沖縄・うるま 陸自訓練場 白紙撤回 住民の怒りが計画を粉砕

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週刊『前進』04頁(3341号02面03)(2024/04/22)


沖縄・うるま
 陸自訓練場 白紙撤回
 住民の怒りが計画を粉砕


 4月11日、木原稔防衛相は沖縄県うるま市石川での陸上自衛隊の新訓練場建設計画の撤回を発表した。昨年12月末、住民に対して一切の説明なく2024年度予算案に建設用地取得費が盛り込まれたことが発覚してからわずか4カ月足らず。1200人が結集した3月20日の反対集会を象徴とする住民の怒りと闘いに押され、市議会や県議会、自民党県連までもが「白紙撤回」を求める状況となり、支配が崩壊する危機に追い詰められた結果だ。沖縄の闘いの勝利である。

中国侵略戦争への軍備強化の一環

 発表にあたっては「反対運動の成功事例をつくれば他の案件にも影響する」(防衛省幹部)と懸念し、「複数の政府関係者」が、断念するならば「自民党県連の要請を受けて決断したという政治ショーにしなければならない」と述べたという(4月12日付琉球新報)。そして実際に、自民党県連の要請を受けた後に撤回を発表するという無様なパフォーマンスを行ったのである。
 今回問題となった新訓練場は、陸自第15旅団の師団化による兵員増加とそれに伴う訓練増加、そして同じうるま市にある陸自勝連分屯地へのミサイル連隊配備(3月)と一体のものだった。中国侵略戦争へ向けた南西諸島での軍備強化の一環として、日本帝国主義・岸田政権にとって死活のかかった計画だ。防衛省は今回の計画撤回に追い込まれた後も、沖縄本島内で別の訓練場用地を探しており、24年度予算に盛り込まれた用地取得費もそのままだ。木原は「あらゆる選択肢を排除しない」としている。闘いはこれからだ。

この勝利を土台に反戦闘争の爆発へ

 この勝利について、「オール沖縄」や日本共産党などの政治勢力、マスコミは「党派、保革を超えた団結の成果」だと強調する。しかし、今回の訓練場計画に反対した住民の怒りの背景には、米軍嘉手納基地などの軍用機による日常的な騒音被害や、1959年の宮森小学校米軍機墜落事故をはじめとした甚大な基地被害の歴史、何より自衛隊の南西諸島への配備強化とそれに伴う数々のうそとペテン・暴力的な基地建設への怒りがある。ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会の清水早子さんが「どっちが『力による現状変更』か」と自衛隊のやり方を弾劾している通りだ。
 「沖縄戦の再来」への危機感と怒りの噴出こそが、起きている事態の核心だ。先述した自民党県連のパフォーマンスに表れているように、「保守」はその怒りを前に対応を余儀なくされ、表面上は「保革を超えた」形になったにすぎない。
 この勝利を、米日帝国主義の中国侵略戦争を阻止する安保粉砕・日帝打倒の闘いへ発展させよう。沖縄の人々の怒りと危機感は地に満ちている。改憲・戦争阻止!大行進沖縄を軸に、全基地撤去へ反戦闘争を組織しよう。
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