中国敵視扇動を許すな 元凶は米日帝の中国侵略戦争だ

週刊『前進』04頁(3364号03面04)(2024/09/30)


中国敵視扇動を許すな
 元凶は米日帝の中国侵略戦争だ


 9月18日、中国広東省深圳(しんせん)市で日本人学校に通う小学生男児(10)が男に刺され、翌日死亡する事件が起きた。この事件後、日本では事実関係や事件の背景の解明も待たず、一斉に激しい反中国キャンペーンが巻き起こっている。
 岸田は「極めて卑劣な犯行であり、重大かつ深刻な事案だ」と非難し、「日本人の安全確保と再発防止を中国側に強く求めていく」と表明。石破茂は「偶発的な事件ではないという見方もある」と言って中国人に対する「恐怖」をあおり、日本共産党も「日本などへの憎しみをあおる教育や宣伝が悲劇を招いた」として積極的に反中国キャンペーンにくみしている。
 この排外主義的な中国敵視の背景にあるのは、米日帝国主義の中国侵略戦争だ。すでに琉球弧の島々に中国本土を狙える長距離ミサイルを配備し、東中国海・台湾海峡や南中国海での軍事演習の激化など、中国への軍事圧力はかつてなく強まっている。
 児童の死を悲しむどころか、この事件を利用して中国への敵意をあおり、日本の労働者民衆を戦争へと駆り立てようというのだ。この卑劣な攻撃を絶対に許さず、労働者の国際連帯で始まる前に絶対に戦争を止めなければならない。
 9月20日付産経新聞は、事件が起きた9月18日が1931年柳条湖事件から93年に当たり、「中国では反日機運が盛り上がりやすい日」だと書いている。

9・18柳条湖事件

 柳条湖事件とは何か。日帝は、1910年「韓国併合」で朝鮮を植民地支配し、さらに中国東北部(満州)へと動き出す。中国人民の激しい抵抗運動の中、「日本人居留民の生命と財産を守るため」と称して出兵していた日本軍「関東軍」が奉天(現・遼寧省瀋陽)近くの柳条湖で満鉄線を爆破し、これを中国の仕業だとでっち上げ、「満州事変」と称する侵略戦争の戦端を開いた事件だ。謀略こそ関東軍の常套(じょうとう)手段だった。32年3月に「満州国」をでっち上げ、さらに37年7月7日の盧溝橋事件をもって中国全土に侵略戦争を拡大し、同年12月の「南京陥落」をめぐる南京大虐殺に至った。
 産経の言う「反日機運の盛り上がり」が仮に男児刺殺事件の背景にあるとすれば、その一切の元凶は日帝の中国侵略戦争であり、今なおそれを謝罪も償いもせず、再び中国敵視をあおって新たな侵略戦争に突き進んでいる日帝こそが断罪されるべきなのだ。
 9・18柳条湖事件から93年、この日を忘れず、中国侵略戦争阻止の闘いの機運を高めるべきは、日本のわれわれの方だ。
 8月19日、NHKのラジオ国際放送の中国語ニュースで中国人スタッフが靖国神社で中国語とみられる落書きが見つかったニュースを伝えた後、「釣魚島(尖閣諸島)と付属の島は古来、中国の領土だ。NHKの歴史修正主義とプロフェッショナルではない業務に抗議する」と発言。また英語で「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった。731部隊を忘れるな」と放送していた。
 これが「取り返しのつかないNHKの失態」だと激しくバッシングされているが、中国人スタッフの発言内容はなんら間違っておらず、すべて歴史の真実である。むしろ正されるべきは、NHKの歴史認識であり、日本の公式見解だ。これを「中国の偏った政治主張」などと非難する「公式見解」こそ弾劾の対象だ。
 NHKの公式見解では、福島第一原発の放射能汚染水も「処理水」だが、世界には通用しない。
 中国を敵視し、差別・排外主義をあおる攻撃を許さず、在日中国人をはじめとする労働者の国際連帯で中国侵略戦争を阻止しよう。11・3日比谷で6千人の大反戦行動に立とう。
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