袴田事件無罪判決に際し訴える 証拠捏造の権力犯罪認定 無実の大坂同志奪還しよう

週刊『前進』04頁(3365号04面01)(2024/10/07)


袴田事件無罪判決に際し訴える
 証拠捏造の権力犯罪認定
 無実の大坂同志奪還しよう


 1966年の静岡一家4人殺害事件で犯人にでっち上げられた袴田巖さんが9月26日、静岡地裁(國井恒志裁判長)でついに再審無罪判決をかちとった。司法反動、権力犯罪への全人民的怒りが高まる中で袴田さんと家族、支援者らの58年間の不屈の闘いがかちとった勝利である。
 司法反動化は日本帝国主義の改憲・戦争攻撃の決定的環として進んできた。警察・検察によるでっち上げ逮捕・勾留、大川原化工機事件で全社会的に暴かれた「人質司法」(罪を認めない限り保釈しない!)、警察・司法犯罪の数々。だが、日帝支配の崩壊が一線を越えて進む中で、この権力犯罪に対する階級的・全人民的な怒りが一気に噴き出している。この怒りと袴田さんの不屈の闘いが結合し、日帝支配の最後の牙城(がじょう)である司法権力を決定的に揺るがし、再審無罪をかちとったのだ。今こそ狭山再審勝利、大坂同志奪還、8・6広島暴処法弾圧粉砕・5人の即時奪還へ総決起する時だ。

捏造された「証拠」検察官調書を排除

 判決は、袴田さんが自白に至るまでの取り調べについて「検察官調書は、黙秘権を侵害し、警察官と検察官の連携により、肉体的・精神的苦痛を与えて供述を強制する非人道的な取り調べで作成された」と断じた。
 さらに一審で拷問的取り調べで強制された「自白」を撤回した袴田さんを何としても有罪=死刑に持ち込むために、警察・検察が仕組んだ「みそだるの中からの5点の衣類を発見」し、これを「新証拠」として提出したことについても、再審判決は「捜査機関によって加工がされ、たるの中に隠匿された捏造(ねつぞう)の証拠」と断定した。
 無実の人間に罪をなすりつけ、命まで奪う捏造をやってのけるのが国家権力だ。自白を強要し調書を捏造した警察・検察だけでなく、その捏造に基づき死刑判決を下し、最高裁で確定し、48年もの長期拘留で袴田さんを苦しめたのは誰か。第1次再審請求も棄却し、再審開始決定後も袴田さんを苦しめ続けた裁判所=司法こそ、断罪されなければならない。
 この無罪判決によって日本の国家権力の正体、権力の暗黒の支配が全人民の前に明らかとなった。暴き出された帝国主義権力の人民支配の破綻と危機に徹底的に追い詰められた検察が、さらに控訴するなどということは断じて許さない。すでに全人民的な「控訴するな!」の声が検察のあがきを封じる力となっている。

大坂同志も検察官調書で「懲役20年」

 袴田再審無罪は、極悪司法権力に決定的打撃を与えている。
 1971年沖縄返還協定批准阻止闘争のデモの中で警官1人が死亡したことで、国家権力は星野文昭同志、大坂正明同志にうその目撃証言のみで「殺人罪」をでっち上げた。
 大坂同志は100%無実だ。証拠は何一つない。だから検察は、密室で未成年の少年に袴田さんと同様の長時間の拷問的取り調べを行い、「大坂を見た」という供述を強制したのだ。
 公判でAO証人とIT証人は、検察官調書は全部検察官の作文であり、真実でないと明言した。AR証人はうその目撃証言を法廷でも維持しようとしたが、証言の矛盾を暴かれた。現場を撮影した写真の中に大坂同志が写っている写真は一枚もない。それが大坂同志の無実を証明している。
 検察のでっち上げストーリーは一審東京地裁の35回の公判廷で総破産した。大坂同志と弁護側の最終意見陳述は検事論告の破綻を明らかにした。
 論告求刑の破産を認めざるを得なかった高橋康明裁判長は、もっぱら「AO供述」に依拠してでっち上げを強行した。裁判長は「時間が経過し、記憶の変容がある」として法廷での証言をしりぞけ「供述調書をもとに判断する」と宣言、証人自身が法廷で否定した52年前の検察官調書のみを材料に大坂同志に「懲役20年」の有罪判決を出したのだ。こんな判決は絶対に許されない。徹底粉砕あるのみだ。大坂同志の控訴審闘争は10月控訴趣意書提出をもっていよいよ始まる。
 8・6広島暴処法弾圧もただちに粉砕されるべき権力犯罪だ。原爆ドーム前反戦集会への弾圧として、治安維持法と一体で制定された暴力行為等処罰法(暴処法)を使って5人の同志を事後逮捕し、8カ月も保釈せず接見禁止で広島拘置所に勾留している。転向し「罪」を認めない限り出さないという「人質司法」そのものだ。5同志奪還の大運動を巻き起こそう。
 労働者人民の国家権力に対する怒りは、袴田判決で煮えたぎっている。無実の大坂同志、でっち上げ爆取弾圧と闘う須賀武敏同志、広島5同志と固く団結し、11・3労働者集会へ権力への怒りを総結集しよう。その力で全同志奪還、日帝打倒へ突き進もう。
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