ともに戦争とめよう 社会変える力はここに

週刊『前進』04頁(3337号02面01)(2024/03/25)


ともに戦争とめよう
 社会変える力はここに

(写真 昨年5月のG7広島サミット粉砕闘争。全学連はスクラムを組みデモ隊の先頭に立った)

(写真 全学連を先頭に、日本帝国主義が参戦国化を狙って開催した日ウクライナ経済復興推進会議を弾劾して闘い抜いた【2月19日 東京都千代田区】)

(写真 矢嶋尋さん)

(写真 池之端紗衣さん)

 全日本学生自治会総連合(全学連)はこの間、米日帝国主義の中国侵略戦争阻止へ実力闘争の先頭に立ち、多くの新たな学生を獲得してきた。昨年以来、新たに闘いに合流した仲間に、実践を通してつかみとった確信や今後の闘いの展望を語ってもらった。(編集局)
出席者
矢嶋尋さん(司会) 全学連副委員長 学習院大学
小川智史さん 法政大学・新3年
池之端紗衣さん 京都大学・新2年
陳悠生さん 広島大学・新2年

闘いで展望つかむ

 矢嶋 今回の座談会では、最近新たに全学連に結集した若い仲間に集まってもらいました。3人とも昨年2月の三里塚決戦や4月杉並選挙のときにはまだ全学連と出会っていなかったフレッシュな面々なわけですが、運動に立ち上がったきっかけと、去年の闘いの中でつかんできたことから聞かせてください。
 小川 僕はもともと、貧困や差別、戦争で苦しんでいる人々がたくさんいることには関心があって、ただそれは自然に起きてしまうことだと思っていて政治や経済、歴史と関係があるという認識はなかったんです。全学連の友人に誘われて昨年5月1日のメーデーに参加しました。本当にすごい数の人で、「こんなデモが東京でできるんだ」というのが一番の驚きでした。その後マルクスの『共産党宣言』を学習して資本主義が社会問題の根本原因なんだと結び付いていく中で、帝国主義が戦争を必然とする原理を学んで、9・23ウクライナ反戦デモに行きました。「ウクライナ戦争を止めるには革命しかないんだ」という力強いアジテーションに感動して、全学連で闘うことを決めました。学んだことの中で特に感銘を受けたのは「ブルジョア社会では過去が現在を支配し、共産主義社会では現在が過去を支配する」、つまり資本主義社会は資本の論理で動くけれども、共産主義社会は人々が幸せになるために動くというところですね。
  学生運動に参加したきっかけは、昨年5月に広島で開催されたG7(主要7カ国)サミットです。サミットがあることは以前から知っていましたが、「広島であるんだ、いいな」と、お祭りみたいな意識しかなくて。だから最初、広大学生自治会の人たちが「G7サミット粉砕」を訴えているのを聞いて「何だこれは」って(笑)。だけど面白そうだなと思って、学習会に行ったんです。サミット闘争では全部で7波のデモをやったんですけど、正直サミットが終わるまでは「戦争会議」なのかどうかは半信半疑で。でも、サミットで出された「広島ビジョン」はロシアや中国の核を非難する一方でG7の核は「抑止力だからいい」と賛美していて、「ああ、こういう連中なんだな」と。本当に戦争会議なんだと実感しました。
 その後の8・6広島闘争も、岸田政権が戦争に向かっていく中で広島の闘いをつぶそうとしているのは明らかで、これを阻止しなければいけないという思いで闘い抜きました。一番印象に残っているのは、デモやビラまきに対して多くの人が応援してくれたことです。めちゃくちゃうれしくて、自分たちの行動に自信が持てるようになりました。被爆者はただ平和を祈るだけの存在じゃなくて、核兵器や戦争に激しい怒りをもっています。その怒りと闘いを今こそ爆発させなきゃいけない。本当にこの社会自体を変えなきゃいけない、敵は国家権力だということを、闘いを通してつかんできました。
 矢嶋 池之端さんは京大の学生自治会運動の中で全学連と出会ったんですよね。
 池之端 はい。昨年5月、京大で学生自治会の再建運動をしている先輩たちが開催した反戦シンポジウムに行ったんです。「戦争は良くない」みたいな話は大学に入るまでも聞いてきたけど、戦争をどうやって止めるかを語る人たちに初めて出会ったことが衝撃でした。その後、先輩から「この間のシンポジウムで思ったことを発言してみませんか」と言われて、自分は学内集会というものの存在も知らずに、適当に「わかりました」って言ったら、学内の広場でマイクで発言することになっちゃって。「なんか思ってたのと違う」と思いつつ「もうなんか、断れへんし、やるか」(笑)みたいな勢いで発言したのが最初です。学内集会などでみんなの話を聞く中で、自分がすごく排外主義を内面化していたことに気づいて。それまで「中国が怖いし、まあ軍拡って普通のことだよな」と日本の安全保障政策を全然疑ってこなかったことに「それっておかしい」って思ったんです。誰も戦争で死にたくないし、人を殺したいって思っている人なんて一人もいないはずなのに、戦争が「自衛」の名のもとに正当化されていく現実に対して、「何か行動しないと」と思うようになりました。
 そもそも反戦シンポに行こうと思ったきっかけは、全学連の学習会で、女性の先輩から女性差別との闘いについての話を聞いたことです。女性差別の根源は私有財産制だし、資本主義が根本にあるという話を初めて聞いて、すごく納得できました。女性差別も戦争も資本主義の問題だと、つながっていきました。

連帯して帝国主義を倒そう 池之端 国境越えた団結を

 矢嶋 ウクライナ戦争が2カ年を迎え、昨年10月7日のパレスチナ人民の蜂起を受けてのイスラエルのパレスチナ人民虐殺が続き、世界中で戦火が燃え広がっています。こういう戦争の時代に学生運動へ立ち上がった意気込みを聞かせてください。
  1年間活動してきて、日本政府がパレスチナでの虐殺やウクライナ戦争に加担し世界戦争を構えている事実を知りました。そして、世界革命でこの社会を変えていくことは夢じゃなくて可能なんだということもつかんできました。それがわかってしまったのに、ガザの大虐殺とかを「かわいそうだな」で素通りすることなんてできない。何より、「戦争は本当に止めることができるんだ」っていう確信を日々つかみながら活動できることがめちゃくちゃ楽しいです。
 小川 楽しいし、とてつもない意義を感じています。戦時下で資本主義の矛盾が労働者に集中する中、僕たちは単に資本家に隷属する存在じゃなくて、社会の主人公として闘っていくことができるということを、全学連や世界中の人々の決起が体現しています。帝国主義の「自分たちは民主主義や平和を守っている」という化けの皮がどんどんはがれてきている中、帝国主義を打ち倒せる力は労働者にあるんだと完全に確信できるし、僕もその一員になりたいと心から思いますね。
 池之端 私も10・7蜂起が、運動に人生をかけようと思った大きなきっかけになりました。10・7後にパレスチナの労働組合が全世界の労組に発した呼びかけを読んで、「(パレスチナの正義と解放のための闘いは)全世界の人々を解放するためのてこ」だと労働組合が言っていることにすごく感動して連帯したいと思いました。パレスチナ人民の闘いが明確に革命戦争なんだと確信したんです。
 蜂起をきっかけとしてアメリカの大学で反戦デモをやって逮捕された白人の女子学生が「逮捕されて誇らしい」って言っているニュースを見て、帝国主義が中国侵略戦争に突き進んでいく中で、人生をかけた闘いに自分と同い年、もしくは年下ぐらいの大学生とか高校生、労働者がどんどん決起しているのに、自分が決起しない理由はないなと。世の中に屈服する理由っていくらでもあるけど、自分にはもう全くなくなったんです。
 小川 昨年の11月労働者集会に結集している米ILWUローカル10(国際港湾倉庫労組第10支部)やイタリアのS・I・Cobas(職場委員会連合)が、実力で軍事物資の輸送を止めていることに感動しました。こういう国際連帯で戦争は止められると実感しています。
 矢嶋 帝国主義を打倒して戦争を止める力を、11月集会が国際連帯を通じてつくっています。池之端さんは昨年11月、動労千葉訪韓団の一員として訪韓闘争に参加しましたよね。
 池之端 韓国に実際に行ってみて、心の底から「労働者に国境はない」と思いました。ソウルで民主労総の労働者大会とデモに参加した時、私と同い年でやはり昨年から運動に関わるようになったという女子学生と出会ったんです。彼女も元々フェミニズム運動に関心があったけれど、結局は自己の利害のためだけの運動になっちゃうことに違和感を覚えて、社会全体を変革する運動に立ち上がらなければいけないと思った、と。自分がつかんできたのと同じ内容が、その日初めて出会った異国の女子学生から出てくることにめちゃくちゃ感動して、「これが国際連帯か」と思いました。
 矢嶋 京大の学生運動についてはどうですか。
 池之端 先輩たちの存在が運動を始める大きなきっかけになりました。本当に社会は変えられるんだっていうのを、すごい感じるっていうか。例えば京大ではキャンパスの真ん中で学内集会をよくやるんですが、数年前は学内に拡声器を持っていくだけで警備員が何人も来て「やめなさい」って言われるような状況でした。それが今はもう学内にみこしを入れて、その上で入構禁止処分になってる京大生や全学連の学生が発言して、しかもその人を学生がスクラムで防衛するみたいなことを可能にしています。現在のような学内での集会は、誰かに許されたからじゃなくて学生の団結の力で可能になっているんです。
 また、京大闘争は明確に国家権力との闘いとして闘われています。国家権力が自治寮つぶしや学生処分という形で分断攻撃をかけてくるたびに、学生が団結して全部粉砕してはね返していく。処分や逮捕といった攻撃が怖いっていう気持ちはあったんですけど、この団結があったら全部乗り越えられる気がしますし、めちゃくちゃ楽しいです。

基地も戦争もなくす闘いを  沖縄闘争の爆発へ

 矢嶋 中国侵略戦争を止める決定的な位置に、最前線基地化が進められている沖縄の闘いがあります。
  やっぱり新入生には一度、沖縄に来てほしい。昨年沖縄へ行くまで、僕は「防衛のためにはある程度軍事力を増強するのはしょうがないんじゃないか」「そのためには沖縄の基地も必要なんじゃないか」という立場でした。しかし当然、沖縄には人が住んでいて、戦争が始まったら犠牲になっていく。今、「敵基地攻撃能力」を持つミサイルを沖縄に配備すれば、再び沖縄戦のような犠牲が出ることが目に見えている中で、「防衛のためには必要」という意見がどれだけふざけたものなのかということを実感しました。沖縄―全国での反基地闘争・反戦闘争の爆発で基地も戦争もなくしたいと思います。
 中国侵略戦争―核戦争の要となる日本で、軍事基地化に対する沖縄の闘いは戦争を阻止する決定的な力です。
 つい先日、東京拘置所に閉じ込められている大坂正明さんに面会に行ったんですが、獄中から「沖縄闘争を爆発させてほしい」と訴えていることに感動し、絶対にこれに応えなければいけない、絶対に奪還するんだという思いが強まりました。1971年の渋谷暴動闘争は、絶対的に正義の闘いでした。今年の5・15沖縄闘争を突破口に、渋谷暴動闘争を超える闘いをつくり出していきたいと思います。
 池之端 大坂さんへの懲役20年の判決は、国家権力がいかに不正義かを明らかにしたと思います。証拠も自白もなく、でっち上げの供述調書だけで懲役20年という終身刑に近い判決が出ることに「これが国家権力か」と驚いたし、強い怒りを覚えました。
 小川 第2次世界大戦で日本では唯一地上戦が行われた沖縄の人々を、また戦争の惨禍にさらそうという攻撃に対して、人生をかけて闘った大坂さんを僕は本当に尊敬しています。大坂さんは一切に屈服することなく獄中で闘っている。絶対にこの闘いを無駄にはできないし、全力で沖縄闘争を闘いたいです。
 矢嶋 大坂さんへの反動判決は、沖縄闘争を絶対につぶすという国家意思であり、闘いを抑えつけるための見せしめの攻撃です。でも、みんなのような若い世代が大坂さんの存在を知って逆にこれに怒り「もっと闘おう」「大坂さんを奪還しよう」となっていることは敵の破綻でしかありません。この弾圧を団結に転化して沖縄闘争を爆発させていくことこそが、大坂さんを奪還し戦争を止める道です。

資本主義を根底から覆す時 小川 新入生の皆さんへ

 矢嶋 最後に、新入生へのメッセージをお願いします。
  本当に多くの学生に反戦運動に決起してほしいです。この闘いは、自分たちで社会を変えていく大きな展望を持っています。学べば学ぶほど、そして実力闘争をすればするほど社会への絶望や諦めが消えて、「自分たちが本当に社会を変えられるんだ」っていう自信や希望をつかんでいける。そこに楽しさもあります。僕も国家権力と対峙(たいじ)すればひるむし、日和るし、どうしようかな、みたいになるんだけど、帝国主義は決して盤石じゃないから闘えば勝てるとつかんできた。アメリカも日本も、ぼろぼろになりながら延命をかけて戦争に突進していっています。みんなが立ち上がれば倒せると確信しています。
 「若者の政治離れ」と言われていますが、僕の周りには今の日本はおかしいと考えている人はたくさんいます。でもそういう怒りが、既成の平和運動や連合のようなあり方に抑え込まれている。誰かにお願いするだとか議会を変えていくだとかいう、ある意味で「小さい」運動のあり方を乗り越えていける自分たちの闘いにみんな加わってほしいなと、すごく思っています。
 池之端 女子学生が先頭に立つことがすごく重要だと思っています。自分のように闘う女子学生をどんどん仲間にしていきたい。私もそうだったんですけど、世の中に絶望している女性がすごく多いと思っていて。自分も高校生のとき、「結婚とか出産とかしたら結局働けなくなっていくから、女に生まれて損だなあ」と思っていて、とにかく「男と同じだけの金を稼いでやる、それが一番いい人生だ」と思っていたんですけど、その先に女性の解放っていうのは絶対にない。闘いの中で、人を蹴落として抑圧する側になるところに、抑圧からの解放は絶対にないと気付きました。反戦・反差別・反権力、帝国主義打倒の闘いに立ち上がることが一番の人間解放なんです。京大闘争で女子学生が先頭に立っている姿に感動したので、自分も新入生の女性たちにとって、そういう存在でありたいです。
 自国帝国主義打倒の反戦闘争は、全世界の労働者階級と団結できる闘いです。帝国主義を打倒する反戦闘争は本当に「展望しかない」闘いだと思います。学生・青年の決起は全人民を動かします。新入生のみなさんといっしょに闘い、2024年の情勢を内乱に転化していきたいです。
 小川 世界戦争情勢が激化している中で、本当に「戦争か革命か」が問われています。資本主義を根底から覆して、労働者階級が社会の主人公として登場することによってしか戦争を止めることはできないし、そういう力を僕たちはもっています。
 10・7蜂起でどれだけの人が立ち上がってきたのか。連帯して闘えば必ず勝てるんです。日本革命はウクライナ戦争とガザ虐殺、それに中国侵略戦争を止める決定的な位置をもっています。僕たちの闘いは中国侵略戦争―世界戦争を止める決定的な闘いです。労働者階級を信頼し、ともに闘いに打って出ましょう。
 矢嶋 どうもありがとうございました。

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