中国侵略戦争突進の米民主党大会 ハリス「戦時大統領」宣言

週刊『前進』04頁(3360号02面02)(2024/09/02)


中国侵略戦争突進の米民主党大会
 ハリス「戦時大統領」宣言

(写真 全米から集まったデモ隊は、民主党大会に怒りをたたきつけた【8月21日 アメリカ・シカゴ】)

(写真 「イスラエルへの援助を止めろ!」夜間も座り込み、大会会場前での実力闘争を徹底して闘い抜いた【8月22日】)


 8月19~22日に行われた民主党全国大会(DNC)は、同党大統領選候補のカマラ・ハリス大讃美で最初から最後まで染め上げられた。巨費を投じてハリウッド・スターなどを集め大舞台を演出、他方でパレスチナ系の民主党代議員など、反対や批判がありそうな代議員はことごとく発言から排除された。メディアは大会を大スペクタクルとして報じた。この光景は、1934年のナチス大会のプロパガンダ映画「意志の勝利」を思わせる、と評されている。
 カマラ・ハリスは、戦闘的労働運動の大拠点であり黒人解放闘争・ブラックパンサーの発祥の地でもあるカリフォルニア州オークランドで地域検事長補として弾圧の最先頭に立ち、州の司法長官として警察を増強し、起訴率・投獄率を大幅に上げたと自慢してきた。上院では諜報委員会に属し、弾圧と戦争の中枢にいたのだ。今回、副大統領候補に選ばれたウォルズは州兵隊出身で、ミネソタ州知事としてブラック・ライブズ・マター運動を圧殺し、先住民を弾圧して有害な石油パイプラインを通すなどしてきた人物だ。この2人を、これまで「民主党左派」「社会主義者」だのと持ち上げられてきたバーニー・サンダースやアレクサンドリア・オカシオ=コルテスらもそろって絶賛し、投票を呼びかけた。

「最も殺害力ある軍隊を」

 大会最終日の指名受諾演説で、ハリスは「(バイデン政権の)副大統領として、 私はわが国の安全保障への脅威と対決し、外国のリーダーと交渉し、わが国の同盟を強化し、勇敢な在外米軍に寄り添ってきた」と言った直後に、「最高司令官になれば、私は、米国が世界で最も強力で、最も殺害力ある(lethal)軍隊を保持し続けるようにする」と宣言している。
 「副大統領から大統領になったら」ではなく「最高司令官になったら」なのだ。米国大統領には米軍最高司令官の役割が含まれる。だがハリスは大統領の全体的な職務ではなく、最高司令官としての職務を最優先とした。中国侵略戦争・世界戦争を自分こそが担う、「戦時大統領」になるということだ。第2次大戦後、アメリカ帝国主義は間断なく戦争・クーデターを続け、少なくとも2千万人を殺害してきた。だが、これまでの米大統領は米軍を「防衛力」と呼び、「殺害力」とは言わなかった。このハリスの露骨な言明は、従来の戦争とは違う戦争をするためなのだ。
 ハリスはさらに、「21世紀の競争で米国が中国に勝利し、世界的なリーダーシップを放棄せず、強化する」と述べた。米帝の基軸国からの陥落を何が何でも阻止するために、中国侵略戦争をするのだ。
 トランプの「北大西洋条約機構(NATO)放棄の脅し」「金正恩へのすり寄り」を非難し、自分なら軍事的に対決するとして、ウクライナ戦争=米帝の対ロシア戦争のエスカレーション、対北朝鮮、対イランの戦争挑発を狙っている。米大統領選挙戦は、世界戦争への突進を競い合う過程になっているのである。
 そして、「はっきりさせておく」と前置きして「私はいかなる時にもイスラエルの自衛権のために立ち上がり、自衛能力の確保を保証していく」と強調した。米帝・イスラエルのガザでの大虐殺、西岸地区でのパレスチナ人追放、中東全域で戦争のエスカレーションを進めるということだ。そのため、すでにデマだと暴かれている「10・7ハマスによるテロ」「性的暴力」をまたも持ち出した。

虐殺者を弾劾し実力闘争

 今回の民主党大会の会場をシカゴに設定したことは、労働者階級人民への挑戦だった。シカゴはアメリカ労働運動の伝統的な大拠点だ。19世紀末に8時間労働制を求めたシカゴの闘争からメーデーが始まった。近年も地域ぐるみの大ストライキをしたシカゴ教組(米教員連盟第1支部)をはじめ戦闘的な労働組合が多い所だ。そして全米で最もパレスチナ系アメリカ人が多く居住し、またシオニズムに反対するユダヤ人が多く、この間のパレスチナ連帯反戦闘争が大きく闘われてきた所だ。民主党はこの労働者階級の闘いをつぶすために、わざわざシカゴで大会を行ったのだ。
 これに対する闘いは、ベトナム反戦闘争の大高揚への転機となった1968年の民主党大会に対する闘いに並び称される、巨大な衝撃力となった。昨年の10・7蜂起以来、パレスチナ連帯・ジェノサイド反対の闘いが大学のキャンパス占拠の実力闘争や港湾の軍需物資輸送拒否・阻止闘争を中心に爆発的に拡大している。その闘いを担ってきた200以上の諸団体が「マーチ・オン・DNC」(民主党全国大会に対する行進)という統一戦線を結成した。メインスローガンは、「パレスチナと共に立とう! アメリカのイスラエルへの援助を止めろ!」だ。サブスローガンには「金を雇用、学校、健康保険、住宅、環境に出せ! 戦争に金を出すな!」「労働組合結成の権利、ストライキの権利を守れ!」などが掲げられた。労働者階級を基礎に、パレスチナ連帯闘争を米帝への闘いに集約して闘われたのだ。
 まず、平日であるにもかかわらず全米から結集した数千人がシカゴ市街で連日デモをした。そして機動隊の阻止線と鉄柵に対して実力で会場に迫り、会場内での座り込みなども行われた。会場に入る代議員にはビラが配られ、マイクでアメリカのイスラエルへの武器援助停止が呼びかけられた。そして、ガザで殺された子どもたちの名前が一人ひとり読み上げられた時、それを嘲笑し、またあえて耳をふさぐポーズをとって通り過ぎる代議員たちに怒りがたたきつけられた。
 それはSNSや諸団体のホームページで直ちに全米・全世界に伝えられ、米民主党の真の姿を暴露し、「トランプに政権を渡すな、リベラルな民主党に投票しよう」という宣伝のペテンを徹底的に暴いた。民主党バイデン・ハリス政権こそが、ガザ大虐殺をしてきたことは誰でも知っている。それを免罪する者はジェノサイドの共犯だ。
 激烈な大統領選を通じて、米帝は中国侵略戦争への突進を急加速させている。この戦争を絶対に阻止する闘いを拡大しよう。

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