「原子力の最大限活用」宣言 新エネルギー基本計画粉砕を

週刊『前進』04頁(3379号02面04)(2025/01/20)


「原子力の最大限活用」宣言
 新エネルギー基本計画粉砕を


 日帝・石破政権は12月17日、新エネルギー基本計画案で「原子力の最大限活用」を宣言し、原発再稼働の加速を打ち出した。中国侵略戦争・核戦争のために「エネルギー安全保障」を叫んで核政策を進め、2011年3・11福島原発事故をなかったことにして反戦・反核・反原発闘争をたたき潰そうとする大攻撃だ。

「エネルギー安保」叫び核政策を推進

 日帝は福島原発事故を居直り、被曝を強制し、命も古里も奪い、放射能汚染水を放出し続けてきた。今や石破は3・11以降「原発依存度を低減する」としてきた建前すら葬り、中国侵略戦争参戦の立場から「エネルギー安全保障」を声高に叫んで原子力=核の最大限活用を打ち出すに至った。それは日米安保同盟による核を含む「拡大抑止」の推進と完全に一体だ。
 新計画案は「エネルギー安全保障に重点を置いた政策の再構築」を強く主張。ウクライナ、中東の戦争を取り上げ「再生可能エネルギーか原子力かといった二項対立的な議論ではなく」として、原子力の最大限活用が必要不可欠であると結論付けた。

原発再稼働の加速と建て替えを明記

 計画案は、デジタル化で電力需要が増えると強調。泊、大間、東通、女川、柏崎刈羽、東海第二、志賀、浜岡、敦賀、島根原発を列挙して、再稼働の加速、運転期間の最長60年という上限の「抜け道」の整備と次世代炉の新設・建て替えを明記した。24年1月1日の能登半島地震では志賀原発の外部電源の一部が喪失した。稼働中であれば「第二のフクシマ」の惨劇が現実となる危機にあった。地震が起きれば避難など絶対にできないことも明らかになった。再稼働などもってのほかであり、今こそ「すべての原発を止めろ!」の声を大にする時だ。
 さらに計画案は23年の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)での「温暖化対策」のための「原子力3倍宣言」に触れ、「世界の適切な原子力利用の拡大に貢献していく」と論じた。福島原発事故後、今も小児甲状腺がんを始め被曝被害は継続・拡大し、核燃料デブリの回収すら何の打開策も見いだせないまま放射能汚染水が垂れ流され続けている。地球環境を問題にしながら、その最悪の元凶である原子力の利用拡大を公言することは断じて許されない。

核戦争絶対阻止の3・11福島闘争へ

 計画案の全てが中国侵略戦争・核戦争に突進しようとする攻撃だ。計画案は「使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進」と六ケ所再処理工場の竣工(しゅんこう)を「必ず成し遂げる」と強調した。原発から生まれる大量のプルトニウムは核兵器の原料そのものであり、日帝が原発を手放そうとしない最大の理由だ。
 石破は1月8日、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の役員8人と面会。被団協が核廃絶の具体的行動を求めたのに対し、石破はそれを無視して日米安保での核を含む「拡大抑止」の重要性をことさらに強調した。その意図は明白だ。
 日帝は8・6広島暴処法弾圧で反戦反核闘争の圧殺を画策した。石破がそれに続いて発表した計画案はヒロシマ・ナガサキ、そしてフクシマの闘いをたたき潰そうとする歴史的攻撃だ。
 しかし、広島暴処法弾圧を打ち破る闘いは、獄中5同志の奪還に続く公訴棄却を求め、今年の8・6闘争の爆発へ、いよいよ燃え上がっている。連合―国民民主党は原発再稼働を公然と掲げるに至った。中国侵略戦争阻止の25年決戦の焦点として、戦争国会粉砕の闘いとともに今年の3・11反原発福島行動がいよいよ重大な決戦となった。核と原発への怒りを解き放つ大闘争をやり抜こう。
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