三里塚団結街道裁判
　空港最優先の態度あらわ
　小泉成田市長が証言

　千葉地裁民事第３部（岡山忠広裁判長）で５月10日、団結街道裁判が開かれた。
　成田市は２０１０年６月、三里塚芝山連合空港反対同盟の市東孝雄さんの自宅と南台農地を直線で結ぶ団結街道を暴力的に封鎖・廃止した。その総責任者である小泉一成成田市長をついに証人として法廷に引きずり出した。
　小泉は10年２月、市議会に道路廃止の議案を提出した張本人だ。だが主尋問で小泉は、道路廃止について「特別な指示はしていない」と自らの関与を否定した。反対同盟顧問弁護団の反対尋問に対しても、小泉は「（誘導路建設の話が出たのはいつか）記憶にない」「代替道路、機能補償道路で市東氏の不利益は解消できると思った」などと無責任な発言を繰り返した。
　また、小泉は、廃止処分決定までに交通量調査も説明会も行わず、市東さんに紙切れ一枚で廃道を通告したことを認めた。団結街道の土地が競争入札もせず格安で成田空港会社（ＮＡＡ）に払い下げられたことについても「不動産鑑定が適切に行われた」と開き直り、市東さんの人権や営農権よりも空港建設を優先するのは当然だという態度をあらわにした。
　今、成田空港はＢ滑走路をさらに北に延伸し、第３滑走路の建設に着手し、夜間・早朝の飛行制限時間を４時間にまで縮めて、周辺地域をさらなる騒音地獄にたたきこもうとしている。「住民への配慮」「騒音対策」を口先だけで調子よく語る小泉に、傍聴者の怒りが募った。
　弁護団が、市東さんに対して思うところはないのかと問うと、小泉は「多方面に配慮してこうなったことをご理解いただきたい」などと、顔を市東さんに向けようともせずに答えた。
　証言を終えた小泉に、傍聴席から「農民殺しやめろ！」などの弾劾が浴びせられた。
　次回期日は７月16日、東峰の萩原富夫さんが原告として証言する。次々回10月25日には市東さんが同じく本人尋問で証言台に立つ。さらに来年１月24日の期日を確認し閉廷した。
　千葉県弁護士会館で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。
　弁護団は、団結街道について「代替道路、機能補償道路ができたから廃道していい」との主張は道路法に照らしてもまったく成り立たないことを強調した。
　続いて市東さんが「市長は空港のことしか頭にない。住民のことなど何も考えていない」と弾劾。空港周辺住民のＡさんも「成田市は空港の代理店に成り下がっている」と強い憤りを表した。
　萩原さんは「周辺自治体の中でも最も強く機能強化を求めてきた張本人が小泉市長。年間30万回発着へ向けて深夜・早朝の規制緩和を率先して進めてきた。ＮＡＡが誘導路整備と廃道をセットで提案していたことは間違いない」と怒りをあらわにし、次回本人尋問へ闘志を表した。
　司会の伊藤さんも、団結街道廃道の狙いは反対し続ける市東さんをつぶす攻撃だと喝破し、南台農地を守る闘いと一体で団結街道裁判の勝利をもぎとることを訴え、全員が大きな拍手で応えた。