米労働者と連帯し闘おう トランプ、次期政権人事を発表 中国侵略戦争へ国家改造狙う

週刊『前進』04頁(3372号03面01)(2024/11/25)


米労働者と連帯し闘おう
 トランプ、次期政権人事を発表
 中国侵略戦争へ国家改造狙う



(写真 「ジェノサイドには投票するな!」。大統領選渦中にも、イスラエルのガザ大虐殺を支援する民主・共和両党への怒りが爆発した【11月2日 ボストン】)


 米大統領選での「圧勝」を受け、トランプは矢継ぎ早に極右・ファシストで固めた次期政権の陣容を発表している。これ自体が、中国侵略戦争とイスラエルのガザ大虐殺を推進するものとなっている。その背景にあるのは、10・7蜂起に応えるパレスチナ連帯闘争の爆発の中で、米労働者階級人民が巨大な規模で二大政党制の枠組みを突破し始めたことへの支配階級の恐怖だ。トランプ政権と対決する米労働者階級と連帯し、米日帝国主義打倒、中国侵略戦争阻止へ闘おう。

「虐殺に投票するな!」

 今回の大統領選は、これまでの米大統領選とは全く異なる状況のもとで行われた。従来は「共和党を利する」として既成指導部によって抑えられてきたストライキが今年は各地で爆発し、3万人以上が参加した巨大軍需企業ボーイング社でのストは投票日の11月5日直前まで継続した。何より、「民主・共和=戦争党に投票するな」「ジェノサイドに投票するな」という呼びかけのもとに各地でパレスチナ連帯闘争が続けられ、投票日にもデモが闘われた。不屈に戦うパレスチナ人民との連帯が米階級闘争を一変させる中、生活破壊と戦争に対する労働者階級の怒りが臨界点を越えたのだ。
 だからこそ大統領に押し上げられたトランプは、階級的決起を圧殺するためにも戦争に突進している。そもそも、現段階での組閣自体が三権分立の建前さえ完全に無視したクーデター的なものとしてある。アメリカの憲法は上院の承認によって初めて各省庁のトップに就任することができると規定している。だがトランプは、自分が指名した人物を上院の承認なしで各省庁の長官とするために「休会中の特例」という詭弁(きべん)を使うことをあらかじめ宣言したのだ。

対中国強硬派で固める

 「(中国は)米国が直面したことのない最大の敵対国」と主張し、対中国・イラン強硬派として知られる国務長官のマルコ・ルビオを筆頭に、軍事・外交分野の人事は完全に中国侵略戦争発動を射程に入れたものだ。国家安全保障担当大統領補佐官のマイケル・ウォルツは、米金融資本の機関紙ウォールストリート・ジャーナルさえ「対中国で最もタカ派と言われる」と評するほどの人物だ。
 国防長官に指名されたピート・ヘグセスは、第1次トランプ政権時、アフガニスタン侵略戦争で戦争犯罪を犯して収監されていた軍人をトランプに頼んで恩赦とさせた極右だ。キリスト教保守派や極右過激派のシンボルのタトゥーを入れた姿が示すように、ネオナチの人気者として右派放送局FOXの番組司会者を務めてきた人物だ。これは「移民狩り」「赤狩り」のために、軍だけでなくむしろ民間極右の動員を重視していることを示す人事だ。
 軍幹部の経験も国防省勤務等の経験もないヘグセスは、従来型の国防長官と違い軍の既得権との関係が薄いことを押し出して「軍改革」を主張している。朝鮮、ベトナム、中東などでの戦争とはまったく違う、中国侵略戦争のための軍の大再編を狙っているのだ。
 新設される「政府効率化省」のトップには、世界最大の富豪であり、テスラなどを所有するイーロン・マスクが指名された。メディケイド(低所得者の医療補助)のカットを始めとして少なくとも2兆㌦の支出削減、公務員の大幅人員削減を主張している。トランプはこの政府効率化省について、第2次大戦中に広島・長崎に投下された原爆の開発プロジェクトになぞらえ「われわれの時代のマンハッタン計画」と述べている。国家・社会を大改造し、一切を中国侵略戦争―世界戦争・核戦争に振り向ける攻撃だということだ。

非常事態宣言と軍隊動員を公言

 選挙戦の過程から「史上最大の強制送還」を掲げてきたトランプは11月18日、「不法移民2千万人を強制送還する」「非常事態を宣言し、連邦軍を動員して移民を逮捕・収容する」と言明した。2千万人という数は、現在1200万人と推定されている許可証を持たない移民の2倍に近い。トランプは移民の職場や居住地を軍靴で蹂躙(じゅうりん)し、労働組合や住民団体を弾圧しようとしているのだ。何より連邦軍の動員は、国内の治安維持に陸軍、空軍、州兵を動員することを禁じた連邦法に違反する重大な踏み込みだ。これは軍事独裁を宣言するに等しい。
 だが、米労働者階級人民はすでに第1次トランプ政権のファシスト的攻撃と闘い抜き、パレスチナ連帯闘争を通して質量ともに強力な部隊として登場してきている。米労働者階級と連帯し、米日の中国侵略戦争を内乱に転化しよう。

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