原爆ドーム前 一歩も引かぬ 被爆者の闘い継ぎ

週刊『前進』02頁(3357号02面01)(2024/08/12)


原爆ドーム前
 一歩も引かぬ 被爆者の闘い継ぎ

怒りのデモ戦争式典を直撃

8時15分の黙とう後、「岸田打倒! 戦争反対!」の声を響かせてデモに出発。入場規制のメインゲートがある元安橋前から式典会場の対岸を進み、演説中の岸田を「戦争進める岸田は帰れ!」の声が直撃した(8月6日朝 広島市)

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 8月5日夜から6日午前8時15分まで、8・6ヒロシマ大行動実行委員会は徹夜で原爆ドーム前で座り込み、全国から結集した650人と共に広島市の公園封鎖・集会禁圧を打ち破り、朝7時から原爆ドーム前集会を実現した。集会発言(要旨)を紹介します。(編集局)

(写真 「中国侵略戦争阻止!」「ガザ虐殺をやめろ!」「8・6弾圧粉砕!」----怒りのシュプレヒコールが続いた)

被爆者の怒り体現し
 被爆者 高木美佐子さん

 私は79年前、長崎で被爆した高木美佐子といいます。8・6弾圧を打ち破って、皆さんがドーム前の公園の中にいることに本当に感謝しています。
 権力及び松井市長は、何としてもこの8・6広島を反戦反核から戦争をする式典につくり変えようとしています。8・6―8・9の原爆の惨禍を忘れ去り、なきものにすることが許せるでしょうか。
 何十万の人が死んでいきました。その上に私たちは生きているんです。この被爆者の恨みと思い、怒りを体現して今日の集会に参加しました。
 戦争はしないとしてきた日本が、国際的な場で核武装をするようなことをいろいろと取り決めています。この流れは絶対にあってはならないと思います。子どもたち、青年たちのために絶対に戦争を許してはならないという思いで、ここに立っています。イスラエルはガザに侵攻している。この日本もそれに加担しています。イスラエルに武器を送り、ガザの人たちは毎日毎日殺されています。
 これを止めるために、8・6集会はとても重要な集会です。皆さんと一緒に最後まで闘い抜きます。一緒に頑張りましょう。

今こそ核戦争阻止を
 8・6ヒロシマ大行動共同代表/被爆2世 中島健さん

 自分の手で平和をかちとり、反戦を貫いていきましょう。今、ジェノサイドが続くガザで、ウクライナで核戦争の危機が強まっています。イスラエルはガザの抵抗闘争をつぶすために核兵器を使うべきだと言い、これに呼応してアメリカの上院議員が「今使わなければだめなんだ、広島に原爆を落とし時を置かずに長崎に原爆を落としたからわれわれは勝ったんだ」とまで言い出しています。さらにアメリカの国防長官が「広島への原爆攻撃は正義だった」と言っているんです。
 私たちは今日8月6日、原爆が79年前に落とされたこの広島に集まっていますが、世界の核戦争の危機の中で「原爆を使うな」という闘いについてはっきりさせなければなりません。
 ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の事務局長が、岸田首相が最大の原爆推進者だと指摘している。岸田はアメリカとの間で日米核同盟を締結して「守るのではなくて攻める核兵器」と言っています。私たちは岸田が「広島の出身」だとか「ヒロシマの心を忘れない」だとか「自分のライフワークは核廃絶だ」などと言ってますけれども、全く信用することはできません。中国新聞の社説に「本当に日本は核廃絶をやる気はあるのか」と載っていました。
 パレスチナ・ガザの闘う民衆と連帯することをまず第一に掲げる。一刻も早くウクライナ戦争をやめさせる。ロシアもアメリカもウクライナから手を引け。ロシアの労働者民衆は立ち上がってプーチンを倒せ、われわれ日本の民衆も岸田を倒す。こういう国際連帯で世界の平和をつくっていきましょう。

包囲されたのは権力
 全学連副委員長 神野豊典さん

 体を張って反戦反核の闘いに決起している全ての皆さん。団結と国際連帯、そして戦争反対、核反対の怒りと思いによって、私たちはこの場所を権力から守り抜いています。
 皆さん、長い夜が明け、この場所の構図がはっきりしました。反戦反核を訴える私たちに対して、この警察機動隊の大群、これで松井市政による戦争式典の正体がはっきりしたんじゃないですか。
 しかし、包囲されているのはわれわれではない。警察・機動隊の連中、そしてこの後やって来る戦争屋の連中、やつらこそが世界中の戦争反対、核反対の怒りによって包囲されているのだということを、私は確認したい。
 皆さん、79年の被爆者たちの怒りとパレスチナの人々の怒りが、私たちの怒り、行動に宿っています。もはや誰も、私たちから反戦反核の思いを奪い去ることはできない。そのことを証明した原爆ドーム前の朝集会、徹夜の座り込み闘争になったと思います。
 この後もこの場所を守り抜き、あの元安橋を越えた先にいる、米日の中国侵略戦争を進める戦争屋と、イスラエルの虐殺者たちに対して、怒りの声をたたきつけていこうではありませんか。

今戦争を止める責任
 8・6ヒロシマ大行動共同代表/被爆2世 壹貫田康博さん

 戦後79年、被爆者は闘ってきました。今、本当に大事なのは、始まろうとしている戦争を止めることだと思います。被団協は被爆者援護法、正しくは原爆被害者援護法を要求してきました。この中には被爆2世に対する補償も含まれています。そして重要なのは、国家による戦争責任、日本政府の戦争責任を追及していることです。被爆者援護法ではいまだにこの点を日本政府は認めていません。
 しかし今、過去の戦争責任を追及すると同時に、いま始まろうとしている戦争を止める。この責任が私たち被爆者・被爆2世にはあるんだと思います。
 世界の人々に訴えたい。今、広島は大変なことになっている。松井市政のもとで『はだしのゲン』が削除され、第5福竜丸も削除された。そして岸田首相に「平和のアピール」を今日やってもらうと言っている。なぜ岸田首相が平和のアピールをするんですか。
 今、核戦争に向けて日米が一体となって進んでいる。その時に戦争絶対反対の声を上げる、そしてその声を実際の行動に移すことが必要なんじゃないですか。今私たちは、これを実践しています。
 この行動が全世界の人々に届いて、「ヒロシマは闘っている」ことを訴えることができたら幸せです。みなさん、共に団結して闘いましょう。

正々堂々反戦貫こう
 8・6ヒロシマ大行動事務局長/被爆3世 宮原亮さん

(写真 広島市職員・警察機動隊に「どんな弾圧にも一歩も引かず闘う」と宣言するヒロシマ大行動実行委の宮原事務局長)

 岸田の式典演説に怒りをぶつけるデモを、不当な弾圧を粉砕し一糸乱れぬ団結でやりぬきましょう。
 皆さん、8時15分に黙とうをします。警察権力は黙とうの瞬間までこの平和公園に居座って、われわれを蹂躙(じゅうりん)するつもりなのか。これが彼らの言う「厳粛な式典」なんでしょうか。ここにおられる新聞各社、世界のメディアの皆さん、これが2024年の8月6日の広島の実態です。
 皆さん、今日の集会で私たちは誰か一人でも乱暴なことをしましたか。私たちはただ原爆ドームの前に座り込んで、それこそ79年間、被爆者が核実験の度にやってきたように座り込んで、市のこの不当極まる集会禁止、そしてイスラエルや岸田首相を招待する、この暴挙に対して抗議の意思を示しただけです。
 しかもほかならぬ平和公園で今始まろうとしている核戦争を止めようと座り込んで訴えることが、どうして「公園条例違反」なんですか。どうして「威力業務妨害」なんですか。
 彼らの業務は何ですか。イスラエル、アメリカの代表を呼び、岸田を呼んで「教育勅語」を使う松井市長が執り行う式典をやる。広島の被爆者・2世・3世、市民の反対の声を黙らせて式典をやる。そんな「業務妨害」で逮捕できるものならやってみろ! 被爆者、広島市民、いや亡くなった被爆者を含めてですよ、絶対に許さない! 怒りの声は必ず爆発する。
 昨年のG7サミットに対してわれわれは「これは戦争会議だ」と体を張って闘って、何人も逮捕者を出しながらサミット粉砕の闘いをやりぬいた。その結果、多くの人たちが、「広島ビジョンは間違っている」という声を上げました。私たちが一歩も引かずに闘えば、今日の闘いに続いて、巨万の人たちが今始まろうとしている中国侵略戦争に対して絶対反対の闘いを始めると確信しています。
 私たちは一切の脅しに一切ひるむことなく、先人たる被爆者たちが命をかけて闘ってきた、核戦争を二度と許さない、広島・長崎を繰り返さないために、今こそ正々堂々と岸田の記念式典出席を弾劾するデモをやりぬきます。イスラエルの出席を弾劾するデモをやりぬこうではありませんか。

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