労働法制の大改悪許すな JR主導で「労組なき社会」狙う

週刊『前進』04頁(3350号02面04)(2024/06/24)


労働法制の大改悪許すな
 JR主導で「労組なき社会」狙う


 国鉄闘争全国運動の7・14集会は、反戦闘争を貫くとともに戦時動員と徹底対決する階級的労働運動を取り戻すために開かれる。この集会を起点に労働者が対決すべき課題として、経団連と岸田政権がたくらむ労働法制の大改悪がある。

「労使自治」の名で資本の犯罪も免罪

 経団連は今年1月16日、「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」を出し、最底辺に落ち込んだ日本の「生産性」を向上させるため、労働基準法をはじめとする労働法制の全面改悪が必要だと叫んだ。
 提言は、個別企業の労使協議で労働時間規制などを「適用除外」にできる制度を求めている。労基法は、法定基準以下の条件で労働者を働かせた使用者には刑罰を科すと定めている。だが経団連は、個別企業の「労使合意」で使用者の犯罪が犯罪にはならない仕組みをつくれと言い、それを「労使自治」と言いなす。
 しかも、「労使協議」の相手に想定されているのは、御用組合ですらない。経団連は「労使協創協議制」なるものの設置を唱える。これは労働者が選出した代表と経営者との協議の場とされているが、その「労働者代表」が資本の代弁者でしかないことは明らかだ。労働組合のない職場で36協定などを結ぶためにしつらえられた「労働者代表」が、民主的に選ばれたケースなどほとんどない。事実上それは、資本の指名で決められている。
 その「労働者代表」についても経団連は、選出単位を事業所ごとではなく企業ごとに改めろと言う。1社に1人の「代表」など、現場の労働者には雲の上の存在だ。そこには労働者の意思は何一つ反映されない。
 これに加えて経団連は、「労使協創協議」に個々の労働者を縛る労働契約の締結権を与えろとさえ言う。現行の労働組合法は、労働組合が資本と結ぶ労働協約に、個々の労働契約を修正する効力を認めている。労働協約以外のものに、それと同等の効力を与えること自体、労働組合の否定だ。
 経団連が想定しているのは、労働条件を一斉に引き下げることだ。労使協創協議で合意すれば、個々の労働者の同意がなくても、全員の労働条件を不利益に変更できる仕組みをつくりたいのだ。経団連はこれを「新しい集団的労使交渉」と称している。
 経団連の提言は、御用組合さえ解体して「労組なき社会」化に踏み込んだJR東日本の攻撃を、全産業に広げようとするものだ。経団連は5月31日の定時総会で、労働法規委員会の委員長にJR東日本前会長の冨田哲郎を留任させ、外国人政策委員会の委員長にJR東日本会長の深澤祐二を充てた。外国人を含む労働者への支配のあり方を戦時型に転換する攻撃の先頭に、JR資本が立っている。
 そのJRの足元で、動労千葉は千葉鉄道サービス(CTS)幕張事業所での職場代表選挙を闘って関道利委員長の7選をかちとり、職場の過半数を組織する労組に飛躍する奮闘を続けている。職場からの反撃はすでに開始されたのだ。

雇用と労働を壊す「40年ぶりの改定」

 経団連の提言に応じ、厚生労働省も労働基準関係法制研究会を立ち上げた。同研究会は中央労働委員会や東京都労働委員会の公益委員を経験した労働法学者などによって構成され、月1回のハイペースで議論を進めている。彼らの問題意識は、「『労働者』『事業』『事業場』等の労働基準法制における基本的概念についても、経済社会の変化に応じてあり方を考えていくことが必要である」(昨年10月発表の厚労省「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書)というものだ。たくらまれているのは抜本的な改悪だ。
 厚労省はこれを「40年ぶりの労基法の大改定」と言う。国鉄分割・民営化が強行された1987年の改悪で、変形労働時間制の拡大や裁量労働制の導入がなされ、8時間労働制は大きく解体された。その前年に施行された労働者派遣法は、労働者を非正規職化する攻撃の出発点になった。

戦時動員と一体で「生産性向上」迫る

 それ以来の新自由主義は社会を破壊し、労働力も再生産できない資本主義の末期的な危機を招いた。それを中国侵略戦争で突破しようとする岸田政権のもと、国力のすべてを戦争に動員する攻撃が進んでいる。
 24春闘で経団連は「生産性向上」と「賃上げ」を絶叫した。それは、「生産性向上」で「賃上げ」の原資を確保できない企業は全面的に淘汰(とうた)するという意味だ。その先端に全国金属機械労組港合同昌一金属支部への攻撃がある。
 雇用と労働の全面破壊に7・14国鉄集会で反撃しよう。今夏の反戦闘争を全力で闘い、11・3労働者集会に攻め上ろう。
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