先島諸島「12万人避難計画」弾劾 中国侵略戦争のため住民は邪魔だと排除
週刊『前進』04頁(3348号03面04)(2024/06/10)
先島諸島「12万人避難計画」弾劾
中国侵略戦争のため住民は邪魔だと排除
米日帝国主義の中国侵略戦争に向けての、沖縄県民に対する攻撃が強まっている。先島諸島の住民避難計画もその一環だ。
岸田政権は6月3日の九州地方知事会議で、先島諸島の5市町村の住民ら約12万人を「台湾有事」で九州各県と山口県に避難させる計画を立て、市町村ごとの避難先の案を示し、各知事に了承させた。人口5万3千人の宮古島市は福岡、熊本、宮崎、鹿児島の4県、4万7800人の石垣市は山口、福岡、大分の3県で、それぞれ分担する。竹富町は長崎県、与那国町は佐賀県、多良間村は熊本県。福岡空港と鹿児島空港を経由して移動するとしている。
この避難計画自体が許しがたいことだ。あたかも住民の命を守るかのような装いだが、そもそも与那国島、宮古島、石垣島などにミサイル基地をつくり、軍事要塞(ようさい)化を進めているのは誰なのか。長射程ミサイルを配備し中国本土へのミサイル攻撃を実行するために、住民は邪魔だから排除するということではないか。
12万人もの人間が、ごく短期間に集団移動させられるというのはどういうことか。生活はどうするのか。仕事は? 畑は? 病人や障害者はどうするのか? いつまで続くのか? もとの島に戻れるのか? 何一つ説明はない。
例えば、人口約千人の多良間村には3千頭の牛がいる。この牛をどうやって移動するのか。見捨てるのか? 現実にこんな大規模な集団移動を考えること自体が、破滅的で残酷なことだ。
かつて沖縄戦で、宮古島、石垣島に乗り込んだ日本軍は、住民を強制移動させた。その結果、石垣島でマラリア有病地に集団移動させられた3647人が死亡、波照間島から西表島に追われた477人がマラリアで死亡した。先島諸島住民は、「軍隊は住民を守らない」どころか、軍によって殺された経験を持っている。
結局、自衛隊にとって、住民は戦争の足手まといで、目障りで、疎ましい存在なのだ。沖縄戦の記憶を持ち、戦後の長い反戦反基地の闘いの経験を持つ沖縄人民は、戦争と相いれない。だから国家権力はあらかじめ排除しておきたいのだ。軍の都合で住民は駒のように動かされる。それは沖縄戦でやったことと全く同じだ。
中国侵略戦争絶対阻止の大反戦闘争でこんな計画を粉砕しよう。