戦時下の医療破壊許すな 現場労働者が厚労省を直撃
戦時下の医療破壊許すな
現場労働者が厚労省を直撃
「戦争反対!マイナ保険証は廃止!医療介護福祉労働者全国連絡会」の呼びかけに応え、9月25日、全国の医療・介護・福祉職場の労働者など130人超が東京に結集して「怒りの厚労省大行動」が行われた。
4、6月に強行された診療・介護・障害福祉サービス報酬のトリプル改定は医療・介護・福祉現場にすさまじい矛盾をもたらしている。さらに政府はマイナ保険証の実質義務化をあくまで推進し、12月2日をもって現行の保険証廃止を狙う。一切は米日帝国主義が中国侵略戦争に突入する中、「国力としての防衛力」のために戦後的な社会保障制度を根本から解体し、医療と医療労働者を戦争に動員する攻撃だ。
当日は、厚生労働省前でのリレーアピールに続いて約50人が省内で申し入れ。高槻医療福祉労組の村山裕子書記長が、トリプル改定とマイナ保険証強制に反対し「医療・介護・福祉と戦争は相いれない」と宣言する申入書を読み上げ、大臣官房の職員に手渡した。
当日の東京新聞では、現行保険証の廃止が密室で決められていたことが大きく報じられた。参加者は怒りを込めてこの問題を追及し、命にかかわる保険証廃止を口々に弾劾。職員はその正義性に圧倒され「担当者に現場の厳しい意見を伝えます」と約束した。
その後、日比谷コンベンションホールで「怒りの労働者市民大集会」が開催された。泉陽会労組の新井佳世子委員長が司会を務め、冒頭に多摩連帯ユニオン根岸病院分会の徳永健生分会長が厚労省申し入れの報告を行った。
続いて八尾北医療センター院長の末光道正医師が講演に立った。「第3次世界大戦・核戦争を労働者民衆の実力闘争で止めよう」と切り出した末光さんは、「命を守る医療から命を奪う医療への転換を阻止しよう」と力強く呼びかけた。そして「マイナカードを押し通そうとするのは、政府が戦争にかじを切り、国民を監視し、徴税・徴用・徴兵が待ったなしの情勢だからだ」と喝破。「ガザの医療従事者らは電気も医療物資もない中で命がけの治療を続けている。虐殺された人数が正確にわかるのは病院のカルテがあるから。個人情報は地域の人々の生きざま、助け合い、闘いの記録であり、亡くなった後も侵略者・虐殺者を弾劾するデータだ」「マイナカードはこうしたデータを国家が奪い、地域医療を解体し、戦争で人を殺すためのもの。廃止しかない」と断じた。そして「11月労働者集会に、命を守り戦争に反対する職場・地域の怒りを束ねた6千人の隊列を登場させよう」と熱く訴えた。
現場からの発言では、八尾北医療センター労組の灰垣美佐子書記長、高槻医療福祉労組の仲間が職場と地域での取り組みを紹介。マイナ保険証反対の怒りを水路に地域の団結をつくりだす決意を語った。
越谷市の保健所で働く労働者は地方自治法改悪との闘いを報告し、マイナ保険証もこれと一体の戦争国家化攻撃であることを明快に訴え、共に闘うと述べた。
船橋二和病院労組の柳澤裕子書記長は、当日に就業規則の不利益変更反対・自らへの定年雇い止め撤回を掲げ1時間ストを打ち抜いたと報告。労組の団結で、医療費を削って戦争をする国と対決すると宣言した。
「東京過労死を考える家族の会」の中原のり子さんは「政府は本当に過労死をなくそうとはしていない」と述べ、労働組合と連帯して闘う決意を語った。
ケアマネジャーとして働く一陽会労組の坪井静委員長は、訪問介護の報酬引き下げが利用者の生活を奪っている実態を弾劾し、精神障害者共同作業所・にしおぎ館の高橋道子さんは、トリプル改定で福祉現場に「生産性」の概念が持ち込まれ、生活支援が奪われようとしていることを暴露。戦時下で介護や福祉の概念自体を百八十度転換・解体する攻撃がかけられていることが浮き彫りになった。
集会後は新橋駅までの反戦デモをやり抜き、11月集会に白衣の大隊列を登場させることを誓い合った。