中国侵略戦争の「前線司令部」 機能・権限強化進む横田基地

発行日:

週刊『前進』04頁(3345号03面02)(2024/05/20)


中国侵略戦争の「前線司令部」
 機能・権限強化進む横田基地


 横田基地にある在日米軍司令部機能の強化は、4・10日米首脳会談で合意した「米軍と自衛隊の指揮統制の連携強化」とも一体の、中国侵略戦争に向けた米軍・自衛隊の「統合された戦争司令部」設置の一環にほかならない。横田基地を前線司令部として、自衛隊も総動員して戦争に突き進もうとしているのだ。
 米軍はハワイにあるインド太平洋軍司令部の作戦指揮権の一部を横田基地の在日米軍司令部に委譲することや、在日米軍司令官の階級を中将から大将に格上げすることなどを検討している。横田基地はこれまで人員や物品の移動を担う輸送中継基地としての性格が強かった。しかし、核兵器搭載可能な戦略爆撃機B52が30年ぶりに昨年7月、そして今年4月と2度も飛来したように、作戦指揮権の委譲を見越して急速に米軍の「出撃拠点」として転換を始めているのである。
 5月10日には改悪自衛隊法が可決・成立、今年度中に陸海空など自衛隊全軍の作戦指揮権を一手に担う常設の「統合作戦司令部」が、防衛省のある市ケ谷駐屯地(東京都)に240人体制で設置されることが決まった。
 米軍と自衛隊の連携強化について、元陸将の磯部晃一は2011年の3・11福島原発事故時に自衛隊と米軍が共同実施した「トモダチ作戦」に触れ、統合幕僚長が米本土やハワイの米軍幹部と「時差と戦いながら」協議し、「大臣の補佐も部隊の指揮もままならなくな」ったことを、当時の自衛隊幹部は「痛切に体験した」と述べる。そしてこの経験から、自衛隊は部隊の一元的な指揮権を持った組織=統合司令部を創設すること、米軍は在日米軍司令部に作戦指揮権を付与すること、そうしなければ「間髪を入れずに共同作戦を遂行できる態勢」をとれないと強調し、連携強化を支持している。(『軍事研究』24年6月号)
 日本共産党などは「(米軍と自衛隊の指揮統制の連携強化は)自衛隊の指揮権、主権の一部を米軍に差し出すもの」だと批判するが、起きている事態が中国侵略戦争の態勢構築だということには絶対に言及しない。米日帝はまさにこの大戦争のための「必要な措置」として一致して進めているのである。
このエントリーをはてなブックマークに追加