朝鮮半島を戦場にするな 朝鮮人民と連帯し日帝打倒を
週刊『前進』04頁(3369号03面02)(2024/11/04)
朝鮮半島を戦場にするな
朝鮮人民と連帯し日帝打倒を
現在、南北間の軍事的緊張が「朝鮮戦争以来」の最高レベルに達している。北朝鮮は10月15日、韓国が3回にわたりピョンヤン(平壌)の上空に無人機(ドローン)を侵入させてビラをまいたとして抗議し、南北をつなぐ道路と鉄道を爆破。韓国軍は対応射撃を行い、軍事境界線をめぐる緊張が激化している。北朝鮮は南北境界に地雷を埋設し「要塞(ようさい)化」する工事を進めている。
こうした中で10月末、北朝鮮が約1万人の兵士をロシアに送り、一部がウクライナと国境を接するロシア南西部クルスク州に到着したことが報じられた。
米日帝国主義はこの「北朝鮮参戦」を声高に非難し、ロシア・北朝鮮、さらに中国への排外主義をあおり立てている。オースティン米国防長官は10月23日、北朝鮮の派兵は「非常に深刻な問題であり、欧州だけでなくインド太平洋にも影響を及ぼす」と述べた。
何より韓国のユンソンニョル大統領は「ウクライナに殺傷兵器の支援を検討する可能性がある」と語り、北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)との協議のために政府代表団を欧州に派遣。ウクライナも訪問させる予定だという。ユン政権の中枢からは「ウクライナと協力して北朝鮮軍の部隊を爆撃しろ」という声まで上がり、労働者階級の中には「このままでは朝鮮半島が次の戦場になる」という激しい危機感と怒りが広がっている。
朝鮮半島における戦争危機の一切の原因は、米日帝が韓国を抱き込んで進める中国侵略戦争策動にある。
米日帝の中国包囲が戦争危機の元凶
大没落の中で中国侵略戦争を決断した米帝は安保同盟政策の歴史的転換に踏み出した。米帝バイデンは安倍政権下で「最悪の関係」とまで言われた日韓関係をユン―岸田政権下で事実上の同盟関係にまで押し上げることに注力し、2023年の米日韓首脳会談では「日米同盟と米韓同盟の間の戦略的連携を強化し、3カ国の安保協力を新たな高みへと引き上げる」と宣言した。今年6月には日米韓3カ国での初の多領域訓練「フリーダム・エッジ」を東中国海などで実施した。これに追いつめられた北朝鮮のキムジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記は昨年末の党中央委員会総会で「北南関係はもはや同族・同質関係ではなく、敵対的な二国家関係、交戦国関係」と宣言し、自ら南北統一政策を投げ捨てた。
帝国主義の戦争策動に対して労働者階級の国境を越えた闘いを呼びかけるのではなく、核配備も含めた反人民的な軍事的対抗で応えるスターリン主義の反革命性は明らかだ。こうした軍事的対抗は帝国主義の餌食とされ、「中国や北朝鮮の脅威」をあおる階級分断攻撃に使われてきた。
今回、北朝鮮が南北統一という大義を投げ捨て、韓国を「敵国」と規定したことは、南北分断をつくり出した帝国主義への根本的な屈服であり、スターリン主義としての歴史的破産に他ならない。何よりそれは、中国侵略戦争阻止=反帝国主義・反スターリン主義世界革命に向けて決起する南北朝鮮人民・在日朝鮮人民への襲撃そのものだ。
反帝反スタを貫き侵略戦争を内乱へ
日本帝国主義による侵略と植民地化を経て、今も朝鮮戦争の「休戦」下を生きる人民の悲願は分断打破=南北統一であり、民主労総をはじめとする諸団体もこれを正面課題としてきた。しかし、この間のキムジョンウン政権による「敵対国家」規定、そして陸路の断絶は、文字通り統一への道を断ち切る行為として南北朝鮮人民・在日朝鮮人民に大きな失望と苦闘を強制している。日本労働者階級に求められているのは、南北朝鮮の労働者階級と連帯し、侵略を内乱に転化する大反戦闘争を巻き起こすことだ。侵略と植民地支配の先兵とされてきた痛苦の歴史を乗り越え、朝鮮・中国・アジア人民と真に連帯して日帝を打倒し、東アジアから世界革命を切り開こう。