ルポ 軍事要塞化進む先島諸島 住民無視し戦時体制を強化

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週刊『前進』04頁(3346号03面04)(2024/05/27)


ルポ
 軍事要塞化進む先島諸島
 住民無視し戦時体制を強化

(写真 空自宮古島分屯基地に配備された巨大なレーダーの前で【5月18日 宮古島市】)

(写真 陸自宮古島駐屯地前で自衛隊員に反戦決起を訴え)


 改憲・戦争阻止!大行進杉並と大行進・中野は5月17〜18日、宮古島・下地島・伊良部島を訪問した。本紙に寄せられたルポを掲載します。(編集局)
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 沖縄闘争の一環としての宮古島・下地島・伊良部島訪問では、「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」の清水早子さんに2日間案内していただき、中国侵略戦争の最前線軍事要塞とされている島を初めて体感しました。
 下地島空港は3千㍍級の滑走路を持ち、南北双方から離着陸ができるという意味でも米軍と自衛隊から常に軍事転用が狙われています。清水さんは、下地島空港の軍用化は「軍事要塞化の総仕上げ」ととらえています。
 2019年に開設された陸上自衛隊宮古島駐屯地には、翌年にミサイル部隊が編成され、現在720人の部隊が配備されています。基地内には12式地対艦ミサイル、03式地対空ミサイルなどを搭載する軍用車両が居並びます。このミサイルは射程を1500㌔メートルにすることが狙われており、台湾のみならず中国本土まで直接射程に入れることができます。
 一行は降りしきる雨の中、基地正門前で「自衛官は侵略の銃をとるな!」「軍事要塞化を許さないぞ!」と怒りのシュプレヒコールを上げました。
 また、この基地内に先月、「黒鷹の勇士」と刻んだ碑が建てられました。昨年宮古島沖での自衛隊ヘリ「ブラックホーク」墜落事故の死者を「勇士」として祭り上げたものです。この碑がウタキ(御嶽)という古くからの住民の祈りの場(基地によって包囲されてしまった)の前に建てられていることに怒りがこみ上げてきます。
 空自宮古島分屯基地には、ステルス対応の最新鋭のレーダーが配備されており、「謎の地下室」など機能が日々強化されています。台湾大地震の際、住民が津波を恐れて高台にあるこの基地内への避難を希望したことを自衛隊は拒否したとのこと。まさに軍隊は住民を守らない!
 他にも島の最南端にある保良(ぼら)地区の弾薬庫と射撃訓練場、米軍と自衛隊の上陸訓練地などを視察。空港や港湾をはじめ島内のあらゆる施設が、戦争突入を想定してつくりかえられようとしています。そこには約5万5千人の住民の命などどうなっても構わないという、この戦争の本質がはっきりと表れています。沖縄本島や先島諸島での闘いは中国侵略戦争を阻む最前線です。
(改憲・戦争阻止!大行進杉並 伊藤昌樹)

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