全存在かけ核戦争阻む 被爆79周年8・6ヒロシマ大行動

週刊『前進』04頁(3358号02面01)(2024/08/19)


全存在かけ核戦争阻む
 被爆79周年8・6ヒロシマ大行動

 前夜からの原爆ドーム前座り込み闘争で権力と右翼の介入をはね返し、6日朝7時から反戦反核集会が盛大にかちとられた(前号既報)。同日午後からの8・6ヒロシマ大集会にはその勝利感と熱気がそのまま持ち込まれ、全参加者が巨大な反戦反核闘争を巻き起こすことを誓った。前日の5日には自治体労働者を先頭とした市役所包囲デモ、教育労働者集会も行われ、前夜総決起集会と合わせ参加者の決意を高めた。

勝利感に満ち大集会

 8月6日昼、広島県立総合体育館小アリーナで開かれた核戦争阻止!被爆79周年8・6ヒロシマ大集会には全国から750人が集まり、朝の原爆ドーム前集会・デモをかちとった高揚感があふれる集会となった(主要な発言別掲)。8・6ヒロシマ大行動共同代表の室本けい子さんが集会禁止攻撃を打ち破った喜びを語って集会は始まった。
 85歳の長崎の被爆者・土井玞美子さん、共同代表を務める広島の被爆2世・中島健さん、広島の被爆2世でNAZENヒロシマ呼びかけ人の渡子健さんら被爆者・被爆2世が最初に発言に立ち、再びの侵略戦争・核戦争を阻止する闘いの先頭に立つことを宣言した。
 大行動事務局長の宮原亮さん(被爆3世)が基調提起を行った。冒頭、宮原さんが「集会規制を夜通しの闘いで打ち破り、警察権力に一指も触れさせずに集会をやり抜いた。デモも岸田発言の最中に徹底的に怒りをたたきつけた。一点の曇りもない大勝利だ」と宣言すると、大歓声と拍手が巻き起こった。さらに宮原さんは「今こそ反戦闘争を爆発させよう。どのような脅しや弾圧にも屈しないで団結して闘えば勝利できる。本日の闘いを通して、その展望を示すことができた」と確信を込めて訴え、「今や日本最大の自国政府打倒集会となった11・3労働者集会に大結集しよう」と呼びかけた。
 沖縄コールセンター労働組合の仲宗根光洋委員長、3・11反原発福島行動実行委員会共同代表の椎名千恵子さん、広島・大坂正明さん救援会代表の大江厚子さん(大行動共同代表、安芸太田町議)が次々と発言に立った。カンパアピールを広島連帯ユニオン執行委員の鄭伊佐さん(被爆3世)が行った。
 後半は、国際連帯アピール、闘う労働組合の力強い訴えが続いた。岐阜から駆け付けた日本アラブ未来協会の田中博一さんが、「朝の皆さんの闘いがガザの人々に伝わっています」と報告し、ガザとイラク・バグダッド在住の友人からのメッセージを読み上げた。
 韓国・テグからは今年も全教組をはじめ8人が参加。代表して金属労組ソンソ(城西)工団地域支会のパクヒウンさんが旭闘争の勝利を共に喜び、ユンソンニョル政権下で激化する労組弾圧・安全破壊との闘いを報告、「職場で倒れることも、戦争で殺し合わされることも拒否するという同志たちの声が切々と響いている」と感動を語った。
 全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部・武谷新吾副委員長の8・6ヒロシマ暴処法弾圧・関生弾圧粉砕を訴えるメッセージが代読され、弁護団の森川文人弁護士は5人の奪還へ裁判所を取り囲もうと訴えた。
 闘う労働組合から、動労千葉・関道利委員長、全国金属機械労働組合港合同昌一金属支部・西岡勝仁副委員長、自治労広島市労働組合・住廣美智子さんが発言に立ち、激しい攻防に勝ち抜いて11・3労働者集会へ闘いを進める決意を口々に語った。
 広島大学学生自治会の学生は、「被爆地・広島の名を利用した核戦争への突進を粉砕する闘いができた。パレスチナ人民の闘いに応えて世界革命を現実にする闘いであり、その確信をもって11・3労働者集会に6千人を集めましょう!」と力強く結んだ。最後に、共同代表の壹貫田康博さん(被爆2世)が「来年は被爆80年、『はだしのゲン』が嫌いな人たちは天皇を呼ぶと言っている。この1年、また壮絶な闘いになるが、団結して攻撃を粉砕しよう」と呼びかけた。
 そして8・6広島闘争最後のデモに出発。外国人を含め多くの人が沿道からこぶしを挙げて応え、解散地点の原爆ドーム前では「朝の攻防はすごかった」と声をかけてくる人も。参加者は自らが守り抜いた原爆ドーム前で、団結ガンバローで闘争を締めくくった。

被爆者・被爆2世から

戦争反対を叫び命ある限り闘う
 長崎の被爆者/婦人民主クラブ全国協議会・福岡支部 土井玞美子さん

 原爆ドームは戦争に反対するすべての人が集う場所です。集会禁止は絶対に認められません。私たち被爆者の思いは学生・青年の皆さんと同じです。反戦運動への弾圧を許さず、拘置所に入れられている5人も絶対に取り戻しましょう。
 今年5月に沖縄を訪れ、全国の仲間と共に辺野古の基地建設を阻止する闘いに参加しました。私自身も長崎で原爆や空襲を体験しましたが、今もウクライナやガザで続く戦争もむごさは同じです。世界の誰にもそんな経験をさせてはいけません。
 しかし今、九州では中国侵略戦争に向けた軍事要塞(ようさい)化が進められています。佐賀空港の隣接地では、漁民の土地を接収して九州最大の自衛隊基地が造られようとしています。ここにはオスプレイ17機と戦闘ヘリ50機を持ってきて、侵略のための殴り込み部隊である水陸機動団を台湾や沖縄へ送り込もうとしています。沖縄・九州を戦場にして、中国―アジアを占領する戦争を日米政府は本気で始めようとしています。それは間違いなく、広島・長崎を超える核戦争です。絶対に許してはなりません。私も佐賀に何度も駆けつけ、オスプレイ反対、戦争反対を叫び、工事ゲート前に座り込んでいます。団結を打ち固め、世界中の人たちと連携して戦争絶対反対で闘い抜きましょう。命のある限り、皆さんと共に闘います。
 被爆者として、そして8・9ナガサキ反戦反核行動の呼びかけ人として、8月9日には長崎の地で核戦争阻止の声を上げます。

広島を侵略戦争阻止のとりでに
 広島の被爆2世/8・6ヒロシマ大行動共同代表 中島健さん

 本日の闘いに圧倒的に勝利した。多くの人たちの結集で、昨年のように右翼を突入させて権力が介入するということすらできず、原爆ドーム前集会を実力でもぎ取りました。実力闘争で勝利できるんだと、示すことができました。
 松井一實広島市長は被爆2世ということを売り出して市長になって、連合や社民党にも支えられて、あんなでたらめなことをやっている。私たちは今日の闘いを通じて松井の正体を暴き切った。8月6日の追悼式をわれわれ自身が取り戻し、広島を日本の侵略戦争を阻止する大きな砦(とりで)としていきたい。
 今、私は猛烈な危機感を持っています。帝国主義の側が「核使用は正しい」「ガザで使え」と必死で言っています。米上院議員は「広島・長崎への原爆投下は正しい決断だった」とまで言った。広島は絶対にそれを許さず、戦後の被爆者運動のすべてをかけて、闘いの陣形をつくっていくことが大事だと思います。
 戦後すぐ、広島の支配階級は被爆したことを歓迎したのです。それに対して被爆者は闘ってきましたが、3年前に広島市は「平和推進基本条例」を制定し、8月6日の原爆投下は「世界平和樹立への礎」だと言った。つまり広島市が「原爆投下は正義だ」と言ったんです。松井市長打倒へ、今後も闘っていきたいと思います。
 日本のアジア―中国への再侵略、核戦争を阻止することがわれわれ被爆者、被爆2世、被爆者家族の責務だと強烈に自覚し、皆さんと共に闘っていきます。

反戦反核を貫き「ど真ん中」進む
 広島の被爆2世/NAZENヒロシマ呼びかけ人 渡子健さん

 皆さんの力を分けてもらって朝の集会とデモをかちとることができました。普段はデモや集会に出ない知人から、「行動する君たちは正しい」というメッセージが送られてきました。
 問題は音量でも、単なる表現の自由でもない。自国が戦争をしようとしているときに広島が焦点になっているから、権力はあそこまで必死になって集会をやらせないようにしたということだと思います。
 私は父と母方の祖父、父方の祖母が被爆者の被爆2世です。1回だけ聞いた祖父の話はよく印象に残っています。祖父に話を聞いたきっかけは平和学習で、当時の先生たちの「教え子を二度と戦場に送らない」闘いがあったから聞くことができたのだと思います。
 原爆ドーム前にもし1万人、10万人が結集したら機動隊に包囲されることもなく、堂々と集会もできると思います。私たちは決して「左端」にいるわけではなくて、核をなくし、戦争をなくし、反被曝、被曝労働も拒否して闘うという「ど真ん中」を中央突破したいと考えています。
 8・6ヒロシマ大行動の朝デモは2011年、福島原発事故の年から始まりましたが、健康被害を訴える反被曝の闘いは、まさにこれからが本番と言ってもいいでしょう。反被曝の闘いは大変な長期にわたることを私たちは学んできました。長期にわたって健康被害を訴え、認めさせる、そして責任を取らせるという非和解の闘いをやっていきましょう。私たちはど真ん中、中央突破で頑張っていきましょう!

開会あいさつ

戦争を止める力はここにある!
 8・6ヒロシマ大行動共同代表 室本けい子さん

 今日の大成功は、全国から結集してくださった皆さまの団結の力のおかげです。本当にありがとうございました。前夜から、私はここに立ってごあいさつできるかどうか、本当に心配しておりました。でもこうやってさわやかなごあいさつができるのを、とてもうれしく思っております。
 昨日の市役所包囲デモも圧巻でした。若い力の結集で力強い前夜総決起集会が闘われ、徹夜の座り込みが行われました。団結の力を実感し、本当にここに展望があると確信できました。(暴処法弾圧で逮捕・勾留され)広島拘置所で頑張っている皆さんにもすぐ報告して、一日も早く5人と合流したいと思っております。
 とんでもない岸田を、そして岸田べったりの松井市長をなんとかしなければなりません。今度はどんな手で反撃にくるか、覚悟をしてまた団結の力で頑張ろうと思います。戦争を止める力はここにあります。展望が見えました! 11月集会に向けてもうひと頑張り、よろしくお願いします。

暴処法弾圧を許さない

裁判所取り囲み5人奪還しよう
 8・6ヒロシマ暴処法弾圧弁護団 森川文人さん


 本日私たちは、やるべきことをやったと思います。逮捕されている5人も同じです。やるべきことをやっただけだ。そもそも犯罪者は誰だ。「非常識」で「不道徳」なのは誰だ。
 戦争の時代というのは本質的には階級闘争の時代で、それを戦争で隠そうとしているのです。だからこそ私たちは今、歴史的な闘いをやっているという誇りを持って闘っていると思います。確かに戦争は近づいていますが、私たちは戦前ではなく革命前夜を生きている。この確信を持って闘いましょう。
 裁判所を取り囲み、5人を奪還して、勝訴の判決を経て、この闘いをさらに拡大していきましょう。

闘う労働組合から

世界戦争阻止へ11月集会成功を
 国鉄千葉動力車労働組合委員長 関道利さん

 朝の記念式典にはガザで公然と虐殺を続けるイスラエルが招待され、核戦争を準備するアメリカ、岸田が参加しています。7月28日の日米2プラス2では「在日米軍の創設以来、最大の変化」を宣言し、中国やロシアに対する核抑止のための初の閣僚級会合まで開催しました。虐殺と核戦争を進める連中に怒りをたたきつけるのは当然です。
 5人の仲間への暴処法弾圧は敵の恐怖の表れでもあります。世界戦争情勢下で世界中で労働者が怒り、デモに立ち、ストライキを闘っています。日本でも巨大な反戦闘争、そして階級的労働運動建設の展望が間違いなく生まれています。
 私たち動労千葉は、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同の仲間と共に、闘う労働組合をよみがえらせようと訴えて11月労働者集会を開催してきました。国境を越えた労働者の団結で世界戦争を阻止する闘いとして今年の11・3労働者集会を成功させたいと思います。関西生コン支部への弾圧を絶対に粉砕し、港合同の仲間を守り抜きましょう。

団結を守り抜き労組破壊と闘う
 全国金属機械労働組合港合同昌一金属支部副委員長 西岡勝仁さん

(写真 左から大塚書記長、西岡副委員長)

 昨日の広島拘置所激励行動から大塚亮書記長と共に参加しています。昨年末からの民事再生法適用申請という突然の激しい攻防、これはわが支部だけにかけられた攻撃ではなく、今年の8・6ヒロシマをめぐる攻防と同じことが問われていると感じています。昌一金属の攻防、8・6ヒロシマ暴処法弾圧、関西生コン支部弾圧における湯川裕司委員長と前委員長への懲役10年求刑攻撃は一体です。
 昌一金属支部は今、執行部4人が団結を崩さず闘っています。それは関西生コン支部、全港湾大阪支部、関西労組交流センター、そして全国の仲間の手厚い支援があるからです。この闘いが資本を追い詰めています。昌一金属代理人弁護士と那須電機鉄工は組合事務所の明け渡し仮処分を申請し、大阪地裁は仮処分決定を出しました。支部結成から65年の歴史と多くの先輩たちがつくってきた地域の拠点を、会社、弁護士、裁判所がぐるになって取り上げるなど絶対に許せません。
 しかし、資本の横暴な姿は追い詰められた姿です。私たちの武器は一点、団結です。港合同昌一金属支部は闘争勝利まで闘います。

戦争に加担する広島市許さない
 自治労広島市労働組合 住廣美智子さん

 私は広島市役所に勤める非正規職の会計年度任用職員です。私が所属する自治労広島市労働組合は昨年度、「反核・脱原発」をスローガンから降ろしました。そして広島市は今年度の記念式典で、原爆ドーム前を封鎖する完全な集会禁止措置を強行しました。しかし、われわれは前日の夜から座り込んで朝集会とデモを貫徹し、ここに結集しています。広島の仲間も街頭宣伝や座り込み、市長への抗議の申し入れなどを闘い抜いてきました。その結果が今回の座り込みの貫徹、そして朝集会の貫徹だと思います。本当に皆でもぎとった勝利です。
 昨年の8・6をめぐり暴処法弾圧で逮捕された5人は今も不当に勾留され続けています。広島市は結局、国に屈服して真っ先に戦争参戦の手先になると決めたと言っても過言ではありません。この勝利をさらなる怒りにつなげ、11月集会に結集しましょう。

沖縄から

沖縄を核戦争の戦場にさせない
 沖縄コールセンター労働組合委員長 仲宗根光洋さん

 今日、沖縄コールセンター労組からは書記長も参加しています。今回、彼や自分が逮捕されるかもしれない、その時はどうするのか、労組の闘いはどうするのか、そういったことも皆で話し合って彼の決起を生んだ。そういう数限りない議論がこの大結集を呼び、ドーム前集会をかちとる大きな力となったと思います。
 今日、タクシーの運転手に「デモ行進は邪魔」「自分も被爆2世。慰霊の日は静かにやるべきじゃないか」と言われました。そこで、「自分はデモの参加者です」と断ったうえで、「自分は6月23日、沖縄の『慰霊の日』に『岸田は帰れ、沖縄に来るな』とはっきり言った。そういうことを言い続けない限り何も進まないし、絶対に今より悪い世の中になる」と伝えました。
 沖縄が核戦争の戦場になることを絶対に阻止する闘いを、沖縄県内で巻き起こすための結集軸になるべく頑張ります。

福島から

被曝地・福島も共に立ち上がる
 3・11反原発福島行動実行委員会共同代表 椎名千恵子さん

 8・6ヒロシマに世界中の人々が注目していたと思います。それに応える闘いを私たちはやり抜き、岸田と広島市長の画策を木っ端みじんに砕きました。
 福島は2011年3月11日の福島第一原発事故で核被曝地となりました。県民の多くは今も低線量被曝の中にあります。広島の問題は福島の問題として駆けつけております。
 福島第一原発では原子炉建屋のトラブルも後を絶たず、つい先日も作業中の原発労働者が亡くなりました。国は核兵器の材料を担保するために原発を造り、きれいなエネルギーとだまし、事故が起きれば証拠隠滅のために基準値を緩和して、「帰還困難区域」を外し放題、到底許せません。福島は立ち上がっていきます。福島では8月23日、反戦反核集会を行います。原発汚染水の海洋放出は海への核投下です。9月から一斉に始まる原発再稼働に対する闘いとして成功させ、福島圧殺をはね返したいと思います。どんなことがあっても、核戦争を共に止めていきましょう。

韓国から

資本主義と闘う労働者の連帯を
 金属労組城西工団地域支会 パクヒウンさん

 攻撃を打ち破り、反戦反核の旗のもと行動に立ち上がった皆さんに敬意を表します。感激しています。
 まず、旭非正規職支会の労働者たちが日本の労働者の仲間との連帯で重要な勝利をかちとったことを報告したいと思います。労組を結成したという理由で解雇された労働者たちが9年間の闘いに勝利し、今月1日に復職しました。旭支会の労働者たちが長期間あきらめずに闘い続けられたのは、日本の皆さんとの深い連帯のおかげです。労働者の闘いに国境はなく、労働者は一つだと感じました。
 韓国はユンソンニョル政権下で労組弾圧が続き、労働者が職場で死に続けています。労働者への弾圧、気候危機、戦争危機、マイノリティーへの差別とヘイトは資本主義がある限り続くでしょう。だからこそ全世界の労働者たちが連帯し、闘う決意を改めて感じています。今日の感動と闘いの精神を決して忘れません。トゥジェン(闘争)!

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