闘う弁護士先頭に反戦の熱気 裁判員制度廃止集会 岡真理さんが講演 「イスラエルとの協力関係断て」
週刊『前進』04頁(3347号03面03)(2024/06/03)
闘う弁護士先頭に反戦の熱気
裁判員制度廃止集会 岡真理さんが講演
「イスラエルとの協力関係断て」
(写真 イスラエルによるパレスチナ人民への迫害・大虐殺を弾劾する岡真理さんの講演に熱心に聞き入る参加者【5月28日 東京・千代田区】)
東京の弁護士会館講堂クレオで5月28日、「今こそこの戦争を見よ!/改憲を阻もう、赤紙裁判員制度廃止集会」が開かれた。「憲法と人権の日弁連をめざす会」と「裁判員制度はいらない!大運動」が共催し、172人が参加した。
メイン企画として「戦争さえなければよいのか―ガザのジェノサイドと私たち」と題し、早稲田大学教授・岡真理さんの講演が行われた。司会の山本志都弁護士の紹介で演壇に立つと、岡さんはガザのリアルな状況から語り始めた。
昨年10月からのイスラエルの攻撃では、最初の1カ月で広島型原爆2個相当の爆薬が投下された。人口230万人中200万人が住む家を追われ、死者3万5千人(うち4割が14歳以下の子ども)、行方不明1万1千人。食料は欠乏し衛生状態も最悪で「生きながらの死」を強いられている。
まぎれもなくこれはジェノサイド=大量虐殺だが、日本のマスコミはその深刻さにふさわしい言葉の強度で報道してきたか、と岡さんは問いかけ、「ハマス対イスラエル」の二項対立、「憎しみの連鎖」とのありがちな描き方を否定した。イスラエルこそが、けた違いの暴力を行使している。
ガザの4千年に及ぶ歴史において、多様な人種・民族がこの地を行き交い共存し、諸文明が重層的に紡がれてきた。その歴史的文脈を無視して、マスコミは「事情は複雑」と認識を曇らせ、イスラエル建国を正当化する。だが今日の事態の責任は、植民地国家を建設し土地を奪ってきたイスラエル、それを承認してきた「国際社会」にある。
今求められるべき平和とは、単に停戦=「戦争がない状態」ではない。構造的暴力としての貧困・差別・占領・封鎖などが取り払われなくてはならない。パレスチナ人民の抵抗の暴力に対し、占領者には「自衛の権利」はない。
そして批判のほこ先は日本に向けられた。かつて中国・アジアを侵略・占領し、敗戦後に米軍に占領された経験を持つ日本。その占領の歴史を正しく反省していたなら、日本におけるガザ報道も受けとめ方も違ってきたのではないか。
2014年にネタニヤフ首相が来日して安倍と共同声明を発し、両国は軍事協力・開発を進めてきた。岸田政権は虐殺の共犯者の米バイデンとの蜜月を誇る。岡さんは、共同声明を破棄し、一切の協力関係を断つべきことを強調し、90分にわたる講演を閉じた。
続いて全学連の小川智史さんが、日米帝国主義の中国侵略戦争下で闘われた5月18~20日の沖縄闘争の報告を行い、さらに森川文人弁護士が8・6広島暴処法弾圧を打ち破ろうとアピールした。最後に高山俊吉弁護士が、「今日の講演を自分の問題として受けとめ、二度と侵略戦争の轍(てつ)を踏まぬことを誓おう」と呼びかけた。