革共同中四国政治集会・基調報告 トランプ反革命と中国侵略戦争、25年決戦の戦略的課題について

週刊『前進』04頁(3381号03面02)(2025/02/03)


革共同中四国政治集会・基調報告
 トランプ反革命と中国侵略戦争、25年決戦の戦略的課題について

革命と反革命の全面激突へ

 1月20日のトランプ大統領就任をもって全世界が大激震にたたき込まれ、アメリカ帝国主義の延命をかけた中国侵略戦争・世界戦争への突進が急加速される一方、アメリカ、韓国をはじめ各国で階級闘争の新たな実力闘争的発展が力強く始まりました。革共同が「前進」新年特別号(第3376号)掲載の政治局1・1アピールで打ち出した時代認識と路線・方針の正しさは、この「全速力」で進む世界情勢によって疑問の余地なく証明されています。求められていることは「トランプ反革命粉砕! 石破打倒! 中国侵略戦争阻止!」の25年決戦の大衆的・実力闘争的な大発展と、それを通じた革命党の強大な建設をかちとることです。そのために、以下、1・1アピールを土台としつつ、①トランプ反革命登場の意味、②そのもとでの中国侵略戦争の急加速と日本帝国主義・石破政権の動向、③これと対決する25年決戦の戦略的課題について提起します。
 まずトランプ反革命についてですが、20日の大統領就任式でトランプは「米国の黄金時代がいま始まる」とか「米国の完全な復興と〈常識の革命〉を始める」といった言葉で、自らの大統領就任が米国史上においていかに「革命的」な転換点になるかを強調しました。そして実際にその転換性を誇示するように、就任初日の数としては歴代最多となる26本の大統領令に署名しました。バイデン時代の大統領令78本の無効化、連邦議会議事堂襲撃で有罪とされた約1500人への恩赦・減刑、世界保健機関(WHO)からの脱退、パリ協定からの離脱、「不法移民対策」のための南部国境への国家非常事態宣言などです。米帝の軍事・外交・内政のすべてを「米国第一」へと転換するために留め金を外し、これまで「非常識」と言われていたことを「常識」にする。まさに「疑似革命」です。
 さらにトランプは「米国民を豊かにするために外国に関税を課す」と述べ、来月にもカナダ・メキシコからの全輸入品に25%の関税を課すことを宣言しました。この「トランプ関税」こそ、米帝資本の競争力・製造能力の凋落(ちょうらく)ぶりを証明するものです。米帝が唯一・絶対の基軸帝国主義として世界に君臨し、そのもとで世界資本主義の「成長」をけん引する——そのような力を、米帝自身がとっくの昔に失ってしまったことの自己暴露にほかなりません。
 この大没落した米帝がそれでもなお基軸国として君臨するには、むき出しの帝国主義的利害を押し出し、軍事力に訴えてでもそれを貫徹するほかない。だからトランプは就任演説で「世界がこれまでに見たことのない最強の軍隊を再び構築する」「全世界に畏怖と称賛を呼び起こす」などと叫び、「領土を拡大する」とまで傲然(ごうぜん)と言い放ったのです。かつての第2次大戦では、米英仏を軸とする既存の帝国主義世界秩序に挑戦する後発の帝国主義として、ドイツ帝国主義と日帝が最も凶暴な戦争放火者となりました。ところが今では、基軸国・米帝が自らの帝国主義的利益を「第一」に押し出し、戦後の国際秩序・枠組みをぶち壊そうというのですから、その現状破壊性は「ベルサイユ体制打破」を掲げたヒトラーや「東亜新秩序」を掲げた日帝どころの話ではありません。
 しかしながら、ここで同時に確認しておくべきことは、1・1アピールでも述べられている通り、今日の「トランプ政権下のアメリカ」をかつてのファシズム・ナチズムの政権掌握時のイタリア・ドイツと単純に同一視するのは誤りである、ということです。かつてのイタリア・ドイツとの最も決定的な違いは、今日のアメリカでは労働者階級人民の階級闘争を絶滅できていないことにあります。むしろ、米階級闘争は新たな高揚と質的転換の局面を迎えており、トランプ就任当日から全米で新たな闘いが始まっています(本紙前号村上和幸論文参照)。
 われわれが「トランプ反革命」と規定したのは、大没落する米帝の足下から音を立てて進行する内乱的決起、日々まざまざと米帝支配階級に迫ってくる「アメリカ革命の現実性」に対して、これをどんな手を使ってでも圧殺することを使命として登場した文字通りの「反革命」という意味です。帝国主義の危機と矛盾はこれから一層本格的に激化し、もはや米帝も世界も「トランプ以前」には戻れない。その中で、階級闘争は革命と反革命のむき出しの激突の時代を迎えました。労働者人民の生きる道は「民主主義の復活」などではなく、帝国主義そのものを打倒するプロレタリア革命以外にありません。

帝国主義の基本矛盾の爆発

 このようなトランプ政権下の米帝が結局はどこに向かっていくのかと言えば、中国侵略戦争にほかなりません。連邦議会の公聴会で、国務長官ルビオは「中国は米国がこれまで直面した中で最も強力で危険な敵」と述べましたが、これは第2次大戦で世界的覇権を争ったナチス・ドイツや日帝、あるいは戦後世界体制下で対峙(たいじ)した核大国・ソ連スターリン主義よりも、今日の中国の方が「強力で危険な敵」だということです。実際、「米国第一」を掲げて再び「米国の黄金時代」を築き上げるというトランプの総路線と、今日の「大国化」した中国スターリン主義の存続は絶対に相いれない。生半可な「取引」や外交的圧力を通じた「抑止」などで済まないことは明らかです。
 この米帝の中国侵略戦争について、1・1アピールでは、①帝国主義による文字通りの侵略戦争であり、②帝国主義の基本矛盾の爆発としての世界戦争の現代的な特殊な形態としてあり、③これを阻止する反戦闘争は帝国主義とスターリン主義を打倒する革命をかちとるまで闘い抜かれなければならない、と確認しました。ここで②の点について若干補足しますと、そもそもこの中国侵略戦争とは、米帝が第2次大戦後に絶え間なく繰り返してきた幾つもの侵略戦争——朝鮮戦争、ベトナム戦争、中東や中南米の諸国への侵略戦争、アフガニスタン・イラクなどへの侵略戦争などとは、根本的に性格を異にするものです。朝鮮戦争への米帝の全面参戦は、朝鮮およびアジアにおける戦後革命を最後的に圧殺し、帝国主義とスターリン主義の戦後世界体制のもとに抑え込んでいくための侵略戦争でした。またベトナムや中東諸国への戦争は、戦後世界体制の矛盾の集中点において民族解放の闘いが爆発し、帝国主義による支配の破綻があらわとなる中で、これを圧殺するために米帝が帝国主義の世界支配の維持をかけて仕掛けた侵略戦争でした。しかしこれらの戦争は、ただちにソ連や中国といったスターリン主義大国との全面戦争に、あるいは「帝国主義の基本矛盾の爆発としての世界戦争」に転化するようなものではなかったのです。
 だが今日の中国侵略戦争は、米帝・帝国主義にとっては自らの延命の条件でもあり、戦後世界体制を成立させる前提でもあったスターリン主義体制の「本国」に対して、米帝の側から直接かつ全面的に侵略戦争を仕掛けるというかつてない戦争です。そもそもスターリン主義は、帝国主義にとっては、自らの思い通りにならず、手なずけることもできない「異質な存在」としてあるのですが、そのスターリン主義体制を維持したままの中国が米帝に次ぐ「世界第2の大国」になってしまった。このような中国スターリン主義の存続と台頭を、もはや大没落しその世界支配力を日々刻々と衰退させ続ける米帝は、これ以上容認できなくなった。そして今や、帝国主義の基本矛盾がスターリン主義に対する侵略戦争・世界戦争として爆発しようとしているのです。
 したがってわれわれは、日帝・石破の大軍拡と改憲攻撃、米軍・自衛隊の一体化と軍事演習の激化、沖縄をはじめとした日本全土の軍事要塞(ようさい)化、そして8・6広島暴処法弾圧といった一切の動きを、米帝による中国侵略戦争への全面的突入という事態から徹底的に明らかにしなければなりません。石破とその背後にいる日帝ブルジョアジー中枢は、トランプ登場による「国際秩序」の激烈な崩壊におののき、追い詰められながらも、米帝に代わって「国際秩序」を維持する力など日帝にはないという中で、結局は米帝と共に中国侵略戦争に突き進んでいくしかないのです。
 24日に開幕した通常国会で施政方針演説を行った石破が、「防衛力の抜本的強化」や「改憲発議の実現」とともに最も強調したのは「党派を超えた合意形成」であり、「与党、野党とも責任ある立場で熟議し、国民の納得と共感を得られるよう努めることが必要」ということでした。トランプ登場・中国侵略戦争情勢の急加速という未曽有の情勢を、「少数与党」による政権運営という国内政治支配の崩壊的危機の中で迎えた石破は、野党を引き込んでまずは大軍拡予算を通過させ、さらに「対中国」を掲げた安保・軍事政策での与野党連携を通じて国会の総翼賛化を進める以外にない。これに何ら対決する中身を持たない野党が、ますます戦争推進勢力となっていくことは不可避です。
 中国侵略戦争阻止を真っ向から掲げて実力で闘う勢力の登場こそが、一層強く求められる情勢です。

革共同の飛躍の課題は何か

 われわれは、中国侵略戦争阻止の反戦闘争を文字通り「始まる前に戦争を止める」ものとして、またこのような全人類を破滅に導く戦争を引き起こす以外に延命できなくなった帝国主義を完全に打倒し、1917年ロシア革命が切り開いた世界史的過渡期を世界革命の完遂にまで推し進めるものとして、韓国、中国、アメリカをはじめ全世界のプロレタリアート人民と共にこの闘いを貫徹しなければならない。日帝こそがこの中国侵略戦争の要である以上、日本における「連帯し、侵略を内乱へ」の闘いの爆発に世界史の帰趨(きすう)がかかっています。
 ここで強調しておきたいことは、2024年1・1アピールと9回大会で「7・7路線の現代的再確立」をかちとり、「血債の思想」について再確認したことの重要性です。戦時下における帝国主義の差別・排外主義と対決し、帝国主義打倒に向かって階級闘争の内乱的発展をかちとっていくために、われわれ帝国主義本国のプロレタリアートとその革命的前衛党は、自分たちが帝国主義的民族排外主義のイデオロギーに汚染されてきたことを自覚し、これと意識的に対決し克服していく闘いを、まさに革命の成否を決する死活的課題として明確に位置づけなければなりません。
 「〔日本のプロレタリアートが排外主義に汚染されてきたことに対し〕われわれは、まさにこのプロレタリアートの革命的本質への絶対的信頼のうえにいっさいをうちたてる。プロレタリアートである以上、立ちあがってのりこえていくことができるという確信であり、厳しく自己批判できるという立場である。しかしこのことは、プロレタリアートは自動的に排外主義の汚染あるいはその蓄積からくる歴史的体質化から自由であるということではない。……この現実を自己の思想問題としてとらえることは絶対不可欠のことであった。自己の思想問題を自分の力で切開できる本当の階級性を獲得するために不可欠のたたかいであった。そのことは同時に、スターリン主義と社会民主主義をのりこえ、うち倒すという反スターリン主義の立場と内容をより鮮明にさせていくものでもあった」(『清水丈夫選集』第2巻序文)
 ここで「自己の思想問題を自分の力で切開する」と言ったときに、差別・抑圧の現実に対して告発・糾弾に立ち上がった人々の存在と闘いを具体的に措定し、学び、連帯していくということの徹底的に意識的な実践が問われるのです。このような意識性を欠いたところで、権力や資本と闘ってさえいれば労働者はそのうち階級性を獲得し、差別・分断を乗り越えて団結を取り戻せるかのように平板かつ自然成長的に考える傾向は、まったくの誤りです。この問題を、まさに革命的共産主義運動の内実を問うものとして、この運動が真に帝国主義を打倒して全人間解放をかちとるものとして発展し勝利しうるか否かを問うものとして、われわれは今こそ明確にさせなければならないのです。
 一昨年来のパレスチナ連帯闘争、11月集会の国際連帯闘争の地平は、このことを意識的に貫いてかちとられてきました。あるいはまた女性に対する差別・抑圧、性加害があふれかえる腐りきった社会の中で、革命的女性解放闘争の創成・発展のためにとことん意識的に闘い抜くことなくして、帝国主義打倒の革命的内乱を真に爆発させることはできないのです。

中央委と細胞の指導・被指導関係

 最後に訴えたいことは、1・1アピールの第Ⅴ章でも強調した通り、今こそわが革共同の強大な建設が求められているということです。そして、現実の階級闘争の内乱的な発展と革命党建設とを一体的に実現していくためには、「全国単一の党」としての強固な一致が不可欠です。革共同初代書記長の本多延嘉同志は、論文「革命党と革命闘争の堅実で全面的な発展のために」(『著作選』第2巻所収)の中で、「革命党の中央集権的な性格とその構成」について次のように実に明快に論じています。
 「党の組織構成上の主要な部分をなすものは中央委員会と細胞(支部)である。党の中央委員会は、党という一個の生命体において頭部をなすものであり、党の活動を全体として総括し、その基本的な方針にもとづいて全党を指導することを独自の任務としている。細胞(支部)は、党の基礎組織であり、労働者階級の労働の状態、人民大衆の生活の状態にもっとも密接した形態で、党の一翼として系統的に活動し、労働者階級と人民大衆を党に不断に結びつける役割をはたすものである」
 「県委員会、地区委員会や産別委員会は、党中央と基礎組織を結ぶ中間の党指導機関であり、党中央委員会の指導のもとに、その所属下の党組織を単一の党の指導系統に集中するものである。党を種々の傾向の集合体、種々の党組織、党機関の集合体ではなく、あくまでも中央集権的な一個の統一体として建設していかなくてはならない」
 中央委員会と細胞との関係、あるいは中央委員会と地区党との関係は、まさにこのような指導・被指導関係の明確化に基づく不断の全国単一党建設の論理として打ち立てられているのです。これに反して、地区党を党中央とは別個の、何か独自の考えや路線・方針をもった集団として組織しようとする傾向は、本多同志以来の革共同の組織原則とは無縁であり、党を「種々の傾向の集合体」へと解体させる極めて有害な解党主義的誤謬(ごびゅう)というほかありません。
 このことをあえて強調するのは、全国単一の革命党の強固な一致なくして、今日の全速力で加速する「本物の革命情勢」を闘い抜くことはできないからです。革命に全人生をかけ、陸続と自己解放的に決起する青年・学生・女性たちが求めているのも、まさにこのような単一の革命党です。
 革共同の革命的労働者党としての本格的建設へ、機関紙「前進」を武器に今こそ打って出ましょう。
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