沖縄を再び戦場にさせない 4・28―5・15沖縄闘争へ

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週刊『前進』04頁(3337号03面01)(2024/03/25)


沖縄を再び戦場にさせない
 4・28―5・15沖縄闘争へ

(写真 昨年5・15沖縄闘争。名護市の米軍キャンプ・シュワブゲート前で全学連を先頭に辺野古新基地建設・土砂搬入阻止を闘った)

 米バイデン政権は「ロシアを抑えつけ、中国を打ち負かす」(2022年米国家安全保障戦略)ことを戦略目標に掲げ、アメリカ帝国主義の世界支配を維持するために中国との全面戦争―世界戦争を構えている。岸田政権はこれに応じて、「5年で43兆円」の大軍拡と自衛隊の大幅増強、米軍との一体化、中国本土まで届くミサイルの大量配備を急いでいる。この戦争の最前線の「戦場」にされようとしているのが九州南部~沖縄・先島諸島が含まれる南西諸島だ。その軍事要塞(ようさい)化の実態を暴く。

対中戦争準備急ぐ米日帝

 アメリカの歴代政権に対日政策を提言してきた戦略国際問題研究所(CSIS)は昨年1月9日、「台湾有事」に米軍が介入して米中で戦争となった場合のシミュレーション結果を報告した。「ほとんどのシナリオでは中国を打ち負かす」が、「米国とその同盟国は、数十隻の船、数百機の航空機、および数万人の兵士を失った」「1日当たりの死者140人は……第2次大戦当時の300人に迫る」と述べ、想定したほとんどのシナリオで「中国がまず日本国内の軍事拠点をたたく」として、在日米軍基地も自衛隊基地も一斉にミサイル攻撃を受けるとしている。報告書のタイトルは「次なる戦争の最初の戦闘」だ。つまり、想定される甚大な被害は「最初の戦闘」のものにすぎない。
 同報告書は在日米軍基地の重要性に触れ、「日本こそが要」だと強調。さらには「重大な死傷者に直面しても作戦を継続する必要性を認識せよ」と明記している。あえてリアルな想定を出し、破滅的な大戦争を行う「覚悟」を求めているのである。
 実際に米軍と自衛隊は南西諸島での部隊増強を次々と進めている。米軍は2019年に「米海兵隊戦力デザイン2030」を発表、「遠征前進基地作戦(EABO)」(別掲)を打ち出した。これに沿って既存の海兵隊部隊を「海兵沿岸連隊(MLR)」に改編すると決定し、22年にはハワイの第3海兵連隊が、23年には沖縄のキャンプ・ハンセンの第12海兵連隊が前倒しでMLRに改編、27年までには第4海兵連隊もMLRとなり、沖縄に駐留する第3海兵遠征軍隷下の全海兵連隊がMLRに改編される予定だ。
 米軍の訓練やそれに伴う騒音被害はこれまで以上に激しくなっている。とりわけ南西諸島での迅速展開に必須の兵器であるオスプレイをめぐってはやりたい放題だ。23年7月には沖縄以外の国内の山岳地帯で航空法の最低安全高度(150㍍)を大きく下回る約60㍍でのオスプレイの飛行が可能になった。飛行経路は開示されず、きわめて危険な飛行が日本中で行われている。オスプレイは昨年11月の鹿児島県屋久島沖での乗員8人全員が死亡した墜落事故とそれへの抗議を受けて、全ての米軍機が飛行停止となっていたが、3月8日、米軍は突如として飛行再開を発表。事故原因の「部品は特定」したとしつつ、なぜ事故が起きるかは「調査中」のままだ。にもかかわらず飛行再開に踏み切ったのである。辺野古新基地建設の強行、普天間基地の永久使用を図る動きなど日米帝国主義の横暴はとどまることを知らない。
 日米共同演習は激増し、2010年頃まで年20回程度で推移していたものが22年度には108回も行われた。これまで米本土や北海道で行われていたものが南西諸島で実施されるようになっている。
 戦後、米軍はドイツや日本をはじめとして全世界数十カ国に500を超える在外米軍基地を展開してきた。今でもその戦力は圧倒的である。2022年の世界銀行統計データによれば、アメリカの軍事費は約8770億㌦、一国で世界全体の約40%を占め、2位の中国の3倍に上る。また、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が23年6月に公表した報告書によれば、米核関連予算は約437億㌦と核兵器を保有する9カ国の総計829億㌦の5割以上を占める。
 世界に「安全保障上の脅威」をもたらしてきたのは第一に米帝であり、中国の軍事的対抗がいかに反人民的であっても、戦争の火をつけているのは米帝の側なのである。

米軍と一体化する自衛隊

 こうした米軍の動向に規定され、日本帝国主義・岸田政権は米軍と自衛隊の一体化を推し進めている。港や空港、鉄道など公共インフラの軍事利用が進められ、自治体・住民の意思を無視して軍に協力させることが狙われている。
 自衛隊は南西諸島において急ピッチで軍備増強を進めている。那覇駐屯地の陸自第15旅団は師団に格上げ・増強される。宮古島、石垣島、奄美大島にはミサイル部隊が配備され、与那国島にも配備される予定だ。今年3月21日には沖縄本島の勝連分屯地に第7地対艦ミサイル連隊が発足、ここに南西諸島のミサイル部隊の本部が置かれることになっており、「敵基地攻撃能力」の中心となる。日本全国の計14の旅団・師団すべてに「機動展開能力」、すなわち南西諸島に即座に展開する能力をつけるよう改編することが決まっており、まさしく総力の動員体制をつくりつつある。
 しかし軍備強化の矛盾は労働者人民の決起を呼び起こしている。岸田政権の支持率は2割を下回り、米軍はもちろん自衛隊に対しても怒りは爆発している。沖縄県うるま市での陸上自衛隊訓練場新設問題では自民党県連すら動かざるをえないほどの怒りを呼び、計画は立ち往生している。米駆逐艦の石垣港入港に対し、全港湾沖縄地本八重山部会は入港阻止を掲げてストライキに立った。宮古島や石垣島でも不屈の闘いが続いている。
 沖縄の怒りと連帯し、4・28―5・15沖縄闘争に総力をあげて結集しよう!
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