成田は軍事空港だ 三里塚団結街道裁判 萩原富夫さんが証言

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週刊『前進』04頁(3355号04面02)(2024/07/29)


成田は軍事空港だ
 三里塚団結街道裁判
 萩原富夫さんが証言

(写真 裁判報告を行う萩原さん)

 千葉地裁民事第3部(岡山忠広裁判長)で7月16日、団結街道裁判が開かれ、三里塚芝山連合空港反対同盟・萩原富夫さんの原告本人尋問が行われた。
 傍聴席を埋めた労働者、学生、市民が見守る中、反対同盟顧問弁護団の質問に答えて萩原さんはまず、成田市東峰で農家を営み、天神峰の市東孝雄さんとともに「三里塚産直の会」として年間60種もの野菜を完全無農薬・有機栽培で生産し消費者に届けていることを明らかにした。
 そして成田空港による地元住民無視の事例として、2001年6月の東峰神社の樹木の突然の伐採と、それに抗議した萩原進・反対同盟事務局次長(富夫さんの義父、故人)の不当逮捕を挙げた。さらに地元の農家が入会地として利用していた東峰の森の伐採、B滑走路南端に位置する東峰神社の頭上すれすれで着陸するジェット機の危険性など、空港が住民にもたらしてきた生活侵害について明らかにした。
 東峰の森を破壊して造られた東側誘導路、そして市東さんの家と畑を包囲する形での西側誘導路=第3誘導路建設を「空港に反対している住民を追い出すために行われた攻撃だ」と弾劾した。第3滑走路の建設計画が芝山町の住民を追い出しながら進められていることについて「成田空港会社(NAA)は地元住民を、自分が利益を上げる上でのじゃま者としか見ていない」と断じた。
 萩原さんは「巨大滑走路は必ず戦争のために造られる。すでに岸田政権は中国を仮想敵国として日米合同演習を繰り返している。そのもとで成田を軍事基地にする建設計画が進行している」と指摘し、成田市の小泉一成市長が軍事使用にもろ手を挙げて賛同していることを厳しく断罪した。
 萩原さんは、前回の証人尋問で小泉市長が「空港と地域との共生」を唱えたことを批判した。「地域とは誰のことか! 成田市の市民でもある現地の農民の事情など一切配慮せず廃道を進めたのが小泉市長だ」「市東さんの負担や不利益について何も考慮していない。最後は農地を取り上げて追い出すことを考えていたのだ」と、こみ上げる怒りを表した。
 被告のNAAと成田市は反対尋問で廃道による萩原さん自身の不利益を小さく描こうとしたが、逆に団結街道の当時の切実な利用状況を浮き彫りにした。さらに弁護団が補充の質問で、10年にNAAによる「道路封鎖」告知看板の設置に抗議した市東さんが不当逮捕され、さらに萩原さん自身が抗議のデモで不当逮捕された件について尋ねると、萩原さんは「思い出しても激しい怒りを感じる。まったく不当なものだ」と弾劾し、裁判長に「成田空港を特別扱いせず、住民の権利を尊重する判断を下してもらいたい」と求めた。
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