与那国町長、改憲要求し暴言 「台湾は日本の生命線だ」「旧宗主国の責任果たせ」

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週刊『前進』04頁(3345号04面02)(2024/05/20)


与那国町長、改憲要求し暴言
 「台湾は日本の生命線だ」「旧宗主国の責任果たせ」


 沖縄の本土「復帰」から52年、中国侵略戦争に向けて沖縄全島の軍事要塞(ようさい)化が進められている中で、その最先端、台湾から110㌔の沖縄県与那国島の糸数健一町長が憲法記念日にとんでもない発言を行った。5月3日に東京で開かれた改憲推進勢力の集会で、糸数は「憲法9条2項を変え、交戦権を認めるよう改めてほしい」と主張した。
 「今まさに日本はエコノミックアニマルに堕して中国12億人の市場に目がくらんで将来中国の属国に甘んじるのか、はたまた台湾という日本の生命線を死守できるのかという瀬戸際にあると思います。このような国家存亡の危機に瀕(ひん)しては、超法規的措置をとってでも、国家の命運をかけ岸田総理始め……全国民が、いつでも日本の平和を脅かす国家に対しては一戦を交える覚悟が今、問われているのではないでしょうか」
 これは昨年8月に台湾を訪問した麻生太郎自民党副総裁が講演で語った言葉、「今ほど日本、台湾、アメリカを始めとした有志の国々に、非常に強い抑止力を機能させる覚悟が求められている時代はないのではないか。戦う覚悟です。いざとなったら、台湾の防衛のために防衛力を使う」と述べたことと完全に符合する。糸数は、安倍晋三や麻生の「台湾有事は日本有事」のかけ声に応え、米日帝国主義の中国侵略戦争の先兵となって、文字通り最先端で戦争の旗を振っているのだ。
 この講演の中では「日本は旧宗主国として台湾に対する責任を放棄してはならない」とも言っている。台湾は戦前と変わらず日本の領分、縄張りだと言っているに等しい。1945年の敗戦で台湾が植民地でなくなったことも、1978年の日中共同声明で「一つの中国」を承認したことも、なかったかのような口ぶりだ。
 「台湾は日本の生命線」とは、かつての「満蒙生命線」や「絶対国防圏」とまったく同じ言葉だ。それらは中国・アジア侵略戦争のスローガンだった。今、それを繰り返し、「日本の生命線を死守する」ために「一戦を交える覚悟」を公然と求めている。それが住民を守るものでなかったことは、沖縄戦の最大の教訓だ。
 これは平時にウルトラ右翼が騒いでいるのとはわけが違う。現に南西諸島のミサイル基地化が進み、自衛隊配備が強化されている中での発言だ。中国を名指しで仮想敵国として日米共同訓練を強行している中で叫んでいるのだ。それは糸数個人の問題という以上に、日帝・岸田政権が進めている中国侵略戦争がまさにここまで進んでいることの表れだ。岸田戦争政策に対する真っ向からの対決として闘わなければならない。
 与那国町民の糸数発言弾劾の闘いが起こっている。闘う沖縄労働者人民と連帯し、「沖縄戦を繰り返すな」「戦争を進める岸田を打倒しよう」の闘いを巻き起こそう。
(高田隆志)
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