大軍拡予算8.7兆円を決定 中国侵略戦争を想定し 攻撃・継戦能力拡充狙う

週刊『前進』04頁(3378号02面02)(2025/01/13)


大軍拡予算8.7兆円を決定
 中国侵略戦争を想定し
 攻撃・継戦能力拡充狙う


 昨年12月27日、石破政権は2025年度予算案を閣議決定した。防衛費=軍事費は前年度から9・4%上昇の8兆7005億円を計上、労働者階級人民の困窮を尻目に11年連続で過去最大を更新した。

中国本土に届く長射程ミサイル

 その内訳は、「中国侵略戦争予算」そのものである。外国の迎撃システムなどの射程圏外から攻撃できるスタンドオフ兵器として、1千㌔メートル以上の射程を持つ「12式地対艦ミサイル能力向上型」の艦艇発射型の取得には168億円、潜水艦に搭載可能な垂直ミサイル発射システム(VLS)の研究費には297億円が充てられた。これまでの海上自衛隊は、戦後的制約に規定されて戦闘艦に長距離攻撃能力を持たせることはしてこなかった。同様に潜水艦も主に相手の潜水艦に対抗するものとして魚雷を主兵装としてきた。それが日本の領海内から発射しても中国本土にまで届く長射程ミサイルを搭載し、文字通り「敵基地攻撃能力」を持つ。護衛艦「いずも」「かが」の空母化改修と一体で、自衛隊の侵略軍隊化が一段と進もうとしているのである。
 また、これに関連してGPSなどにも採用されている「衛星コンステレーション」を、長射程ミサイルの精密性を上げるために自衛隊用に構築する費用として2832億円が計上された。さらに、計2500億円にもなる多種類のミサイルの大量購入が盛り込まれた。ミサイルは最先端技術の結晶であるために旧式化が早く、保管や整備にも人員が必要だ。ゆえに、これまで自衛隊はミサイルの保有数を制限せざるを得なかったのである。それにもかかわらず、人員不足に苦しむ自衛隊がミサイルの大量保有を決断したのは、中国侵略戦争を構えているからにほかならない。
 また、基地司令部の地下化を進めるための費用として24年度の8倍以上、726億円が盛り込まれた。対象となる14拠点は、航空自衛隊の基地を中心にしつつ、海自の舞鶴地方総監部(京都府)や、陸自の那覇駐屯地(沖縄県)・健軍駐屯地(熊本県)など九州・沖縄の重要基地だ。本格的な攻撃準備と一体で、中国の反撃を受けても戦闘が継続できる準備を整えようとしているのである。
 他にも情報共有強化のための「防衛省クラウド」整備に970億円、洋上での情報収集・警戒監視を強化する滞空型無人機2機の取得に415億円、イギリス・イタリアと共同で進める次期戦闘機の開発費用には1087億円を計上。自衛隊員の確保と隊内の不満解消などを目的とした「処遇・勤務環境の改善」には4097億円を投じる。辺野古新基地建設の関連経費には契約ベースで2006億円を計上した。

GDP比3%化を要求する米帝

 これらの費用は、米日帝国主義の中国侵略戦争への突進の中でさらに膨らむことは明らかだ。24年度の防衛費と防衛力強化関連経費の合計額が8兆9千億円、国内総生産(GDP)比で1・6%に上ったように、予算の確定過程や年間の執行を通じて実際の軍事費は拡大する。そもそも日帝は23~27年の5年間で軍事費を合計43兆円(GDP比2%)にすることを掲げており、軍事費の拡大はまだ中途にすぎない。加えて、米第2次トランプ政権で国防次官となるコルビーが「日本は防衛費をGDP比3%にするべきだ」と主張しているように、米帝との関係でもさらなる増額は必至である。与党は12月20日、25年度の税制大綱を発表し、26年4月から「防衛特別法人税」を課す方針を明らかにした。自民党はさらに27年1月から「防衛特別所得税」の課税を検討している。労働者人民の生活をますます犠牲にしながら進められようとしている軍事費の拡大を絶対に許してはならない。
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