全港湾大阪支部・関生・港合同が呼びかけ 昌一金属闘争勝利へ集会

週刊『前進』04頁(3369号02面03)(2024/11/04)


全港湾大阪支部・関生・港合同が呼びかけ
 昌一金属闘争勝利へ集会

(写真 昌一金属支部の3人が登壇し、木下浩平委員長【中央】が闘争を総括し決意を表明【10月23日 大阪市浪速区】)


 昌一金属闘争勝利!総決起集会が10月23日、大阪市浪速区民センターで開かれた。昌一金属闘争は労働運動つぶしの民事再生攻撃を粉砕し、戦争と革命の時代における旗印を打ち立てる第2ラウンドに突入した。この中で全港湾大阪支部と全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同が初めて共同で呼びかけた集会には、全関西から185人の労働者が結集した。
 全港湾大阪支部の仲間が司会を務め、港合同の中村吉政委員長が「那須電機鉄工は昌一金属の労働者をバラバラにしたが、地域の労組の支援で、ものすごいスピードで反撃体制がつくられた。港合同の闘いをわれわれの代で終わらせるわけにはいかない」と力を込めて主催者あいさつを行った。
 昌一金属支部の執行部3人が登壇し、木下浩平委員長が闘争を報告し決意を述べた(要旨別掲)。資本と労働者との非和解性をはっきりさせ、それに基づく組織的団結をつくらなければ、ストライキを闘った団結も一気に崩れてしまうと木下委員長が語った教訓は非常に厳しいが、労働運動を経験するすべての人に、改めてわがことと考えさせる中身があった。
 組合事務所明け渡しの仮処分事件を担当した久堀文弁護士は、裁判所がまともに回答もしない那須電機鉄工を容認し、いとも簡単に仮処分を発出したことを弾劾して、「労働組合を認めない司法、社会を変えなくてはならない」と訴えた。
 動労千葉の中村仁副委員長が連帯アピールで11・3全国労働者集会への大結集を呼びかけ、港地区平和人権連帯会議の小谷博文事務局長は「那須電機鉄工の団結権侵害に対し何年かかっても闘う」と力強く発言した。関西労組交流センターの赤田由行事務局長が「第二、第三の昌一闘争をつくり出し、全労働者の解雇を阻止して戦争を止めよう」とカンパアピールを行った。さらに全港湾大阪支部、関西生コン支部の六つの争議分会が発言し、関西生コン支部の武谷新吾副委員長が集会をまとめた。
 労組の違いを超えて参加者全体が思いを一つにし、昌一金属闘争勝利、国鉄1047名解雇撤回、関西生コン支部の湯川裕司委員長への10年求刑攻撃粉砕、中国侵略戦争阻止の闘いの火柱が立った。

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第2ラウンドに勝つ
 木下委員長の報告と決意

 昌一金属の経営陣が民事再生法適用を申請した昨年12月26日から、10カ月が経過します。昌一金属支部の闘いはあらかじめ順調に進んだわけではありません。「選別解雇」「全員解雇」という究極の攻撃がかけられた時、現場の団結は崩され、対応が個々バラバラになってしまいました。
 昨年11月20日の年末一時金闘争では、全組合員が全一日のストライキを闘いました。それがわずか数カ月で崩されるとは、思ってもみませんでした。
 破産も民事再生も初めての経験でした。争議や弾圧との闘いでは、初動の遅れが命取りになるシビアさを思い知らされました。首の皮一枚のところからのぎりぎりの反撃で、今、闘争が継続しています。
民事再生を使った攻撃に緒戦で勝利
 民事再生のスポンサー候補として名乗りを上げ、大阪地裁から正式に選定を受けた那須電機鉄工は、昌一金属の土地・建物と事業のみを買収し、労働者は子会社の那須電機商事に引き取らせるとして、2割を超える大幅な賃下げを提示してきました。組合執行部には「組合活動はなくなる可能性が高い」などの不当労働行為発言を繰り返し、面談リストからも排除して選別解雇を行いました。
 昌一金属社長名で4月30日に全員が解雇され、ようやく真正面から闘う腹を決めました。4月11日から那須電機鉄工の大阪工場と関西事業部、那須の大株主である三井住友銀行大阪本店や巴(ともえ)コーポレーションへの抗議行動を開始しました。支部機関紙「すくらむ」を毎日発行し、昌一金属にアルバイトという形で雇われた労働者に、福崎工場の門前で配布し続けました。工場に残った労働者に組合の団結を示すためです。工場が閉められた9月24日まで「すくらむ」は81号発行しました。
 その間、那須電機鉄工と昌一金属の代理人弁護士らによる和解を迫る攻撃が続きました。キーワードは「スポンサー候補は那須電機鉄工1社しかない」「同社が手を引けば破産になる」「残る労働者の雇用は失われ、外注・協力会社も連鎖倒産」「組合も解決金を得る機会を失う」というものでした。組合事務所明け渡し仮処分の審尋でも、裁判官は「破産会社に労働組合は存在しない」という認識でした。緊急事態だから憲法も労働組合法もないというのです。しかし解雇や権利侵害をゼニ・カネに替えることはできません。
 那須電機鉄工はスポンサーから降り、昌一金属は9月24日に民事再生手続き廃止決定を受けました。ふざけるなという気持ちでいっぱいです。しかしこれは、民事再生手続きを利用し、弁護士や裁判所まで動員したありとあらゆる組合つぶし、不当労働行為との闘いに、私たちが緒戦で勝利したということです。
戦時下の労働組合つぶしを打ち破る
 ここまでの闘いの「総括のポイント」を整理したいと思います。
 第一は、民事再生法を粉砕したことです。民事再生を使えば簡単に組合がつぶせて雇用も労働条件も資本の思いのままになるという攻撃が本格的に始まる中、これと闘い粉砕しました。
 第二は、港合同つぶしを粉砕したことです。破産法に対して団結権を対置して闘い勝利した田中機械支部の地平をなかったことにする攻撃を打ち砕きました。
 第三は、戦時下の組合つぶしを打ち破ったことです。台湾有事をあおって中国への戦争に突き進む政府と大資本は、それに反対する運動をあらかじめ解体するために昌一金属支部への攻撃をかけてきたのです。
労働者を信じるかが厳しく問われた
 関西生コン支部、全港湾大阪支部、港合同は、昌一金属の攻防を自身の問題と捉えて行動を共にし、厳しい議論も重ねました。僕も一から鍛え直されました。組合指導部に問われているのは「労働者は必ず決起する」と信頼できるかどうかだと改めて思いました。
 昌一金属支部への攻撃は国・資本が決断してかけてきた攻撃です。これから始まる中小企業の淘汰(とうた)に際し、港合同のような「人生をかけて闘う労働組合の団結」は残さないということです。しかし私たちは執行部4人が団結して踏ん張り、新たな共闘・団結を生み出しています。労働者の怒りが行動になった時、社会を根底から変革できる。第2ラウンドの闘いを勝利するまで闘います。

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