特集/安保・沖縄闘争 米日帝の中国侵略戦争阻む沖縄闘争の爆発を
特集/安保・沖縄闘争
米日帝の中国侵略戦争阻む沖縄闘争の爆発を
4・10日米首脳会談で、日米両政府は、日米同盟=日米安保体制の「中国侵略戦争同盟」へのアップグレードを確認した。共同声明には、「南西諸島を含む地域における同盟の戦力態勢の最適化」=米軍の再編・強化と自衛隊の配備の進展を「歓迎」し、「この取組を更に推進する」と明記した。沖縄をはじめ日本全土の戦場化を前提とし、自衛隊の全面参戦を「要」とする米日帝国主義の中国侵略戦争を絶対に許すことはできない。この戦争を実力で阻む安保・沖縄闘争の歴史的爆発を今こそかちとろう。
戦場化前提に九州・沖縄を要塞化
長射程ミサイル大量配備
九州南端から台湾直近の与那国島に至る南西諸島を軍事拠点化し、戦域化して中国と戦う米軍の戦略「エアシーバトル構想」が打ち出された2010年以降、自衛隊の「南西シフト」=九州・沖縄の軍事拠点化は急速に進んだ。
16年に開設された陸上自衛隊与那国駐屯地(レーダー部隊「沿岸監視隊」が配備)を皮切りに、自衛隊基地が次々と建設され、ミサイル部隊が配備されてきた。鹿児島県の奄美大島では19年3月、陸自奄美駐屯地と瀬戸内分屯地が開設。沖縄県の宮古島でも同月に陸自宮古島駐屯地が開設された。いずれにも地対空・地対艦のミサイル部隊が配備されている。
岸田政権が22年12月に閣議決定した安保3文書は、長射程ミサイル開発・保有を明記。これにより、九州・沖縄のミサイル基地は中国本土への攻撃拠点と位置づけられた。
沖縄県の石垣島では23年3月に石垣駐屯地が開設、地対艦・地対空ミサイル部隊が配備された。今年3月にはミサイル攻撃を成功させるための「電子戦部隊」が与那国駐屯地に配備された。在日米軍基地の7割が集中する沖縄本島では同月、勝連分屯地に第7地対艦ミサイル連隊とその司令部が配備された。鹿児島県の馬毛島では23年1月に自衛隊基地建設が着工、島を丸ごと陸海空自と米軍の統合巨大基地にすることが狙われている。与那国駐屯地へのミサイル部隊配備計画も発表された。そして、これらの部隊が保有する12式地対艦誘導弾は、中国本土を攻撃できる射程1千㌔超のミサイルに置き換えられようとしている。
また、佐賀県の佐賀空港には輸送機V22オスプレイの配備が計画されている。「有事」に際して長崎県佐世保の陸自水陸機動団を輸送し、南西諸島に迅速に展開するためだ。
23年3月、吉田圭秀陸上幕僚長(当時)は「南西防衛体制の強化はまだまだ途上だ」とさらなる増強計画を進める計画を示した。
中国と本気で戦争を構えるには、大軍拡と兵器・兵員の大幅増強、訓練・演習の増加が不可欠だと言うのだ。
沖縄を再び「捨て石」に
米海兵隊の対中国作戦「遠征前進基地作戦(EABO)」は、南西諸島を「前進基地」として、海兵隊が島々を移動しながら中国軍とミサイルを撃ち合うことを想定している。
攻撃拠点とされる約40カ所には、奄美大島、宮古島、石垣島など合計20万人以上が生活する有人島も含まれている。EABOを発動すればこれらの島々が真っ先に反撃の標的にされ、沖縄本島を含め150万人近い人々が避難もできず戦火にさらされる。しかも、この作戦に自衛隊も連携する日米共同作戦計画がすでに策定されている。沖縄戦の再来を不可避とする恐るべき計画だ。
米日帝国主義は、自衛隊を前面に立たせ九州・沖縄全土を戦火にたたき込んで中国侵略戦争=世界戦争を遂行しようとしているということだ。
今年2~3月、陸自と米海兵隊は九州・沖縄で離島奪還訓練「アイアン・フィスト24」を行った。この中で鹿児島県の沖永良部島では、公道を封鎖し民間地の占拠を想定した訓練が強行された。3月11日には、石垣港に米ミサイル駆逐艦ラファエル・ペラルタが入港。これらは、住民や民間施設を巻き込んで戦時に組み込もうとする攻撃だ。
23年3月には沖縄県が「台湾有事」を想定した図上訓練を行った。先島諸島の約12万人を6日間で九州に運ぶ想定だ。宮古島の住民保護計画では約5万人の住民を数百の航空機や船舶で避難させるという。だがこのような大規模な避難を実現できる体制も受け入れ先も存在せず、政府は「屋内退避」の名で住民を事実上放置するしかない。沖縄戦の血の教訓=「軍隊は住民を守らない」を想起しなければならない。
一方で、日帝は沖縄の戦場化を想定した「ミサイル避難訓練」を与那国島(22年11月)や那覇市(23年1月)、石垣島(今年2月)で行っている。戦前の竹やり訓練と同じで住民の命を守ることにはまったく役立たず、排外主義・国防意識をあおり中国侵略戦争に動員するためだけの攻撃だ。
4・10日米首脳会談は、日米同盟を対中国の戦争同盟へと飛躍させ、沖縄を最前線とする中国侵略戦争に日帝が自分自身の戦争として突入することを確認した。沖縄を再び「捨て石」とする中国侵略戦争、そのための自衛隊の南西諸島への配備増強を絶対に許してはならない。
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反戦の怒りで訓練場建設撤回
沖縄からの報告
改憲・戦争阻止!大行進沖縄 赤嶺 知晃さん
全国のみなさん、日米首脳会談=日米の中国侵略戦争遂行体制を粉砕するために5・15沖縄闘争に集まろう。
岸田訪米・戦争会談の真っ最中の4月11日、木原稔防衛相は沖縄県うるま市のゴルフ場跡地に陸上自衛隊の訓練場を整備する計画を断念すると明らかにしました。日米安保の実体である沖縄では沖縄労働者民衆の力によって、新たな訓練場建設を粉砕したのです。
日帝の最大の矛盾点がこの沖縄です。辺野古新基地建設強行の代執行への沖縄労働者階級の怒り、何の説明もない3月からのオスプレイ飛行再開への怒り、勝連分屯地のミサイル基地部隊の新設への怒りは広く渦巻き、陸上自衛隊の訓練場建設を粉砕したことは大きな高揚をもたらしています。
沖縄の新入生も岸田政権の辺野古強行と自衛隊基地建設強行に怒り、うるま市や名護出身の学生がどんどん岸田政権の軍事費2倍化反対の署名に応じ、学生との結合が始まっています。
今こそ、日米の中国侵略戦争のための沖縄の軍事要塞(ようさい)化攻撃に対して、沖縄労働者階級の怒りと共に「安保粉砕・岸田政権打倒!米軍・自衛隊基地の全面撤去」を掲げて実力闘争で闘うことが求められています。沖縄労働者の怒りと陸自訓練場阻止の勝利の高揚感に恐怖する沖縄自民党県連は、6月の県議選にむけて、「自民党県連が計画廃止を要請した」と宣伝して闘いの爆発を抑え込もうとしています。オール沖縄も「保守と革新が手を結んだことによる勝利だ」として徹底的にその意義をおとしめています。
今年1月に工事が再開された辺野古新基地建設をめぐる闘いも正念場を迎えています。4月14日の瀬嵩の浜(名護市)での県民大集会は、1800人が結集した全県的怒りの対極で、オール沖縄によって県議選へのセレモニーにねじ曲げられています。だが、沖縄の反戦の怒りは絶対に押しとどめることはできない。実力行動こそが基地建設を止め、戦争を阻止する最大の力です。
辺野古現地闘争をはじめ5・15沖縄闘争を日米共同声明、中国侵略戦争と対決する集会として全国の学生・労働者の結集で成功させましょう。
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中国の体制転覆へ全面戦争構える米帝
中国との戦争は「日本こそ要」
戦略国際問題研究所(CSIS)は、米歴代政権の対日政策に大きな影響を与えてきた米の有力シンクタンクだ。4月10日の日米首脳会談で決まった内容は、直前にCSISが発表した報告書「統合された同盟へ」(第6次アーミテージ・ナイレポート)を露骨に反映している。
そのCSISは2023年1月、26年に「台湾有事」が起き、米軍が介入して中国軍と戦争になった場合を想定した計24パターンのシミュレーション結果を公表した。「ほとんどのシナリオでは米国・台湾・日本が中国を打ち負かす」が、米軍は2隻の空母、10~20隻の大型水上戦闘艦、軍用機168〜372機、そして死傷者・行方不明者合わせて1万人の兵士を失うと予想。在日米軍基地から作戦を展開し、自衛隊も参戦する。基地は中国軍から攻撃され、自衛隊にも大きな被害が出るとされている。報告書のタイトルは「次なる戦争の最初の戦闘」。この凄絶(せいぜつ)な結果はタイトルの通り、「3週間の戦闘」の予測結果にすぎない。実際には、その先に本格的な大戦争が構えられている。
同報告書は「日本こそが要」と明記し、日米同盟の強化とそのための具体的な提言をしている。4・10日米首脳会談は、まさしくこの提言に沿ったものだった。
全軍投入の大戦争まで構想
米軍は中国軍の防衛態勢を「接近阻止・領域拒否」(A2/AD)と呼び、これを突破するために特に2008年以降、準備を重ねてきた。海兵隊の「遠征前進基地作戦(EABO)」は、住民の命と生活を無視したその内容に帝国主義戦争の正体が鮮明に現れてはいるが、それすらも中国侵略戦争の一部でしかない。
米軍は中国海軍を撃破した後、制海権を確保した海域に空母打撃群など主力部隊を投入することまで想定した「多領域作戦(MDO)」という戦略を策定している。この作戦の核心は「指揮統制の統合」だ。最新の情報通信技術を駆使して陸・海・空の異なる軍種の指揮権まで統合するもので、その本質は「全軍を投入した大戦争」を米軍が構えているということである。
米海軍はMDOの一環として「分散海上作戦(DMO)」を打ち出している。従来の戦艦を密集させてお互いを支援し合う編成ではなく、小規模の艦隊を分散して中国軍のミサイル攻撃の狙いを拡散させながら戦闘するものだ。そのために多任務能力を持った艦艇が開発されている。全港湾八重山部会がストライキで石垣港への入港に対して闘った米最新鋭駆逐艦ラファエル・ペラルタは、まさにDMOを担うための戦艦である。
米空軍は「迅速な戦力展開(ACE)」構想を発表。その特徴は「離陸した滑走路が(中国軍の攻撃によって)着陸に使えるとは限らない」ことを想定していることにある。すでに昨年6月には嘉手納基地で航空自衛隊も参加して訓練が行われ、その際に嘉手納に駐屯する第18航空団のエグリン司令官は「分散先について具体的にコメントすることはできないが日米両政府の交渉次第」と述べている。今後、自衛隊基地はもちろん民間空港の軍事利用を狙う攻撃が激化することは間違いない。
米陸軍は中距離ミサイルやサイバー・宇宙領域などの作戦能力を兼ね備えた「多領域任務部隊(MDTF)」を編成する。23年6月、ウォーマス米陸軍長官は「(EABOを担う)海兵沿岸連隊を補完できる」とMDTFの日本配備に言及している。
他にも後方支援体制の充実など日米帝国主義による中国侵略戦争体制の準備は多岐にわたる。これらがMDOのもと一体で展開され、自衛隊も参戦、空港や港湾など公共インフラが全面的に動員される。日本全土が戦場となることは不可避だ。
その狙いが単なる「中国抑止」ではなく、中国の現体制を転覆し粉砕する中国本土に向かっての全面的な侵略戦争であることは明白だ。これを阻む鍵は日本における安保・沖縄闘争の爆発にある。