国鉄解雇撤回裁判 全員退廷の暴挙に怒り 東京地裁、井手・深澤の尋問拒否

週刊『前進』04頁(3358号04面01)(2024/08/19)


国鉄解雇撤回裁判
 全員退廷の暴挙に怒り
 東京地裁、井手・深澤の尋問拒否

(写真 「解雇撤回判決を出せ」と叫んで日比谷公園霞門から東京地裁を一周するデモに出た【7月31日】)

 国鉄1047名の解雇撤回を求める裁判の第14回口頭弁論が7月31日、東京地裁民事第11部(須賀康太郎裁判長)で開かれた。原告の動労総連合は、解雇を首謀し実行したJR西日本元会長の井手正敬とJR東日本会長の深澤祐二の証人尋問を求めたが、裁判長はこれを無視して結審を強行した。これに抗議する傍聴者に裁判長は退廷命令を乱発、最終的には傍聴者全員に退廷命令と庁外退去命令が出され、廷吏の暴行で多くの傍聴者が負傷した。
 専制国家そのものの異様な法廷は、戦時下で国鉄闘争が持続的に展開されていることへの国家権力の焦りによってもたらされた。国鉄闘争は解雇撤回まで「あと一歩」のところに迫っている。だから裁判所は井手と深澤の尋問を拒み、真実を隠すためにこの暴挙に及んだのだ。改憲と戦争国家化を目的に強行された国鉄分割・民営化は、裁判所を含む国家の暴力によってしか維持できない。今も続く国家的不当労働行為との闘いは、戦時下でますます重要だ。それは全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への大弾圧や全国金属機械労組港合同昌一金属支部に対する組織破壊攻撃を打ち破る闘いと一体だ。11・3労働者集会は戦時支配の確立を狙う国家権力との決戦攻防にせり上がった。
 昨年4月の裁判で、原告側は井手や深澤の証人尋問を拒否した裁判官に忌避をたたきつけた。それが最高裁で棄却されるまで、1年3カ月も裁判が中断したことも異例の事態だ。
 再開された裁判で、原告側は動労総連合の組合員をJRから排除するための「不採用基準」がJR設立委員長の指示で作られた以上、解雇の責任はJRにあると改めて主張した。また、「30年以上も前の解雇は労働委員会の審査の対象にならない」と言い張る中労委に真っ向から反論した。優生保護法により不妊手術を強制された被害者が国に損害賠償を求めた裁判で、最高裁は不法行為から20年が経てば損害賠償請求権が消滅するとした「除斥期間」を適用しないと判断した。原告側はこの判決を引用し、時間の経過を口実にJRに不当労働行為の責任を免れさせることは正義に反すると力説した。
 だが、裁判長は一切の説明もせずに結審を宣告し、判決期日を11月13日と一方的に指定した。「裁判は終了した」と言いつつ裁判官はその後も法廷にとどまり、弾劾の声を発する傍聴者に廷吏を襲いかからせた。暴力行使のみを目的とした不当きわまる暴力の発動だ。裁判所庁舎内には制服や私服の警察官が入り込み、弾圧の機会をうかがった。こうして裁判所は、戦時司法への転換を挑発的に打ち出してきたのだ。
 裁判に先立ち東京地裁を包囲するデモが行われた。解雇撤回判決を求める署名も新たに1268筆が提出され、署名総数は1万2611筆に達した。
 裁判後の総括の場で動労千葉の中村仁副委員長は解雇撤回の決意を示し、関道利委員長は裁判所の暴挙を弾劾して、11・3労働者集会へ総結集を訴えた。

雇用継続訴訟でも高裁が結審を強行

 動労千葉がJR東日本とその子会社の千葉鉄道サービス(CTS)に組合員の65歳以降の雇用継続を求めた裁判の控訴審でも7月19日、東京高裁第1民事部(金子修裁判長)は事実調べを拒んで結審を強行した。大法廷を埋めた傍聴者は怒りの声を上げた。
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