国鉄裁判の反動判決粉砕へ 解雇撤回の一大署名運動を

週刊『前進』04頁(3372号02面01)(2024/11/25)


国鉄裁判の反動判決粉砕へ
 解雇撤回の一大署名運動を

(写真 11月13日、判決に先立って動労千葉を先頭に東京地裁包囲デモ。裁判所正門に近づくと、デモ隊は解雇撤回の声をさらに強めた)

 国鉄1047名解雇撤回裁判で東京地裁は11月13日、動労総連合の訴えを退ける反動判決を下した(前号既報)。動労総連合は反動判決粉砕へ総力で闘い、11・3労働者集会の勝利を土台に国鉄闘争を貫徹し、階級的労働運動をよみがえらせる決意を固めた。
 国鉄分割・民営化は改憲と戦争国家化に向けて労働組合を解体するために行われた国家による不当労働行為であり、労働者を非正規職に突き落とす新自由主義攻撃の出発点でもあった。
 国鉄分割・民営化による労働者の選別解雇は、「国鉄とJRは別法人」「JRによる職員の採用は新規採用」という法的虚構のもとに行われた。採用手続きは、①国鉄がJR採用候補者名簿を作成し、②国鉄が提出した名簿の中からJR設立委員会がJRへの採用者を決定する、という2段階に切断された。名簿作成の時点で労働者を選別排除した上、その責任をJRに負わせない仕組みが作られたのだ。実際、2003年に出された最高裁判決は、採用候補者名簿の作成に組合差別があったとしても、その責任は旧国鉄にあるとして、JRを免罪した。
 だが動労千葉が旧国鉄を相手に起こした裁判では「6か月以上または2回以上の停職処分を受けた者は採用候補者名簿に載せない」とした不採用基準の策定は不当労働行為だと15年に最高裁に認めさせた。基準の目的は分割・民営化反対のストライキに立ち、処分された動労千葉の組合員を排除することにあった。
 この基準は、当時、国鉄総裁室長だった井手正敬と国鉄職員局次長だった葛西敬之の進言を受けたJR設立委員長の斎藤英四郎(当時、経団連会長)の指示によって作られ、設立委員会の会合で正式に決定された。この事実は、井手が自身の回顧録で自慢げに語っている。当事者の「自白」が存在するのだ。

JRが犯した罪を「時効」で消すな!

 不採用基準を作ったのがJR設立委員会ならば、解雇の責任はJRにある。ようやくつかんだこの事実をもとに、動労総連合は2018年、解雇撤回を求める新たな申し立てを千葉県労働委員会に起こした。
 だが県労委も中労委も、三十数年前の解雇はもはや審査の対象ではないとして動労総連合の請求を否定した。この中労委命令の取り消しを求めて起こした裁判で、動労総連合は「時効」でJRが責任を免れることはありえないと主張した。
 不採用基準を自ら作り、その事実を認識していながら、JRは裁判の場では「労働者を選別をしたのは採用候補者名簿を作った旧国鉄だ。JR設立委員会は名簿に載った者を全員採用した。JRは一人も差別していない。だから解雇の責任はない」とうそぶき、真実を隠し続けた。隠された真実を労働者がつかむのに三十数年を要した。このいきさつに照らせば、解雇撤回の訴えが「時効」で切り捨てられるのはあまりにも不正義だ。また、不当労働行為を実行したJRには解雇を撤回する義務があるのに、その義務を一切果たしていないこと自体、現在まで続く不当労働行為だ。不当労働行為が継続していれば「時効」は成立しない。
 この動労総連合の主張を東京地裁判決はすべて退けた。その理由もまともに示さない。判決は、JRによる採用は新規採用だとした上で、「仮に、特定の労働組合の組合員を不当に不利益に扱う目的で、設立委員らの指示による本件不採用基準の策定、それに基づく国鉄による採用候補者名簿の書き換え、及びその結果としてのJRによる本件不採用があり、その結果、JRが原告らの採用義務を負うことがあるとしても、それは、本件不採用に至る一連の不当労働行為の結果にすぎず、採用義務の不履行が、現在まで続く継続的な不当労働行為であるとはいえない」と言う。「不当労働行為はなかった」とは言えなくなって、「一連の不当労働行為があったとしても、それは継続した不当労働行為ではない」と、根拠もなくひたすら強弁することしかできないのだ。

破綻しきった判決は必ず粉砕できる

 判決日の裁判所の対応は異様極まるものだった。裁判長は主文を読み上げるや傍聴者に退出を求めた。弾劾の声が上がる中、裁判官はあえて法廷にとどまり弾圧の機会をうかがった。裁判所庁舎内には多数の廷吏が配置された。まさにそれは戦時司法への転換だ。
 これは国鉄闘争圧殺の権力意思をむき出しにした判決内容にも貫かれている。権力は戦時下で不屈に貫かれる11月集会呼びかけ3労組の闘いを心底から恐れている。闘いは「勝利まであと一歩」だ。11月集会に6千人を集める力があれば、裁判の場でも破綻しきったこんな判決は必ず覆せる。
 これから始まる控訴審へ、国鉄闘争全国運動は新たな署名を準備している。10万筆を最高裁に突きつけて「不採用基準は不当労働行為」と認定させた闘いに続く大運動を起こそう。
 国鉄闘争には連合を打倒して階級的労働運動をよみがえらせる力がある。中国侵略戦争阻止の労働者の巨大な隊列を生み出す展望をかけ、国鉄闘争を闘おう。
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