米階級闘争牽引するILWU 自国政府と対決し反戦貫く
米階級闘争牽引するILWU
自国政府と対決し反戦貫く
アメリカ西海岸などで港湾労働者らを組織する国際港湾倉庫労組(ILWU)は、2003年の11月集会への参加以来、動労千葉と連帯を続けてきた。昨年の11月集会には第10支部(ローカル10)のジャニエロ・バルトリップ執行委員が参加した。自国政府と対決し反戦を貫くIWLUに学び、連帯して闘おう。
イスラエルへの武器輸送を阻止
武器を止める。自国の戦争に実害を与える。国家権力に弾圧されてもひるまず実力で闘う。これがILWUの闘いだ。特に発祥の地であるサンフランシスコ湾岸地域のローカル10は、その原則を最も貫いている。ウクライナ戦争に対して他の多くの労組・左翼諸勢力が動揺したが、ローカル10は「米・北大西洋条約機構(NATO)の戦争反対」という立場を貫いている。
昨年のパレスチナ10・7蜂起を受け、11月3日にはローカル10の主要職場であるオークランド港でイスラエルに武器を送る軍用船の出港阻止が闘われた。地域の活動家による実力行動に加えて組合員が就労を拒否し、連邦軍の一部である沿岸警備隊が出動してようやく出港させたが、ワシントン州タコマ港でも地域活動家と組合員が迎え撃った。
今年1月13日には、パレスチナ労働組合の呼びかけに応え、自国の戦争への反対表明にとどまらず実際に武器・補給品を止めるという組合員大会での決議に基づきオークランド港を封鎖(荷役停止)した。パレスチナ人青年を多く含むアラブ人主体の団体が張ったピケットラインを組合員が誰一人、越えて就労しなかったことによって、港は完全に停止した。地域諸労組の組合員や住民団体も共に港から市内デモに出た。ローカル10がサンフランシスコ地域全体の反戦運動・労働運動の結集軸になり、サンフランシスコがアメリカ全体の闘いのモデルになっているのだ。
西海岸全港湾を封鎖し反戦スト
太平洋岸の港湾は、アメリカ帝国主義の経済・軍事の要だ。特に米帝が中国―アジアに戦略重点を移し始めた20世紀末~21世紀初めに、米国家権力によるILWU破壊攻撃が激化した。
2002年の労働協約改定時には、当時のブッシュ大統領らが直接ILWU本部委員長に電話し、「ストをしたらテロリストと見なして米軍を動員する」と恫喝した。01年の9・11後、「反テロ戦争」の名のもとに戒厳令的な弾圧が行われていた時期であり、「テロリストと見なす」はILWU壊滅宣言に等しかった。しかしローカル10はイラク戦争に反対して街頭デモに大挙参加するとともに、職場で軍事物資の荷役を拒否する闘いに決起したのだ。
反戦の実力闘争を貫いたローカル10と、同時期に軍需物資輸送拒否のストライキに決起した動労千葉の信頼関係こそが強固な国際連帯の基盤だ。07年にはローカル10が国際労働者反戦会議を主催し、動労千葉も参加。その会議での決議に基づき、ILWUは08年のメーデーにイラク・アフガニスタン戦争反対を掲げて西海岸全港湾を封鎖した。政治ストを違法とする労働法制下で、全米唯一の巨大な反戦ストライキとなった。
組合員を教育し闘いの歴史継承
ILWUは1934年の西海岸全体の港湾ストライキとサンフランシスコのゼネストによって作られた組合だ。人種差別という労働者分断を突破し、また警察による仲間の銃撃・殺害を乗り越え、ゼネストを貫いて、ハイヤリングホール(労働組合自身による就労管理)という団結体をつくった。それは、資本主義を打倒し社会主義社会を実現する意識的な闘いだった。
特にローカル10はその闘いの中心であり、この歴史を新規組合員に教育することを一大事業にしている。ランク&ファイル(現場組合員)の基本原則とILWUの歴史、そして現在の闘いについての講座を履修し、闘争に参加する2年程度の課程を終えて初めて正規の組合員として認めるシステムをとっている。こうして、受動的に組合の闘いの利益を受けるのではなく、資本・権力と労働者の非和解性を見据えて自ら主体的に闘う組合員と階級的労働運動が守られている。
今年の11月集会に参加予定だったローカル10のクラレンス・トーマス元書記長は残念ながら参加できなくなったが、ILWU労働者と動労千葉との国際連帯は強固だ。米日帝の中国侵略戦争は米日労働者が実力決起すれば必ず止められる。国際連帯を貫き、11月集会への6千人結集へ闘おう。