海自艦先頭に多国間演習 中国侵略戦争へ日帝が訓練主導

発行日:

週刊『前進』04頁(3361号03面02)(2024/09/09)


海自艦先頭に多国間演習
 中国侵略戦争へ日帝が訓練主導

(写真 海上自衛隊がホームページに載せた演習風景。各国艦艇を率いる「いずも」を強調)

 8月27~29日、関東南方から沖縄東方の日本近海で、対中国を念頭に日本・オーストラリア・イタリア・ドイツ・フランス5カ国の海軍による多国間演習「ノーブル・レイブン24—3」が行われた。海上自衛隊の公式ホームページは、護衛艦「いずも」が各国艦艇を率いている写真を誇らしげに掲載した。このことからもわかるように、この多国間演習を主導したのは日本帝国主義だ。
 「ノーブル・レイブン」は元々は日米カナダ3カ国の共同訓練だった。それが今年5月には日本・アメリカ・ニュージーランド3カ国で東中国海で実施された。ノーブル・レイブン24—2は6月に日米共同訓練としてグアム沖で行われたが、今回のノーブル・レイブン24—3はもはや米軍は参加せず、日帝がホストとして行っているところに特徴がある。中国侵略戦争に向けて米日帝国主義が他の国々を引き込み、軍事協力を強化する取り組みの一つとして、この新たな多国間演習が行われている。それは、岸田が4月日米首脳会談と一体の米議会演説で「日本は米国と共にある」と述べた通り、アメリカ帝国主義と並んで中国侵略戦争を積極的に推進する勢力として日帝が登場していることを端的に示している。
自衛隊の侵略軍隊化の象徴「いずも」
 こうした性格を持つノーブル・レイブン24—3で、海自のみならずメディア報道でも護衛艦「いずも」は象徴的に扱われている。「いずも」は海自最大の艦艇(排水量約2万㌧)であり、艦上にヘリコプターを搭載でき、国際基準でもヘリ空母に分類される。さらに、戦闘機F35Bのような固定翼機も搭載できる本格的な空母への改修工事も始まっている。憲法9条の制約下において、政府は今も「攻撃的兵器を保有することは……いかなる場合にも許されません。たとえば、大陸間弾道ミサイル(ICBM)、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母の保有は許されない」(防衛省ホームページ)と公式には述べているが、これに真っ向から反する「いずも」の本格的な空母化改修を進めていることは、中国侵略戦争に向けた自衛隊の侵略軍隊化を象徴するものだ。
 「いずも」は、今回のみならず海外でのあらゆる大規模な共同訓練に参加しており、実際に今の海自の、ひいては日帝軍事力を象徴する「顔」として就役している。直近でも8月24日、南中国海で行われた米豪フィリピンとの共同訓練に参加した後、初めてフィリピンの首都マニラに寄港。27日には大々的にメディアに公開し、自衛艦隊司令官がインタビューに答えている。そしてノーブル・レイブン24—3に参加した後、31日には沖縄県石垣島沖に停泊していたことが確認されている。中国侵略戦争において日帝の敵基地攻撃能力の要となる「いずも」に対し、山里節子さんら石垣島市民が抗議の声を上げたのは当然だ。
 「いずも」は2027年度、同型の2番艦「かが」は28年度までにそれぞれ改修を終えて「空母化」する予定だが、そもそも最初から空母として使うつもりだったことは確実だ。「ヘリコプター搭載護衛艦」として12年に建造が開始された段階ですでに、諸寸法は当時開発されたばかりのF35Bに対応していた。13年には元自衛艦隊司令官の勝山拓が「世界の艦船」誌上で「無改造でもF35Bの発着・格納が可能」だと漏らしていたように、その建造目的は明らかだったのだ。
 11年に米帝・オバマ政権が「リバランス政策」を発表して以降、米帝は急速に対中シフトを進めてきた。これに対応して日帝が中国侵略戦争のために準備した兵器が「いずも」であり、その母港は横須賀だ。9・22横須賀闘争に集まろう。
このエントリーをはてなブックマークに追加