十亀弘史の革命コラム-24- ずしりとした実践の武器

週刊『前進』04頁(3375号04面02)(2024/12/16)


十亀弘史の革命コラム-24-
 ずしりとした実践の武器

 今の日本をどうとらえるべきか。その核心が次の一文に示されています。「日本の帝国主義があらたなアジア侵略の道にむかってすすみ、そのなかにおいてふたたび侵略の政治とこの侵略の政治の必然的な発展としての侵略の戦争の問題に直面しようとしているこんにちの状態」。『反帝国主義・反スターリン主義とは何か』(前進社)所収の本多延嘉書記長(当時)の講演録「反帝・反スターリン主義とは何か」からの引用です。文中にある「こんにち」は、その講演がなされた1972年を指しています。
 52年前の指摘ですが、現在の中国侵略戦争情勢の根幹を言い当てています。さらに、同じ講演に次の一節もあります。「帝国主義の時代が戦争と革命の時代であるというレーニンの命題が、こんにちの世界情勢のなかですでに古くさくなって過去のものとなってしまった」という見解は「まったく間違っている」。すなわち、帝国主義が帝国主義である限り、侵略と戦争に向かうその本質はいっさい変わりようがないのです。それどころか今、帝国主義による戦争は、世界で1万2千発を超える核兵器の存在によって、かつての二つの世界大戦よりはるかに深刻な、人類の終焉(しゅうえん)さえ想定し得る戦争情勢として眼前に広がっています。
 そうであるのに、上記のような「まったく間違っている」見解が、いろいろに形を変えながら今も繰り返して登場してきています。私たちはそのような見解を、「歴史の現実の進行」(同講演)を根拠に徹底的に批判し、打ち砕かなければなりません。持ち重りのする496㌻の新書『反帝国主義・反スターリン主義とは何か』には、その批判の論拠がぎっしりと詰まっています。現代の『国家と革命』、現代の『帝国主義論』ともいうべき論文「レーニン主義の継承か、レーニン主義の解体か」は、まさしく綱領的論文です。冒頭の「刊行によせて」が、収められた論文や大会報告などの革命的な意義を、今日の世界情勢と党史に照らして分かりやすく簡潔に説き明かしています。
 帝国主義とは何か、スターリン主義とは何か、革命とは何か、プロレタリア独裁とは何か、階級の暴力とは何か、反革命はどんな形で現れるのか、党は何をなすべきか、カクマルとは何だったのか、そして中核派はいま何を目指しているのか、それらを厳密に、真に具体的に論じ切っている本書は、ずしりとした実践の武器です。
(そがめ・ひろふみ)
2024.12.16

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