労働法制の全面改悪阻止を JR主導で「労組なき社会」に 中小企業つぶし解雇規制撤廃
労働法制の全面改悪阻止を
JR主導で「労組なき社会」に
中小企業つぶし解雇規制撤廃
自民党総裁選候補の小泉進次郎は「解雇規制の見直しを1年以内に実現する」とぶち上げ、河野太郎も金銭解決制度による解雇規制の撤廃を叫んでいる。中国侵略戦争に向けた国家改造の一環として、労働法制の全面改悪が狙われている。
経団連が1月16日に出した「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」は、「現行の労働法は画一的で......多用な働き方に対応困難」だとして、労使協議により労働時間規制などを適用除外にできるようにしろと叫んでいる。また、御用労組も無視して「労使協創協議制」なるものを設置し、そこに個々の労働者を縛る労働契約の締結権を与えることや、この協議で合意されれば、労働条件の不利益変更を「合理的」とみなす制度の創設を求める。労働者代表の選出単位も、事業所ごとではなく企業ごとに変えろと言う。
労使協創協議制のモデルはJR東日本の「社友会」だ。JR東日本は国鉄分割・民営化に率先協力した御用労組も解体し社友会を組織した。社友会は労働組合ではないから、団体交渉権も争議権もない。不当労働行為も禁止されないから、資本はいくらでもその運営に介入し支配できる。
経団連の労働法規委員会の委員長はJR東日本前会長の冨田哲郎だ。経団連提言は、JRが先導する「労組なき社会」を全産別に押し広げようとするものだ。
提言発表の直後には厚生労働省も「労働基準関係法制研究会」を立ち上げ、今日まで13回の会合を重ねて、労働法制改悪の具体案をまとめようとしている。
資本の攻撃招いた連合の「法案要綱」
この攻撃を招いたのは連合の裏切りだ。連合は2001年の大会で「労働者代表法案要綱骨子案」をまとめ、21年の大会でその修正案を決定した。「労働者代表制」の法制化にこだわる理由を、連合は次のように述べる。労働組合の組織率が低下する一方、労働基準法36条のような労働者代表についての労働法規上の規定が増えたので、「労働者代表の民主制や正当性を担保する制度的基盤」が必要だ、と。この発想自体、職場の多数を組織することを初めから諦めた、労働組合としての自己否定だ。
連合の法案要綱案には、「労働者代表としての活動期間中、使用者は就労義務を免除し、賃金を支払わなければならない」という趣旨の条文がある。また、職場の過半数を組織する労働組合が労働者代表としての機能を果たす場合も同様に扱うとした条文も設けられた。その解説には、使用者による労働組合への経費援助を禁止した労働組合法の改正が必要になると、わざわざ書き込まれている。御用労組としての存在価値を失い、資本から見捨てられることを恐れる連合は、形ばかりの独立性も、最終的に投げ捨てたのだ。
「戦争反対」もなく産業報国会に突進
その行きつく先は産業報国会だ。連合のシンクタンク「連合総合生活開発研究所(連合総研)」は6月、「労働組合の『未来』を創る」と題する報告書を出した。連合の長期ビジョンに相当するこの文書は、「対抗的・政治的な社会運動は成立しなくなった」ことをその認識の基本に据える。文書の中に「戦争反対」の言葉は一つもなく、政府が進める大軍拡などを情勢として捉えることも一切ない。労働者を殺し合わせる戦争に反対することは、労働組合の最大の任務だ。それに背を向けた連合に、いかなる未来も創れない。
連合総研の文書は、労働法制に関して、「ヨーロッパの国々には不当労働行為禁止制度がない」「(使用者による労組への)経費援助の創設に向けて、労働組合法の見直しの検討を始めるべき」とまで言う。労組の名で、不当労働行為禁止規定の撤廃を求めたのだ。
この文書はまた、「労働組合の役員経験をキャリアパスに位置付ける」ことを資本に求める。役員経験を業務経験と同等に扱えということだ。背後にあるのは、労組役員のなり手がいない連合の危機だ。だが、御用組合さえ解体しようと構える資本の前に、こんな甘えた思惑は通用しない。
労働者にとって人生をかけるに値する運動は、資本との対立関係をあいまいにせず、戦争絶対反対を貫く階級的労働運動だ。徹底的に階級的ならば、どんなに困難でも、労働者は闘うことに喜びを見いだすのだ。
11月6千人結集で倒産攻撃うち破れ
政府と財界は24春闘を機に、インフレ率にも満たない「賃上げ」に追随できない中小企業を次々に倒産させる攻撃に踏み込んできた。それによる雇用の流動化が「生産性向上」と戦時経済化の切り札にされたから、小泉や河野は「解雇規制撤廃」を絶叫するのだ。
その先端に全国金属機械労組港合同昌一金属支部や全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への攻撃がある。これを実力で粉砕し、階級的労働運動をよみがえらせよう。今秋反戦闘争を闘い、11・3労働者集会6千人結集へ攻め上ろう。