韓国 「民主労総がユン政権引きずり下ろす」 戦争政治に反撃

週刊『前進』04頁(3345号02面03)(2024/05/20)


韓国
 「民主労総がユン政権引きずり下ろす」
 戦争政治に反撃

(写真 メーデー当日に休むことができない移住労働者たちも、労働者としての権利を求めて4月28日に集会を行った【ソウル駅前】)

(写真 メーデー大会に参加して声を上げる保健医療労組の組合員たち【5月1日 ソウル】)


 米日帝国主義が中国侵略戦争突入に向けた動きを加速させる中、民主労総を先頭とする韓国労働者階級の闘いが重要な局面を迎えている。4月の総選挙での与党惨敗は、労働組合活動を犯罪扱いして徹底的に弾圧し、米日帝と一体で戦時体制構築を進めてきたユンソンニョル政権に対する労働者民衆の怒りの深さを突き出した。
 ユン政権発足から2年を迎えた5月9日、民主労総は記者会見で「変わる気がないなら退陣しろ、そのつもりがなければ私たちが引きずり下ろす」と宣戦布告。同日、全国民衆行動とユンソンニョル政権退陣運動本部もユン政権退陣闘争に乗り出すと宣言した。
 民主労総は5月末から、昨年いったんは国会で可決されたもののユンソンニョルが拒否権を行使した労組法2・3条改正案の再議決、勤労基準法改正などを要求して闘争に突入し、6月22日の全国労働者大会に総力を結集する計画だ。

全国でメーデー大会

 建設労組のヤンフェドン支隊長が、ユン政権の激しい労組破壊攻撃に抗議し「ユンソンニョルを退陣させ、労働者が主人公になる世の中を必ずつくってくれ」という遺言を残して焼身抗議した昨年のメーデーから1年。民主労総は5月1日、「ヤンフェドン烈士精神継承」を掲げて全国14カ所でメーデー大会を開催し、計10万人超が参加した。ソウルでは2万人が「反労働・反民生のユン政権を民主労総が引きずり下ろそう」と訴えて都心をデモ行進。建設労組の代表は大会で、「ユン政権の弾圧以後、多くの組合員が『建設現場が10年前に戻った』と言う。建設労働者が死なずに働ける環境をつくり出せるのは私たちの闘争だけだ」と訴えた。
 大会には、白衣や医療機関の制服を身に着けた医療福祉労働者も多数参加した。この間、政府が選挙対策として打ち出した「医学部定員2000人増員」方針をめぐり、専攻医(研修医)や医学部教授の集団抗議辞職が社会問題となっている。3カ月にわたって医療の空白状態が続き、患者の生命が脅かされるのみならず、看護師をはじめとする現場の医療労働者が極限的な労働強化を強いられる状況が続く。
 日本と同様、特に地方において深刻化する医師不足、それに伴う医師の長時間労働の根本原因は、政府と資本が進めてきた公的医療の破壊・医療の民営化にこそある。保健医療労組は「(政府による)偽医療改革と資本の利益のための医療営利化・医療市場化を阻止し、医療公共性に基づく適切な医療改革を闘いとる」と宣言し「金より命」を掲げて闘いぬいている。

青年層の怒りが爆発

 4月10日に投開票された総選挙では、最大野党の「共に民主党」が300議席中175議席を維持。与党「国民の力」は歴史的な大敗を喫し、首相らは辞任に追い込まれた。政権与党としては、労働者大闘争が爆発した1987年以来の大惨敗だ。物価高騰と実質賃金下落が続く中、とりわけ青年層の怒りは激しく、2022年の大統領選でユンソンニョルに投票した20〜30代の多くが与党を見限った。5月第2週の世論調査で政権支持率は発足以来最低の24%に落ち込んだ。
 韓国労働者人民の闘いは何よりも、米日韓軍事同盟を根本から粉砕する決定的な位置をもっている。
 23年8月の米日韓首脳会談を皮切りに、ユン政権は米日との軍事協力を格段に強化。今年から米日韓の共同訓練は拡大され、米戦略爆撃機B52の着陸や原子力潜水艦の寄港など、南西諸島と同様に対中国の「拡大抑止」の名による韓国全土の核基地化が進められている。ユン政権による福島第一原発汚染水の海洋放出容認、日帝の侵略と植民地支配の免罪も、新たな戦争に向けた攻撃の一環として強行されているものだ。これら一切に対する労働者の怒りが爆発を開始した。韓国の労働者人民と団結し、日帝・岸田政権打倒、中国侵略戦争阻止へ闘おう。 

このエントリーをはてなブックマークに追加