戦時下の「スパイ防止法」 サイバー法・経済安保法許すな
戦時下の「スパイ防止法」
サイバー法・経済安保法許すな
中国侵略戦争阻止の決戦として国会攻防が重大になっている。大軍拡予算と一体で憲法21条の「通信の秘密」を破壊し国がメール・通信の恒常的監視を行う能動的サイバー防御法の制定が狙われ、5月には重要経済安保情報保護法の施行が迫る。戦時下の「スパイ防止法」の先取りであり、労働者の反乱におびえる日本帝国主義の戦時体制構築へ向けた重大な踏み込みだ。戦争国会粉砕へ闘おう。
能動的サイバー防御法
メールや通信を政府が監視
石破政権は1月16日、「サイバー攻撃を未然に防ぐ」と称して、①官民連携の強化、②通信情報の利用、③「侵入・無害化」を柱とする能動的サイバー防御法案の概要を示した。
政府の「有識者会議」は昨年11月、憲法が保障する「通信の秘密」は「公共の福祉のために制限を受ける」と提言。攻撃が顕在化する前にメール・通信情報を国が公然と監視・収集・分析できるようにする。電気や鉄道など基幹的インフラ事業者には国による情報取得の同意と報告の義務化を盛り込んだ(①と②)。アメリカ帝国主義が2001年9・11事件を機に「国家防衛・テロ防止」を掲げて「愛国者法」を制定し、無制限のメール監視、電話盗聴と不当捜索や逮捕、拷問的取り調べを「正当化」した事態を想起させる。
他国のサーバーに侵入して攻撃
③「侵入・無害化」に関して有識者会議は、国が攻撃者のサーバーにアクセス(侵入)し無害化(破壊)する権限は必要不可欠であるとして、「他国への主権侵害であっても国際法上許容される範囲内」での措置を求めた。
つまり、「敵からのサイバー攻撃」を口実に、他国の主権すら無視してこちらからサイバー攻撃をかけるということである。これ自体が戦争発動そのものであり、断じて許せない。
重要経済安保情報保護法
身辺調査で個人情報を掌握
石破は昨年11月、経済安保情報を扱う職員の適性評価(セキュリティークリアランス)制度の運用基準案を公表。兵器、人工知能(AI)や宇宙、サイバー・情報通信などの最先端技術、基幹的インフラとして電力や原発、鉄道、半導体供給網などを対象に指定した。重要経済安保情報保護法の5月施行で、機密情報を扱う職員の身辺調査が特定秘密保護法の「防衛・外交など」から前述の経済活動分野に拡大される。労働者を「国防」の名で監視し「秘密をもらせば懲役刑」と脅して戦争に動員する狙いだ。
秘密保護法下の有資格者は約3万人。97%が自衛隊や警察などだが、今後民間人が数十万人になるとの予測もある。機密情報の規定は抽象的で対象は限りなく広がる。調査は「特定有害活動及びテロリズム、重要経済基盤を害する活動」に関わっている可能性を口実に交友関係、渡航歴、親族まで調べ上げる。「適法な政治活動、市民活動及び労働組合の活動」は対象外となっているが、関西生コン支部への労組弾圧を見ればこんなものはまったく信用できない。そして、「政治上その他の主義主張に基づ」く反戦運動・反政府運動は調査対象となる。
警視庁が「軍事転用可能な装置の中国への不正輸出」をでっち上げた大川原化工機事件のような国家犯罪が横行することは確実だ。内部告発を含む「情報漏えい」に懲役刑が科され、マイナンバー制度と一体で個人情報を国が掌握・監視する戦時体制づくりが狙われているのである。
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サイバー法と経済安保情報保護法
サイバー法 全メールを日常的に監視
〇憲法の「通信の秘密の保護」を制限
〇国家機関がメール・通信情報を恒常的に監視・収集・分析できるようにする
〇「被害を受ける以前の段階」で、他国へのサイバー攻撃の発動が可能に
経済安保法 身辺調査を民間に拡大
〇AI、宇宙、サイバー・情報通信などの最先端技術、電力・原発・鉄道・半導体供給網など基幹的インフラ従事者を調査
〇親族を含め職歴、犯罪歴、重要経済基盤を害する活動歴、渡航歴、交友関係まで
〇「機密漏えい」で懲役10年の刑罰