「空港より農地が大切だ」 団結街道裁判 市東さんが陳述
週刊『前進』04頁(3369号04面03)(2024/11/04)
「空港より農地が大切だ」
団結街道裁判
市東さんが陳述
千葉地裁民事第3部(岡山忠広裁判長)で10月25日、団結街道裁判が開かれ、三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの本人尋問が行われた。
成田市は2010年6月、市東さんの営農に必要不可欠だった団結街道(成田市道・天神峰―十余三線)を、成田空港の第3誘導路建設のために暴力的に封鎖し、その土地を格安で成田空港会社(NAA)に売り渡す暴挙に出た。市東さんはじめ住民が原告となり、廃道処分の違法を追及してきたのがこの裁判だ。
開廷に先立ち、反対同盟と支援連は千葉地裁前で情宣活動を行い「耕作権裁判で農地強奪の不当判決を絶対に許さない」と訴えた。
反対同盟と支援の労働者・学生・市民が傍聴席を埋めて開廷。反対同盟顧問弁護団の主尋問に答えて、市東さんが陳述した。
2010年2月、成田市長から市東さんに「新たな誘導路整備に伴い、市道を廃道とする必要が生じた。3月議会に付議する」との一方的な通告が届いた。同年5月17日、NAAは市東さん宅前に団結街道の閉鎖を予告する看板を設置。これに強く抗議したことで、市東さんは「器物損壊」で千葉県警に不当逮捕され、農作業が忙しい時に23日間も勾留された。そして6月28日、夜陰に乗じて街道の封鎖が強行され、南台農地の周囲は高いフェンスで囲まれた。
こうした経過を市東さんは落ち着いた声で振り返ったが、一つ一つの事実は成田市とNAAが一体で市東さんの営農を破壊し追い出そうとする異様なまでに卑劣で暴力的な攻撃であり、傍聴者は怒りをかき立てられた。
団結街道が封鎖されて以降、市東さんは自宅から南台耕作地まで、交通量が多く危険な道路に迂回(うかい)しなければならなくなり、4倍の時間がかかるようになった。13年に第3誘導路が完成して以降は、朝6時から深夜まで騒音が続き、寝付けないことも度々だ。
最後に、市東さんは裁判長に自らの意思を強く述べた。「NAAは空港機能強化によって年間の発着を50万回に増やすなどと言っているが、そんなものが必要か。空港よりも農地の方が大切だと私は確信している。農民にとって農地は命。土地がある限り農業をやり続ける決意は変わらない。裁判所には、廃道処分を取り消して元に戻せと言いたい。空港一辺倒のやり方をやめ、公正な判断を下すべきだ」。市東さんの揺るぎない姿勢に、傍聴席から拍手が湧いた。
被告の成田市とNAAの代理人は反対尋問で、卑劣にも市東さんの被害を小さく描こうとあがいた。
裁判長は次回期日を来年1月24日とし、さらに次々回の2月28日を最終準備書面の提出、弁論終結とすることを告げて閉廷した。
伊藤信晴さんの司会で報告集会が行われた。最初に市東さんが「これからもがんばります」と簡潔にあいさつした。続けて弁護団が、廃道処分の違法性を暴いてとことん追及する決意を表明した。
動労千葉の山田護さん、市東さんの農地取り上げに反対する会、全学連が連帯発言に立った。全学連は「人生をかけた反対同盟とここにいる皆さんの闘いに応え、成田軍事拠点化を許さず空港を破壊するまで闘う」と決意を語った。
伊藤さんが当面する闘争スケジュールを確認し、耕作権裁判とともに結審が迫るこの団結街道裁判に勝利する決意を全員で固めた。