耕作権裁判最終弁論 市東さん闘争宣言 「百年耕した農地は私の命」

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週刊『前進』04頁(3365号04面02)(2024/10/07)


耕作権裁判最終弁論
 市東さん闘争宣言
 「百年耕した農地は私の命」

(写真 市東孝雄さんの耕作権裁判最終弁論に先立ち「不当判決を出すな」と反対同盟を先頭に千葉地裁に迫るデモ【9月30日 千葉市】)


 千葉地裁民事第2部(齊藤顕裁判長)で9月30日、市東孝雄さんの耕作権裁判の最終弁論が行われ、18年続いた裁判が結審した。
 開廷に先立ち、千葉市中央公園で三里塚芝山連合空港反対同盟が呼びかける決起集会が開かれた。太郎良陽一さんが司会を務め、東峰の萩原富夫さんが発言。「NAA(成田空港会社)が市東さんを『不法耕作者』と言いなし、土地の明け渡しを迫っているのがこの裁判。不当判決を出すなと迫ろう」と訴え「農地を守り、軍事空港を阻み、戦争反対の闘いの先頭に三里塚は立つ」と宣言した。
 さらに動労千葉の中村仁副委員長などの連帯発言を受け、市内デモに出発した。100人に及ぶデモは「市東さんの農地を守り抜くぞ」の叫びを響かせて千葉地裁に迫り、その勢いで裁判に臨んだ。
 60を超す傍聴席を満席にして開廷し、最初に市東さんが意見陳述を行った。「父が亡くなり48歳で天神峰に戻り、空港建設に反対する生き方を受け継いで農民として生きることを決意した。NAAが証拠だとする『同意書』『境界確認書』はうその書類であり、父が署名押印するはずがない。書類を偽造して私から南台農地を奪おうとしている。こんな汚いやり方に絶対に屈しない」と宣言。「百年耕した農地は自分の命に等しい。農民を犠牲にする空港建設は間違っている。齊藤裁判長は政府やNAAに忖度(そんたく)せず、農民を大事にして戦争のない社会を築くために、NAAの請求を棄却してほしい」と迫った。市東さんの覚悟と願いに、傍聴者全員が大きな拍手を送った。
 続いて反対同盟顧問弁護団が最終意見陳述を行った。これまでの全主張内容を整理し、深化させた400㌻を超す陳述書が交代で読み上げられた。市東家に秘密・無断で行われた底地買収、位置特定を誤った同意書・境界確認書の偽造、関連文書の隠ぺいなどのNAAの悪業が全面的に暴き尽くされた。
 NAA側は陳述を放棄したが、代理人・上野至は弁護団の意見陳述を突きつけられ「読んでみて何かあれば反論を提出するかもしれない」などとつぶやき、傍聴席からの怒りが集中した。
 齊藤裁判長は弁論の終結を宣言し、「判決期日は追って指定する」として閉廷した。
 伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。最初に市東さんがあいさつに立ち「18年も被告席に立たされてきた。どんな判決だろうと今までと変わらず闘っていきます」と宣言した。
 続いて弁護団一人ひとりが、最終弁論を圧倒的内容で貫徹した勝利感をもって発言した。裁判所が仮執行宣言を付ければ、再び農地強奪実力阻止の決戦を迎える。「闘いはこれからだ」の気概で全員が一致した。
 参加者から連帯の発言が続いた。全学連の学生は、反動判決が下されれば体を張って南台農地を守り抜く決意を熱く語った。最後に伊藤さんが、千葉地裁を徹底的に攻める宣伝戦に立つ決意を述べ、10・13三里塚全国総決起集会(要項1面)への大結集を呼びかけた。

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