なぜ沖縄に基地があるのか 戦争と占領、闘争の歴史

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週刊『前進』04頁(3337号03面03)(2024/03/25)


なぜ沖縄に基地があるのか
 戦争と占領、闘争の歴史

(写真 労働組合はじめ農民・漁民、商店、学生・高校生も含め約70万人が決起した71年11・10ゼネスト。写真は当日の那覇市内デモ)

 現在、沖縄には31の米軍専用施設があり、総面積は沖縄本島の約15%を占める1万8609㌶。日本の総面積の0・6%しかない沖縄県に、在日米軍専用施設の70・6%が集中する。この背景には沖縄戦と米軍による占領、サンフランシスコ講和条約とそれに伴う本土からの分離、72年5月15日の「基地付き返還」という歴史がある。
 第2次大戦末期、昭和天皇ヒロヒトを頂点とする日本軍は、米軍の本土上陸を遅らせるための「捨て石」として沖縄を位置づけ、凄惨(せいさん)な地上戦に住民を動員し県民の3人に1人(約17万8千人)を死に至らしめた。
 1945年の敗戦以来、マッカーサー率いる連合国軍総司令部(GHQ)の統治下に置かれていた日本は、52年のサンフランシスコ講和条約発効をもって「独立」したが、沖縄は米軍の施政権下となった。以後、20年にわたる米軍統治のもとで島全体を軍事要塞化され、住民は無権利状態を強いられた。
 GHQはアジア全域に米軍の支配力をおよぼすための拠点として沖縄の長期占領を要求し、これに自らの延命のために飛びついたのがヒロヒトだ。ヒロヒトは47年9月、側近を通じて密かにGHQにメッセージを送り、「米国が25〜50年ないしそれ以上の長期にわたり沖縄を軍事占領し続けることを希望している」と伝え、基地の使用手続きは「日米の2国間条約によるべき」と、具体的な方策にまで踏み込んで沖縄の売り渡しを申し出たのである(宮内庁編『昭和天皇実録』より)。
 こうして52年4月28日に発効したサンフランシスコ講和条約で、沖縄は米軍の占領下に置かれたままとなり、4・28は沖縄にとって「屈辱の日」として歴史に刻まれたのである。
 米軍は沖縄戦終結時、住民を収容所に入れている間に接収した土地や旧日本軍の飛行場など、約182平方㌔メートル(本島面積の約15%、うち44%が元耕作地)を占拠していた。さらに50年の朝鮮戦争を前後して、米軍は沖縄を「太平洋の要石(キーストーン)」と呼び、島全体を軍事要塞化するため「銃剣とブルドーザー」による土地の強制収用を開始した。米軍の襲撃、暴行、破壊、抵抗した農民への弾圧が全島で繰り広げられた。米軍は昼夜を問わず襲いかかり、家屋や農作物、家畜小屋などにガソリンをかけて焼き払い、次々と農地を接収していった。今も沖縄で米軍基地として使われている土地はすべて戦争とその後の軍事占領下で強奪されたもので、住民の意思を尊重した正当な手続きを経て取得された土地など一坪たりとも存在しないのである。

71年全島ゼネスト沖縄の怒りが爆発

 60年代に入ると、核兵器の大量配備や毒ガス兵器の貯蔵などが明らかとなると同時に、相次ぐ米軍犯罪、事故、公害、騒音に対し「本土復帰・基地撤去」を求める闘いが本格的に爆発した。
 65年2月に北ベトナム空爆が始まると、ただちにB52戦略爆撃機がグアムから嘉手納基地に移駐され、在沖海兵隊は真っ先に地上部隊としてベトナムに投入された。これに対して69年には、米軍の銃剣と対峙する基地労働者によるストライキや全学連の学生による嘉手納基地突入闘争などが闘われ、沖縄県反戦青年委員会が結成された。本土でもこれに連帯する4・28沖縄デー闘争が闘われた。
 こうした中で日米政府は沖縄のペテン的「返還」を打ち出した。表向きは「核抜き・本土並みの返還」を掲げながら、残虐きわまる不正義のベトナム侵略戦争をあくまで継続し、この戦争のためにフル稼働している沖縄の全米軍基地をそっくり維持するものだったのである。しかも「核抜き」と言いながら、米軍の判断でいつでも核を持ち込める密約が結ばれていた。
 71年、「基地を残したままの返還」に断固反対し、返還協定の白紙撤回と基地の即時全面撤去を要求する沖縄全島ゼネストが、5月19日と11月10日の2度にわたり決行された。この闘いと心を一つに、本土では星野文昭さん、大坂正明さんを先頭に11・14渋谷暴動闘争が闘いぬかれた。
 日米政府は燃え上がる怒りと抗議の声を踏みにじり、72年5月15日に沖縄の「返還」を強行。だが彼らが演出しようとした「祝賀ムード」は吹き飛ばされ、復帰記念式典に隣接する与儀公園で「沖縄処分抗議」の県民大会が開かれた。「基地は残ったが本土に復帰できて良かった」などというペテン的な「総括」を断固拒否し、すべての米軍基地をなくす日まで闘うことを誓ったのである。その闘いは今も引き継がれ、中国侵略戦争を阻止する最前線として沖縄闘争は存在している。
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