、その財源をひねり出すための大増税に道を開こうと躍起になっている。
インフレが高進する中、政府の税収は国内総生産(GDP)の伸びを超えて増えている。所得が増えないのに税負担だけが増え、労働者人民の生活苦は深まる一方だ。だが石破は2月3日の衆院予算委員会で、税収の増大分を減税に回すべきだという質問に対して、「(税収の増大分を)お返しするような財政状況ではない」「国の財政状況を、不測の事態に備えて、さらに安定させていくことが必要だ」と答弁した。
「不測の事態」とは戦争のことだ。中国侵略戦争の遂行に要する軍事費を確保するため、減税には応じられないと石破は言い放ったのだ。
2022年12月、岸田政権は安保3文書を改定し、防衛費をGDP比2%に拡大すると決定して、「5年で43兆円」の大軍拡に乗り出した。その際、政府は所得税と法人税、たばこ税を増税して軍事費に充てる「防衛増税」の方針も決めた。だが、増税への人民の怒りは強く、その実施は先送りにされてきた。
昨年末に石破政権は、法人税とたばこ税の増税は26年4月から実施すると決めたものの、所得税の増税についてはいまだ何も決定できていない。
だが、石破はこの事態を放置しているわけにはいかない。財源の見通しが立たなくても、自衛隊はすでに長射程ミサイルなどの殺傷兵器の大量購入を始めている。さらに、トランプ政権がGDP比3%、あるいはそれを上回る軍事費の拡大を日本政府に突きつけてくる可能性はきわめて高い。それに対応し、アメリカと一体となって中国侵略戦争を遂行する体制をつくれなければ、日本帝国主義は成り立たなくなる。だから石破は減税を拒否し、防衛増税を強行するための必死の模索を開始したのだ。
国会答弁で石破は、「法人税収は企業の業績が絶好調で伸びている。所得税は高額所得者の所得税は増えているが、税金を納められない方もたくさんいる」とも言った。資本の利潤はかつてなく増大する一方、労働者の賃金は抑え込まれ、格差が拡大している現実を認めたのだ。だが、石破にはそれを是正する気など全くない。
戦争と戦争経済化が進めば、軍需企業が膨大な利益を手にし、格差の拡大は極限まで進む。それを推進しているのが石破政権だ。
増税の根本にあるのは中国侵略戦争とそのための大軍拡だ。だが、国会内にはこれを問題にし批判する勢力は全く存在しない。石破に減税を求めた国民民主党は、中国への敵意をあおり戦争を翼賛する最先兵だ。維新の会も同じだ。
大軍拡を推進しながら減税を叫ぶのは、人民を欺くペテンに他ならない。その先にあるのは破滅的な大増税だ。総翼賛化した戦争国会に怒りをたたきつけ、反戦闘争を巻き起こして大軍拡予算を阻止しよう。
社会保障破壊し戦費調達
医療・年金の大収奪許すな
石破政権は空前の大軍拡予算と一体で戦時財政への歴史的転換を強行し、社会保障解体と大収奪、戦時下の「無限増税」に突進しようとしている。それ自体がまぎれもない階級戦争だ。
石破は施政方針演説で防衛力の抜本的強化とともに、医療費の患者負担を巡り「高額療養費制度の見直し」を公言した。患者負担を増額し無慈悲に取り立てようというのだ。これに激しい怒りが噴出している。
患者負担引き上げで医療を奪う暴挙
高額療養費制度は公的医療保険給付の一つとして、1973年に導入された。医療費が高額になっても1カ月の自己負担分に上限を設けることで患者の負担を軽減する制度だ。上限引き上げは労働者人民が必要な医療を受けられなくなる命の問題に直結する。全国がん患者団体連合会(全がん連)は生活費を切り詰めて治療を受ける患者の声を紹介し「これ以上医療費がかかると治療をあきらめざるを得ない。死なねばならないのか」「既に苦しむ患者や家族への『最後の一撃』になりかねない。急病で制度に頼る可能性がある現役世代にも影響する」と強く反対している。
しかし石破はこうした訴えを踏みにじり、「一部見直しを検討」と言いつつ、70歳以上の高齢者や住民税非課税世帯も含めた患者負担の大幅増で国の支出を削ることを狙う。今年8月からの上限引き上げを前提に高額療養費関連で約200億円を削減する新年度予算案を国会に提出している。
年収106万未満から年金強制徴収
厚生労働省は1月24日、年金保険料の徴収を拡大する年金改革関連法案の概要を自民党に示した。
パート・アルバイトなどが免除されてきた厚生年金保険料の「年収106万円の壁」を取り払い、企業規模の要件も緩和を経て撤廃。労働時間週20時間以上という要件は残すが、どんなに低収入だろうと零細企業だろうと強制徴収できるようにする。これを「将来受け取れる年金が増える」などといううそでだまして実行しようとしているのだ。さらに年金財源不足を口実に、賃金が年798万円以上の労働者の保険料を、最大で月約9千円上げることも盛り込んだ。
物価高騰下での基礎年金(国民年金)の削減に続き年金支給開始の70歳への引き上げも言われ出した。年々上がる介護保険料に加え、その適用範囲を狭め、利用者負担を2~3倍化することも画策されている。労働者人民にとっては強制徴収され死ぬまで働かされて放り出される地獄が強いられようとしているのだ。
かつて日本帝国主義は15年戦争下で様々な名目での大増税、紙幣と国債の大増発と共に年金制度を創設し保険料を戦争費用に充てた。社会保障の全面的破壊と隠れ増税の強化は、全てを戦争に注ぎ込む国家体制―戦時財政への転換だ。戦争と生活破壊への怒りを爆発させ、中国侵略戦争阻止・石破打倒へ闘おう。
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社会保障破壊・大収奪のポイント
医療費の患者負担の上限を引き上げ
〇8月から上げ始め年収370~770万円で最大月5万9千円増の13万9千円に
〇70歳以上の外来の負担上限を月2千~1万円上げ、住民税非課税世帯も
➡医療を受けること自体を抑制
年金保険料を増額、パートからも徴収
〇賃金年収798万円以上は月9千円増
〇厚生年金保険料を徴収する対象を、零細企業で週20時間以上働く低収入の労働者にも拡大(学生を除く)
➡労働者全体から大幅に取り立て
介護保険の対象狭め、負担2~3倍化も
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