十亀弘史の革命コラム-20- 戦争を起こす者への怒り

週刊『前進』04頁(3358号04面03)(2024/08/19)


十亀弘史の革命コラム-20-
 戦争を起こす者への怒り

 朝日新聞の社内筆者が書いたものとしては珍しく、直截(ちょくせつ)に戦争への怒りを訴える記事がありました。8月4日の「日曜に想う」欄の、沢村亙・論説主幹代理による「だれに怒るべきなのか」という一文です。広島で被爆した自分の母やその同級生の被爆体験を紹介した後、峠三吉と四國五郎の作品や活動が戦争と原爆への「憤怒」にかられたものであったことを述べ、文末を次のように締めくくっています。「核の脅しが響き、核軍拡の足音が高まる。今こそ、怒りがいる。戦争を起こす者への怒りが」
 当人の主観的な真摯(しんし)さは疑いません。しかし彼は、「戦争を起こす者」がいったい誰なのかを具体的に特定していません。そうであればその怒りは、どこまで行っても宙に浮いた抽象的な怒りで終わってしまいます。現実には「戦争を起こす者」は名前を持つ特定の個人ではありません。帝国主義体制における支配階級の総体であり、政治的にはさしあたり岸田政権によって代表されます。したがって、「戦争を起こす者」への怒りは、労働者・人民による帝国主義の階級支配を覆す組織的な怒りとして、実現されなければなりません。「だれに怒るべきなのか」。戦争を必然とする帝国主義の支配階級に怒り、彼らを打ち倒せ、です。
 8・6ヒロシマ大行動実行委員会による8・6当日の闘いは、まさにそのような闘いとして打ち抜かれました。平和記念公園の未明の空に、前夜から座り込んでいた人たちによる、「ここから反戦反核の闘いを本当に爆発させて行く」との戦闘宣言が響きました。午前5時前から始まった、公園から排除しようとする市職員や機動隊の弾圧は、闘う人々の団結した実力によって完璧に粉砕されました。座り込みは機動隊に一指も触れさせず貫徹され、続けて来広の岸田や松井市長を弾劾する「記念式典」抗議のデモも敢行されました。
 朝の激突を報じる産経新聞ウェブニュースのタイトルは「『帰れ、帰れ!』原爆の日・平和記念公園で怒号、広島市の警備強化に反戦・反核団体が猛反発」です。その「猛反発」が見事に勝利したのです。記事の写真には、中央左に、白いヘルメットが大きく輝いています。青年がかぶったその白ヘルの側面に書き込まれているのは、「FIGHT FOR YOUR FUTURE」の文字。そうです、本当に核も戦争もない未来は、この闘いによってこそ切り開かれます。
(そがめ・ひろふみ)
2024.8.19

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