JRが久留里線廃止を表明 戦時下の地域破壊を許すな
週刊『前進』04頁(3374号03面03)(2024/12/09)
JRが久留里線廃止を表明
戦時下の地域破壊を許すな
JR東日本千葉支社の土沢壇支社長は11月27日、久留里線の久留里―上総亀山間を廃止する方針を表明した。同支社長は、廃線を「できるだけ早期に実現する」と述べている。
同じく廃線が狙われている芸備線の備後庄原―備中神代(びっちゅうこうじろ)間については、JR西日本も沿線自治体との協議の場ではあからさまに廃線とは言えない。だが、JR東日本は今回、廃線を明言した。「労組なき社会」化を主導するJR東日本は、廃線についても攻撃の先頭に立とうとしているのだ。
一切を軍事に集中
これは、中国侵略戦争に向けて国力のすべてを軍事に集中する国家改造の一環だ。久留里線の久留里―上総亀山間は、第2次世界大戦末期の1944年、「不要不急の路線」とされて廃止になった歴史がある。この歴史が再び繰り返されようとしているのだ。JR東日本は「久留里―上総亀山間の1日平均乗客数は64人」「100円の収入を得るために必要な経費は1万3580円で、採算性は同社の中で最も悪い」という宣伝を繰り返している。だが、この区間の昨年度の赤字額とされる2億3500万円に対し、49億6800万円の赤字を抱える羽越本線の村上―鶴岡間は、廃線の対象にされたことが一度もない。それは、ここが戦時には軍事物資を運ぶ貨物輸送ルートになっているからだ。
意図された乗客減
そもそも、今年度に2100億円の純利益を見込み、高輪ゲートウェイ開発には総額6千億円もの資金をつぎ込むJR東日本に、ローカル線を維持できないはずがない。にもかかわらずJR東日本は、ローカル線の末端区間の赤字をことさらにあげつらう。だが、久留里―上総亀山間の乗客が大幅に減少したのは、午前8時台から午後1時台まで一本の列車も走らないようなダイヤをJRが意図的に組み、廃線へ誘導してきたことの結果だ。JR東日本は、千葉県や君津市と同社が構成するJR久留里線沿線地域交通検討会議が10月28日に出した報告書で、バス転換を容認したことを盾に、廃線を地域が了承しているかのように強弁する。だが、そんなことは断じてない。
久留里線と地域を守る会をはじめとする地域住民の奮闘により、検討会議の報告書の参考資料には住民説明会で出された廃線反対の意見が詳細に掲載された。にもかかわらずこの報告書は、「(鉄道は地域の)移動需要に適していない」「自動車中心の交通体系への移行により、より利便性の高い地域公共交通が実現する」という結論を強引にまとめている。初めから住民の意見を聞くつもりなどなかったのだ。
バスも維持不能に
これに呼応してJR千葉支社は、「バス等を中心とした新たな交通体系へのモードチェンジを図ることが必要」と言い、「当社はこれまで地域の交通を担ってきた経緯を踏まえ、利便性の高い新たな交通体系を実現したい」とうそぶく。しかし、代替バスを自身で運行するとは絶対に約束せず、「具体的な内容については、今後君津市と協議する」と言うだけだ。すべてを自治体に押し付けて、逃げきろうとしているのだ。バス転換されても、代替バスの運行を押し付けられた自治体がその経費をまかなえず、バスも運行停止になった例は少なくない。最近では、都市部でも運転手が確保できず次々にバス路線が廃止されている。
バス転換はやがては公共交通を破壊し、地域を生活のできない場にしてしまうのだ。
分割・民営化は破産
国鉄分割・民営化に際して、自民党は「ローカル線はなくなりません」とうそぶいた。だが、その当時にローカル線廃止の基準とされた輸送密度(鉄道営業キロ1㌔当たりの1日平均乗客数)4000人未満の線区は、今やJRの全在来線の57%に及ぶ。これは、国鉄分割・民営化以来の新自由主義が地方を徹底的に破壊した結果だ。しかもJRは、地域の人口減少率を上回るペースでローカル線の列車運行本数を削減して、利益を拡大してきた。それにとどまらずJRは今、戦時体制づくりの先頭に立ち、地域と住民生活を徹底破壊してはばからない。断じて許せない。地域住民と連帯して闘う動労千葉とともに、久留里線廃線を何としても阻止しよう。