10・31狭山全国統一行動へ 中国侵略戦争下の部落差別打ち破り再審開始かちとれ

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週刊『前進』04頁(3367号04面01)(2024/10/21)


10・31狭山全国統一行動へ
 中国侵略戦争下の部落差別打ち破り再審開始かちとれ


 1974年10月31日、東京高裁・寺尾正二裁判長は、狭山事件(女子高校生誘拐殺人事件、63年5月1日)の犯人にでっち上げられた無実の部落民・石川一雄さん(事件当時24歳)に無期懲役判決を下した。一審浦和地裁の死刑判決(64年)の事実認定をそのまま踏襲した極悪の部落差別判決だ。それから50年の今、米日帝国主義による中国侵略戦争突入情勢を背景に、東京高裁・家令和典裁判長による第3次再審請求棄却の攻撃との決戦的攻防を迎えている。裁判で追い詰められているのは日本帝国主義国家権力・裁判所の側だ。

極悪の寺尾無期判決糾弾

 袴田再審勝利確定(10月9日)と狭山再審闘争の決戦情勢が重なった。拷問的取り調べによる自白の強制、証拠ねつ造によるでっち上げ。狭山事件も、すべて袴田事件と同じである。決定的なことは、このでっち上げが最初から部落差別に基づいて行われ、今もそれが「74年10・31寺尾判決」として確定され、半世紀にわたって維持され続けていることだ。そして中国侵略戦争突入情勢下での狭山再審請求棄却攻撃は、この極悪の部落差別=狭山差別裁判・寺尾判決を永久化し、階級分断と労働者階級の差別主義・排外主義への動員の決定的テコにしようとするものだ。石川さんの不屈の61年の闘い、怒り、無念、闘う部落民大衆の怒りを全階級人民の怒りとし、日帝の部落差別による極悪の権力犯罪を徹底糾弾し、粉砕し尽くして、直ちに再審・無罪をかちとらなければならない。
 日帝国家権力は61年前、狭山事件で犯人捕り逃がしの大失態を演じ、窮地に陥った。60年安保闘争で揺らいだ階級支配の危機とも重なり、狭山事件は一大治安問題となっていた。「何としても生きた犯人を捕まえろ」の号令のもと、部落民に対する大掛かりなフレームアップが行われ、国家権力は石川さんの無実を百も承知で「殺人犯」にでっち上げたのだ。埼玉県狭山市の被差別部落への一斉見込み捜査や拷問的取り調べ、うそと甘言・脅し、「証拠」のでっち上げ、逮捕からその後の裁判の全過程が部落差別に貫かれた明確な権力犯罪そのものである。
 70年代前半には、青年労働者・労働組合・学生人民が部落差別に怒りの声を上げ、無実の石川青年即時奪還のために最大時11万人が日比谷公園を埋め尽くした(74年9月)。この根底に70年安保・沖縄決戦―階級闘争の内乱的発展を闘う革共同を先頭とした激しい闘いがあった。今日、日帝・石破による中国侵略戦争のための改憲・戦争攻撃として、部落差別を始めあらゆる社会的差別・排外主義攻撃が激化することに対し、青年・女性をはじめ労働者階級人民は決して黙ってはいない。危機に駆られた日帝・家令による狭山再審棄却策動の強まりは、11・3大結集への決起を逆に促進するものだ。
 中国侵略戦争阻止の反戦闘争の爆発、11・3集会6千人大結集への決定的突破口を開く闘いとして、「寺尾判決50カ年糾弾! 再審棄却阻止! 石破打倒! 10・31全国統一行動」を闘いとろう。
 狭山事件では被害者所有のカバン・万年筆・時計が、「自白」によって発見された3大物証とされてきた。しかし新鑑定によって、これらすべてが警察のでっち上げであることが証明された。とりわけ、第3次再審で初めて「万年筆」のインクの違いを科学的に証明した下山鑑定は、無実の決定的な証拠であり、権力による「被害者の万年筆」のねつ造を完璧に暴き出すものだ。
 一昨年8月の下山鑑定を始め、11人の〈鑑定人尋問〉とインク資料の〈裁判所による鑑定〉の要求は、日帝国家権力・裁判所を決定的に追い詰めた。検察は鑑定による反証もできずに、「水で洗った」「インクを入れ替えた」などと非科学的な推論を繰り返すのみだ。裁判所も検察の暴論を容認し、鑑定人尋問も裁判所による鑑定も拒否し続けている。もしもそれを認めれば、袴田事件同様に無罪判決を出すしかないからである。

裁判所は事実調べを行え

 狭山裁判では、二審・寺尾裁判長の就任以来、一度も事実調べが行われていない。寺尾は「部落問題の著書を十数冊読んだ」と言って理解のポーズを示す一方、すべての証人採用と事実調べを却下し、無期懲役の有罪判決を下した。その上で、「一審判決は部落差別に当たらない」とペテンを弄(ろう)したのだ。確定判決となった寺尾判決は下山鑑定などの新証拠によって崩壊しているとはいえ、あくまで事実調べを拒否する裁判所と徹底対決して、事実調べ・再審開始を勝ち取らなければならない。勝負はこれからだ。

差別許さぬ階級的団結を

 家令裁判長は今年4月、「プレゼンテーション」なるものを弁護団に行わせ、それへの「理解」を示したという。寺尾と同じまやかしの演技だ。それに対し8月には弁護団が、「裁判所によるインク資料の鑑定」の代わりに、弁護側がもう一度インクの鑑定を行い提出すると発表した。われわれは、裁判所に対する武装解除ともいえる今回の発表、方針の変更に反対する。狭山差別裁判糾弾闘争は、日帝国家権力、警察・検察・裁判所が一体となった部落差別による権力犯罪との闘いである。今日の第3次再審闘争の最終局面でこそ、この原則は貫かれねばならない。下山鑑定を始め11人の鑑定人尋問とインク資料の裁判所による鑑定の要求は不可分一体のものだ。家令裁判長の再審棄却攻撃を断固粉砕しよう。
 袴田裁判では、静岡地裁に「有罪証拠三つは警察のねつ造」と認定させ、無罪判決をかちとった。狭山裁判では、下山鑑定が「万年筆」のねつ造を完璧に暴いた。しかし家令は、下山鑑定を自ら調べようとしない。部落差別を貫くという宣言だ。法廷の場での不屈の再審請求と共に、裁判所への強力な大衆的包囲、社会問題化で怒りの強さを思い知らせよう。
 第3次再審請求開始から18年、裁判長は家令で10人目、三者協議は61回を数える。われわれは石川さんの不屈の闘いに応え、全国水平同盟、部落解放東日本共闘会議、全国労組交流センター、全学連を先頭に、東京高裁に対して大衆的な要請行動や裁判所包囲デモを果敢に展開し、日帝の再審棄却攻撃を粉砕してきた。狭山闘争はその開始以来、差別と闘う労働者階級の団結をつくってきた。米日が中国侵略戦争に突進している今、差別・排外主義との対決は戦争を阻止する決定的な力となる。
 「石川さんは無実だ! 寺尾判決50カ年糾弾! 狭山第3次再審闘争勝利!」を掲げて闘われる10・31全国統一行動から11・3日比谷へ大結集することが勝利の道である。切迫する全情勢と対決し、「闘う中国人民・アジア人民と連帯し、米日帝国主義の中国侵略戦争―世界戦争突入を日帝打倒の革命的内乱に転化せよ!」(革共同第9回全国大会第2報告、季刊『共産主義者』第219号)の闘いそのものとして差別主義・排外主義と闘おう。首都・全国で狭山決戦にともに総決起しよう。
〔革共同部落解放闘争組織委員会〕

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寺尾判決50カ年糾弾!再審棄却阻止!石破打倒!
10・31狭山全国統一行動
 ■関西 10月27日(日)午後5時 豊崎西公園  (地下鉄中津駅下車徒歩5分) 集会後梅田デモ
  主催 全国水平同盟/関西労組交流センター
 ■東京 10月31日(木)午後6時 桜田公園(港 区新橋3―16―15) 7時 銀座デモ
  主催 部落解放東日本共闘会議
 ■広島 10月31日(木)午後6時 いきいきプラ ザ(広島市西区地域交流センター)
  主催 部落解放広島共闘会議

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