骨太方針24 「防衛財源」確保へ大増税 社会保障を破壊し負担激増 戦争と生活破壊に大反撃を

週刊『前進』04頁(3351号02面02)(2024/07/01)


骨太方針24
 「防衛財源」確保へ大増税
 社会保障を破壊し負担激増
 戦争と生活破壊に大反撃を


 岸田政権は6月21日、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2024」を閣議決定した。3年ぶりに財政健全化を掲げると共に、軍事力の抜本的強化の財源として、社会保障破壊を柱とする歳出改革と「適当な時期に必要な法制上の措置を講じる」税制改革(大増税)を明記した。生活を破壊し全てを戦争に注ぎ込む戦時財政への突進だ。さらに健康保険証の廃止・マイナ保険証への一本化とデジタル化、原発再稼働などを列挙した。この戦争国家化の攻撃を大反戦闘争の爆発で打ち砕こう。

「財政黒字化」掲げ増税の容認へ誘導

 マスコミ各紙は骨太方針が来年度の財政健全化=基礎的財政収支の黒字化目標を堅持するとしたことを評価。その上で軍拡予算などの財源確保のための「負担増や他の歳出削減の議論を避け続ける姿勢は無責任きわまりない」(23日付朝日新聞社説)などと論じた。岸田の戦争国家化・大軍拡財政推進と同じ立場から「もっと踏み込め」とあおっているのだ。連合もまた「財政規律の強化と歳出構造の不断の見直しを行うべき」とする清水秀行事務局長談話を発表した。産業報国会そのものである。
 岸田は戦時の帝国主義ゆえに絶対不可能な「財政収支の黒字化」をあえて掲げた。そうすることで狡猾(こうかつ)にも大軍拡のための歳出削減、とりわけ反対の声が巻き起こっている社会保障給付の解体と負担の大幅増、大増税の容認へ世論を誘導しようとしている。
 だが世界戦争に直結する中国侵略戦争の費用に際限などない。国力と労働者人民の命の全てをのみ込んで破滅に至る地獄への道であることは明らかだ。
 現に日帝は1931年の中国東北部(満州)への侵略戦争開始から45年の敗戦に至るまで、歳出が際限なく膨張。44年度には国民総生産(GNP)の116%に達し、国家財政の限界をはるかに超えた。日帝政府はあらゆる名目で戦時大増税を断行。所得税課税額は39年度から5年間で26・1倍に膨れ上がった。戦費調達の7割超は借金が占め、巨額の国債日銀引き受けは大インフレとなり、極限的な「生活の戦時化」と国債購入が強制された。
 岸田がやろうとしていることは、2千万人ものアジア人民の大虐殺と沖縄、広島・長崎を始め全土を火の海にした帝国主義戦争とそのための戦時財政の復活だ。今度こそ戦争が始まる前に帝国主義を倒そう。

「賃上げの定着」を口実に解雇自由化

 骨太方針のもう一つの特筆点は「賃上げが33年ぶりの高水準」と自賛し「賃上げの定着」のための労働市場改革を強調したことだ。
 だが実質賃金は物価高騰下で2年以上減り続けている。インフレが消費税負担を押し上げ、6月からの森林環境税など税の新設、社会保険料と窓口負担の激増が続く。労働者に対する収奪の強化と貧困化が急速に進行しているのだ。
 そうであるにもかかわらず骨太方針は「三位一体の労働市場改革」として①全世代の能力向上支援=リ・スキリング、②ジョブ(職務)の終了で解雇となるジョブ型人事の導入、そして③「雇用政策の方向性を雇用維持から成長分野への労働移動の円滑化へとシフトしていく」と明記した。全てが雇用破壊・解雇自由化による賃金引き下げと団結破壊の攻撃である。
 岸田は日帝経済が軍需しかないところまで衰退しているにもかかわらず、「1%の経済成長率の達成」と「賃上げのため」という誰も信じない空語を繰り返した。戦争と生活破壊、腐敗を極める岸田政権に対する労働者の怒りと反乱におびえながら、中国侵略戦争とそのための階級戦争にかけようとしているのだ。

医療・介護労働者のスト決起に続け

 骨太方針は「人口減少下での経済成長」のための生産性向上と高齢者や女性の労働参加拡大を求めた。それは高齢者と女性を標的に医療・介護・年金での収奪強化と一体で低賃金労働に駆り立てていく攻撃だ。年金支給開始年齢の引き上げや高齢者の医療・介護負担の2倍化、パート労働者などの厚生年金・雇用保険加入要件の撤廃に言及した。
 しかし現場から実力の反撃が猛然と始まっている。社会保障破壊の矢面に立つ医療・介護労働者を先頭に反戦春闘ストライキが次々と闘われ、闘う労働組合の団結が拡大している。地方自治法改悪阻止へ国会前に駆け付けた自治体の青年労働者は、こんな「おしゃべり小屋」の国会で物事が決まっていくとは思わないと断じ、戦争に実力で反対し労働者の総決起を実現する決意を表明した。中国侵略戦争と労働者への階級戦争を仕掛ける岸田を倒す大反戦デモとストに立とう。
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骨太方針2024の重大ポイント
●来年度基礎的財政収支黒字化めざす
〇歳出改革(特に社会保障の歳出削減)と税制改革(「応能負担」=増税)
〇防衛力の抜本的強化の財源確保し適当な時期に法制上の措置(=増税)を実施
●「賃上げ」のための労働市場改革
〇雇用政策を「雇用の維持」から「労働移動の円滑化(=解雇自由化)」にシフト
〇生産性向上、高齢者・女性の労働参加
●「全世代型社会保障制度」の構築
〇高齢者の医療・介護保険料、利用者負担料の増額(2倍化)
〇短時間労働者も年金・雇用保険に加入

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