十亀弘史の革命コラム -19- 核戦争こそ究極の暴力だ

週刊『前進』04頁(3353号04面06)(2024/07/15)


十亀弘史の革命コラム -19-
 核戦争こそ究極の暴力だ

 この6月に、スウェーデンの軍事研究機関「ストックホルム国際平和研究所」が次の事実を公表しています。NHKのウェブニュースから引きますが、世界で「実戦配備された核弾頭は去年より60発増加し」ていて、「冷戦以降、これほど核兵器が国際関係において重視されているのをみたことがない。われわれは、人類史上最も危険な時期のひとつにいる」ということです。同研究所は4月には、昨年の世界の軍事費の総計が2兆4430億㌦となり、「1988年に統計を取り始めて以降、最大規模になった」としています。これが、平和や不戦を目指したはずの戦後世界が行き着いた現実の状況なのです。いくつかの「大国」が、人類全体を何度も消し去ることができる兵器を手放さず、さらに増大させようとしています。
 ただ、現状の核戦争の危機については、それをもたらしたのが誰であるかを明示しなければなりません。最大の張本人はアメリカ帝国主義です。2010年にオバマ政権が決定した、「30年間で1兆㌦を投じる」という「核兵器の近代化計画」は、トランプ、バイデン政権に引き継がれ、「実際に使える核兵器」の開発や配備が進められています。使おうとする「敵」は中国です。戦争に引きずり込んで中国を倒さない限り、すでに崩壊を始めているアメリカの覇権を維持することができないからです。
いま日米で進められている「拡大抑止の強化」は、中国に矛先を向けたアメリカの核戦力を日本に配備することを核心としています。岸田政権はそれを積極的に容認し、基地と軍備を強化しています。日米共同しての、核戦争を辞さない侵略戦争への踏み込みです。
 全くのでっち上げによる「8・6ヒロシマ暴処法弾圧」は、岸田政権のその戦争政策と一体です。広島での獄中生活を強いられている5氏の闘いは、世界戦争の切迫という現実を撃つ、大きな歴史的な力を有しています。5氏は原爆ドーム前で確固とした反戦反核の闘いに決起しましたが、どんな暴力行使もなく、被害者もいません。それにもかかわらず、誰かが、仮にも「暴力行為等」を「処罰」するなどというのなら、無数の人間の命を一瞬に奪い去る、究極の暴力としての核戦争をこそ罰し、阻止するべきでしょう。始まったら即世界の終わりという次の大戦に対しては、どんなに困難でも、戦争開始以前の革命によってそれを止めなければなりません。
(そがめ・ひろふみ)0
2024.07.15

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