核と原発に絶対反対貫く 3・11反原発福島行動発言

週刊『前進』05頁(3336号03面01)(2024/03/18)


核と原発に絶対反対貫く
 3・11反原発福島行動発言

(写真 470人が結集して、核と原発への怒りも新たに集会を勝ち取った【3月11日 福島市】)

(写真 核汚染水の放出やめろ 福島の街を意気高くデモ。沿道の市民も拍手で連帯)

主催者あいさつ
福島の怒り消すことはできない
 3・11反原発福島行動実行委員会共同代表 椎名千恵子さん

 私たちは3・11を外すことなく、反原発福島行動を絶対反対の立場で原則的に闘い続けてきた。今こそ、この立場性が重要です。
 3月7日、伊方原発の運転差し止め訴訟が棄却されました。能登半島の地震による原発危機の記憶も消えないのに、福島事故を忘れたかと憤っています。これは3・11をなきものにし、核戦争に向かおうとする岸田政権の国家意思です。しかし、福島の怒りを更地化することなどできません。今日の集会とデモを成功させ岸田を打倒しましょう。
 岸田は巨額裏金事件で追い詰められながら、2月19日に日本ウクライナ経済復興推進会議を初めて日本で開催し、「今日のウクライナは明日の東アジアだ」と主張しました。上川陽子外相は「率先してウクライナ戦争支援を」と強調しています。これは戦争が終わった後の「復興」ではなく、戦争中のウクライナで地雷や破壊されたインフラの復旧にあたり資本を投じるという、これまでとは次元の違う戦争行為そのものとしての会議です。
 その福島版とも言える福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)という構想があります。原発周辺で高線量の浜通りで進んでいる構想です。福島事故を金もうけに変えるわけです。県と国家権力と資本家たちが国家プロジェクトとして進めています。その拠点となる福島国際研究教育機構(F―REI)の開所式には岸田が出席しました。最先端技術を開発すると言っているが、これらは命より金の論理で進められてきた戦争国家体制の下支えになっていくのは火を見るよりも明らかです。「復興」という虚構にだまされるわけにはいかない。
 核武装が現実のものとなってきます。みなさんのここでの支援をもってこうした戦争情勢を止めていきましょう。

杉井医師が特別アピール
 福島診療所建設の原点・原則を貫く

 NAZEN呼びかけ人の杉井吉彦医師(国分寺・本町クリニック院長)から、「ふくしま共同診療所」の診療を終了する決断に至った理由と新たな闘いの決意が表明された。一部抜粋して掲載する。(編集局)
 東日本大震災と福島第一原発事故は福島県民の健康に深刻な影響を与え、特に小児甲状腺がんの多発は大きな問題となりました。
 2012年12月1日に設立された「ふくしま共同診療所」は、国や福島県立医大、民医連の医療機関が放射能被曝の影響を認めない現状を覆そうと、「避難・保養・医療」の原則を打ち出しました。「ふくしま共同診療所」は、福島市内外の避難者の甲状腺超音波検査を無料で行うと共に、全国各地で福島報告会を行いました。毎年の3・11福島行動実行委員会の一角を担い、「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・チェルノブイリ・フクシマを繰り返すな」のスローガンを生み出し、日本の反戦・反核・反原発運動を推進してきました。保養運動では、福島と全国をつなぐ重要な現地拠点となってきました。「被曝と帰還の強制反対署名」を呼びかけ、7万7千筆超を集めました。
 21年秋頃から、一部のメンバーが「幅広く」という口実で「避難・保養・医療」の原則を否定するようになりました。内部被曝を認めず福島での小児甲状腺がんの多発すら否定する団体とも、行動を共にするようになりました。昨年の汚染水海洋放出をめぐっては、「放出反対の一点での共闘」を主張して、甲状腺検診の中止を求める団体とも一緒に行動するようになりました。
 私たちは、岸田政権の戦争に向けた福島圧殺攻撃に屈服・転向してはなりません。今こそ「ふくしま共同診療所」運動の原則を堅持して、「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・チェルノブイリ・フクシマを繰り返すな」の闘いを強めていく必要があります。私は、今後も原則を曲げずに福島にかかわり続けます。

基調報告
岸田打倒し核戦争阻もう
3・11反原発福島行動実行委員会
 安斎則夫さん

 8・6暴処法弾圧は、反戦・反核・反原発のヒロシマとフクシマを圧殺する攻撃です。これを徹底弾劾し、反戦闘争のさらなる爆発で猛然と反撃しましょう。
 福島第一原発事故から13年、新たな世界戦争・核戦争に向かって情勢は急速に進んでいます。ウクライナ戦争では米欧諸国によって劣化ウラン弾が投入され、イスラエルの閣僚はガザの10・7蜂起直後に「核使用も選択肢」と語っています。米バイデン政権は中国を転覆させる侵略戦争に踏み切っています。
 中国侵略戦争に不可欠なのが日本の動員と参戦です。3・11福島の怒りを先頭とする反原発・反被曝の闘いは、人類全体を核の惨禍にさらす米日の中国侵略戦争・核戦争を阻止する闘いを第一の任務としなければなりません。今日の集会とデモをその新たな出発点として闘いとる決意です。
 岸田政権が福島圧殺のために仕掛けてきたのが、汚染水海洋放出の強行でした。3・11反原発福島行動実行委員会は、福島の怒りを体現してこの攻撃に立ち向かってきました。核の被害国から核の加害者へと一大転換を狙う岸田政権への怒りを燃やし、汚染水海洋放出阻止の闘いをさらに大きくつくり出しましょう。
 1月1日に発生した能登半島地震と津波は、3・11を思い起こさせました。もし志賀原発が稼働中なら、珠洲原発がもし建設されていたら、間違いなく「第二のフクシマ」が引き起こされていました。「能登半島地震は最後の警告」です。すべての原発を直ちに止めなければなりません。再稼働などもってのほかです。
 311子ども甲状腺がん裁判を闘う青年をはじめ、国と東電の責任を追及する福島の怒りと闘いは、絶えることなく力強く継続しています。あらためて3・11の原点に立ち、「全原発即時停止・再稼働阻止」「すべての原発をいますぐなくそう」の叫びを福島から全国・全世界に発し、戦争と核・原子力政策の全面推進に突き進む岸田打倒の闘いを福島から呼び起こさなければなりません。
 いまだに3万人に及ぶ人々が避難生活を余儀なくされている中で、被災地住民に新たな「被曝と帰還の強制」攻撃がかけられています。帰還困難区域を地図上から削除するために行うみせかけの「復興」、そのために被曝が強制される。一体どこまで福島を愚弄(ぐろう)するのか!
 「原発事故は終わった」として帰還を強制する福島圧殺のもくろみは破綻しています。福島の怒りは根底的です。岸田政権は福島の怒りを抑えつけることなどできないのです。
 3・11反原発闘争は「社会変革」を求める闘いとして開始されました。「命より金の社会を変えよう」と数百万のデモが闘われたのが「3・11」の原点でした。今こそ、その怒りを根底から解き放つときです。
 福島は帝国主義による核戦争、岸田政権の核武装を絶対に許さない。戦争のために原発の全面的再稼働にかじを切り、核燃サイクル推進へと突き進む岸田政権を打倒しよう。今年の3・11反原発福島行動はその新たな出発点です。福島の怒りと固く結び、闘い抜きましょう。

福島からの訴え
原発の時代必ず乗り越える決意
 希望の牧場・よしざわ代表 吉沢正巳さん

 被曝した牛を寿命まで飼い続け、原発の時代を必ず乗り越える決意で頑張っていきます。
 汚染水放出が今年もまた始まっています。東京電力の港湾内でクロソイから1万8千ベクレルのセシウムが検出されたとき、僕は自分たちで調べないとまずいんじゃないかと感じました。東電・国の情報というのは非常に疑わしい。情報統制、圧力は相当に効いていると思います。
 私たちは今、請戸海岸と双葉町の前田川で魚を釣り、東京大学の小豆川勝見助教に調べてもらっています。請戸海岸と請戸川河口にテント広場をつくり、追跡調査中のアピールをしています。これを福島県は妨害しています。
 福島県と漁協の検査はセシウムのみです。それだけで「安全だ、安心だ、みんなで食べよう」という大キャンペーンをやっています。県の漁業課・水産課を追及すると「国が決めたとおりにやっている」と言いますが、東電や国が福島の海や魚の安全を守っているわけではありません。僕は何回も県庁に押しかけて、「このまま汚染水放出を続ければ、どんどん海洋汚染が広がっていくだろう。福島県知事は何をやっているんだ」と街宣活動をしてきました。
 これからも私はテントを張りながら、確たる証拠をつかみたい。ひどい汚染の魚を僕たちの検査の実力で、必ず明らかにしていきたいと思っております。頑張ります。

反原発の闘いは戦争反対と一つ
 全国農民会議共同代表 鈴木光一郎さん

 世界的にまれにみる原発事故から13年が経ちました。赤ちゃんが生まれて中学生になるほどの年月です。放射能による重大な汚染はまだまだ続いています。まだ福島には、57品目の食べられないものがあるのです。生活に欠かせない食べ物を奪ってきたのが原発なんです。
 3月11日に牛乳が出荷できなくなり、私は牛乳を搾っては捨ててきました。その無念さは酪農家でないとわかりません。それが2カ月間続いたんですよ。原発は1回大きな事故を起こすと、重大な被害を人類・地域住民に与えるんです。
 そういった中で、東京電力は二つの重大な間違いを犯しました。第一に、福島第一原発の廃炉に従事している労働者が放射能汚染水をかぶってしまったんです。それは労働者のせいではなく、管理側の問題です。また、バルブの締め忘れによって汚染水が漏れ出す事故もありました。これも東京電力に責任があるのに、労働者に責任を転嫁したのです。
 また、ウクライナ戦争におけるザポリージャ原発の攻防戦にみられる通り、原発はまさに核そのものなんです。
 今、情勢は世界戦争に向かって進んでいる気がしてなりません。その意味で、反原発闘争は戦争に反対するということに必ず通じていることを確認しようではありませんか。
 私は農業に従事しながら、これからも頑張っていきたいと思います。

福島原発事故は終わっていない
 飯舘村 伊藤延由さん

 原発事故は終わっていない。原発事故は放射性物質で大地を汚(けが)した。13年経って、飯舘村長泥地区と長野県信濃町の土壌の汚染度を比べると、長泥は表面5㌢で3万6千ベクレル、信濃町は35ベクレルです。千倍以上の違いがある。大地はすべての生命の源です。その大地が汚されて300年経たないと元に戻らないのが原発事故です。
 トリチウムの海洋放出がなぜいけないか。トリチウムも放射線を出します。福島第一原発のトリチウム水は一次冷却水です。デブリと言われる燃料棒に直接触れている。だからALPS(多核種除去設備)を通さないと駄目なんです。世界中でALPSを通している原発なんて他にありません。
 また、国は除染で出た汚染土壌のうち、8千ベクレル以下のものを再利用しようと決めています。「21世紀最大の愚策」です。環境省が「みんなで被曝すれば恐くない」というのです。
 国が言うとおり、メディアが流す報道のとおり、生活するのは楽です。でも、それがもたらしたものは今目にしているとおりです。私は「自分の頭で考えてみませんか」と提案します。

汚染水海洋放出を絶対止めよう
 新地町漁民 小野春雄さん

 私は漁師として、トリチウム海洋放出に絶対反対の立場で(汚染水放出差止訴訟の)原告を代表して(公判で)裁判官に訴えました。
 海に流すことは大義名分がないんです。「今、調べて(基準値以上の放射性物質が)出ていない」というのは、ただチョコッと調べて出ていないのであって、私が心配しているのは、30年後、50年後にもし何かあったら、子々孫々に迷惑をかけるから、本当に今止めなかったらやっぱり後悔すると思いますので、今私は東電と国に訴えています。
 これはみんなの問題です。人間としてなんのために海に流すのか。海はゴミ箱じゃないんだし、流す必要もなかったんです。魚は声が出せないから、私は魚に恩恵を受けて漁師をしているから魚の代弁者として、魚には影響あると思うんですよ。処理したからと言っても、あくまでも汚染水は汚染水。今後にとてつもない悪い影響が出ると思いますよ。
 海は漁師だけのものでないから、みんなが海に流すことに全国民が反対するべきです。皆さんの力でこれを今からでも遅くないから、止めましょう。(ビデオメッセージ)

畜産農家の無念晴らすため闘う
 いわき市の和牛農家

 ゆうべ夜中に産気づいた牛がいまして、今朝まで寝ていません。
 原発事故から13年、あの日の衝撃は今も鮮明に残っています。13年前に牛舎の黒板に「原発さえなければ」と書き残して命を絶った畜産農家の無念を、私たちはいまだに晴らさずにおります。
 現在、全国の畜産農家は資材高、えさ高で大変厳しい状況です。私もゆうべ集計しましたところ、今年は完全に赤字です。消費税は還付していただくしかないと考えております。また、昨年10月から消費税のインボイス制度が始まりました。新NISAも始まりました。われわれ庶民から、根こそぎ小銭まで奪い取ろうとするやからを決して許すことはできません。
 岸田政権は先頃、食料・農業・農村基本法の改悪を決定しました。改定の内容は、私たち農家や消費者に寄り添うものではなく、戦争準備のためのものです。それもわれわれ農家がきちんと受けとめ、全国の消費者に訴えていきたいと思います。
 私たち福島の農家は三里塚・沖縄と固く結び、原発反対、戦争反対でこれからも闘っていきます。

8・6広島弾圧粉砕の訴え
弾圧をはね返し8・6大結集を
 広島県労組交流センター 代表 福井利明さん

 8・6ヒロシマ大行動は四半世紀にわたって反戦・反核集会を開き、原爆ドーム前の集会も10年以上にわたって毎年開催してきました。これを日本会議や在特会などの極右団体が、自らの核武装推進の本音を隠して妨害しています。
 そうした中で2月27日、広島市議会は「厳粛な平和記念式のために集会やデモを取り締まれ」という請願を採択しました。共産党も、この反戦反核運動への戦時弾圧に賛成すると表明したのです。
 その翌日、「暴力行為等処罰に関する法律」という戦前の治安法を持ち出して、広島県警が全国14カ所を家宅捜索、5人の仲間を不当逮捕しました。岸田政権が指揮を執り、松井広島市政、広島市議会、広島県警、右翼が一体となって行った不当弾圧です。
 事実は、右翼の妨害をはねのけて原爆ドーム前集会をやった過程で市の職員が転んだだけです。マスコミは取材もせず、集団で職員に暴行をはたらいたかのようなうそを報じています。
 私たちは連日のビラまきを行い、3月7日の勾留理由開示公判では傍聴席を満席にして仲間を激励しました。そして記者会見で緊急声明を発しました。
 この緊急声明への賛同と、弁護士費用のカンパにぜひ協力をお願いします。
 広島は国家権力に真っ向から闘ってきました。朝鮮戦争が始まった1950年、被爆者を先頭に非合法の集会を断固やりぬいたのです。岸田政権が新たな戦前、軍都広島を目指す中で、戦後的な広島のあり方を潰そうとしてきている。本日の集会・デモを断固やりぬき、国を挙げての弾圧をはねかえし、本年8月6日の集会・デモを例年通り原爆ドーム前で行い、それ以上の結集で断固かちとっていきましょう。
 私が属している自治労は、連合のもとでどちらに向かうのかが問われています。特に広島の自治労では、戦後より反戦平和が軸でした。これをなんとかつくっていきたいと思います。私はその先頭に立って頑張ります。

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