JR東日本本社に抗議 久留里線を廃止するな
JR東日本本社に抗議
久留里線を廃止するな
久留里線の久留里―上総亀山間の廃線に反対する署名の受け取りを求め、JR東日本本社に対する行動が5月29日に行われた。
この署名は元参議院副議長の故・角田義一氏をはじめ動労千葉の田中康宏前委員長、国労高崎の倉林誠委員長、国労千葉の小林春彦元委員長、元国鉄闘争共闘会議議長の二瓶久勝氏が今年1月に呼びかけて開始され、この日までに1万1608筆が集まった。
JRは久留里線に続き群馬県の吾妻(あがつま)線・長野原草津口―大前間の廃線を打ち出した。2022年8月の豪雨で不通となった米坂線の坂町(新潟県)―今泉(山形県)間の復旧は意図的に怠り、廃線に持ち込もうとしている。同じ豪雨で不通となった青森県の津軽線・蟹田(かにた)―三厩(みんまや)間も、沿線自治体に同意を強いて廃線を強行する構えだ。JR西日本では芸備線の備後庄原(広島県)―備中神代(びっちゅうこうじろ・岡山県)間が廃線の焦点にされている。
1万筆を超えた署名には、廃線で地域を破壊するJRへの、労働者人民の強い怒りが込められている。ところがJR東日本本社は、署名の受け取りをかたくなに拒んだ。「担当者不在」と称して一切の対応をせず、警備員を配置して本社への立ち入りを阻み、「ここは集会禁止だ」と連呼した。廃線反対の住民や乗客の意思を無視するのは、およそ鉄道事業を営む会社の態度ではない。
集まった動労千葉や国労高崎の組合員、久留里線と地域を守る会や支援者は、この傲慢(ごうまん)な姿勢に怒りを燃やし、JR東日本本社前は抗議行動の場になった。
署名を呼びかけた各氏がマイクを握り、JR東日本を弾劾した。20万人の国鉄労働者から職を奪い、1047名を選別解雇する国家的不当労働行為によって生まれたJRが、今度はローカル線を全面的に切り捨てて、地方を人の住めない場所にしようとしているのだ。各氏はそれぞれの表現で、国鉄分割・民営化に断を下そうと訴えた。
久留里線と地域を守る会の三浦久吉代表が26日の同会第2回総会の成功を報告して廃線を何としても阻む決意を示し、動労千葉の関道利委員長はローカル線廃止と一体で進む鉄道軍事輸送との対決を強調した。
JR東日本はみどりの窓口の大幅削減方針の凍結に追い込まれ、京葉線のダイヤに関しても、快速を一部復活させる再度のダイヤ改定を9月に実施すると発表した。住民の怒りはJRを追い詰めている。あきらめずに闘えば道は開ける。
行動参加者は廃線絶対阻止へ、JRや国土交通省への行動を今後も継続すると確認した。
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守る会が第2回総会
廃線阻止へ決意新たに
久留里線と地域を守る会の第2回総会が5月26日、久留里駅直近の上総公民館で開催され、君津市民を中心に多くの人が参加して、用意した座席のほとんどが埋まりました。同会は国鉄分割・民営化と新自由主義を象徴するローカル線廃止と最前線で闘っています。
三浦久吉代表があいさつし、来賓あいさつでは現職市議が「地元を愛し、地元が(廃線に)怒ってほしい」と熱く語りました。昨年の結成総会以来の活動が報告され、事務局長が全国の廃線をめぐる状況を交えて「久留里線の問題は非常に重要な局面にある」と訴えて、今年度の具体的な取り組みを提起しました。
同会幹事が亀山地域での「トキ再来プロジェクト」のアピールをし、地元住民から活発な意見が出され、方針案を承認しました。
総会後には東京都立大学教授で社会学者の山下祐介氏の「久留里線は誰のために残すのか―夢と希望のある町づくりを―」と題する講演が行われました。山下氏は新幹線と高速道路を例にとり、「国家にとって必要な地域と必要でない地域の選別が行われている」と述べました。そして、住民の側にも「都市にいる多数派に従っていれば切り捨てられない」という意識があり、それを利用して統治する側・経営する側は、地方に住む人たちが自ら地域を放棄するように仕向けていると指摘しました。
統治する側は「744自治体に消滅可能性がある」と言って地方にあきらめを強いようとしていますが、山下氏は人口減少の原因は東京一極集中にあり、都市から地方への人口の還流がなされれば地方は存続できると述べました。講演への質疑応答も盛り上がり、廃線反対の思いをさらに固めました。
(千葉 山中久)