戦時入管体制への再編攻撃 難民排除の改悪法施行阻止 永住権を奪う再改悪粉砕を

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週刊『前進』05頁(3336号02面04)(2024/03/18)


戦時入管体制への再編攻撃
 難民排除の改悪法施行阻止
 永住権を奪う再改悪粉砕を


 中国を「仮想敵国」と名指しした日米共同軍事演習が強行され、沖縄では自衛隊基地が日々増強され、ミサイル配備が進んでいる。これらすべてが岸田政権が決断した中国侵略戦争参戦への動きだ。その一環として入管法・入管体制の戦時的再編とも言うべき攻撃が激化している。
 昨年に国会を包囲した怒りを逆なでして強行された改悪入管法の施行が迫る一方、さらに今国会で新たな入管法改悪が狙われている。3月7日、自民党の法務部合同会議は、技能実習制度に代わる「育成就労」創設に向けた「技能実習適正化法」と入管法改悪案を了承した。閣議決定を経て3月中にも国会に提出し、成立を目指すというのだ。
 人身売買さながらの前借金を背負って来日し、「技能実習」とは名ばかりの単純労働を強いられる技能実習生。職場でパワハラ・セクハラを受けても転職の自由もなく、過酷な労働の上に賃金不払いなどが横行している。頼みの監理団体も送り出し機関や受け入れ先と癒着しており、耐えられなければ失踪するしかない。現に2022年、当時30万人を超えた技能実習生のうち9千人が逃げ出している。
 この「現代の強制労働」制度が国際的にも批判を浴びる中、政府は有識者会議を設けて検討してきた。その最終報告(昨年11月)に基づいて登場したのが、「育成就労制度」だ。「外国人材の確保・育成」を目的に掲げ、就労期間3年を経て「特定技能」への移行をめざす。職場変更について最終報告では就労1年超で転籍可能だったものが、自民党の反対で「当面は就労開始1〜2年の範囲で転籍を制限する」となった。
 しかも、この「育成就労制度」をめぐって自民党からは「新制度によって永住につながる就労者が大幅に増えることが予想されるため、永住許可の制度の適正化を検討すること」が提言された。小泉龍司法相は「永住権許可後に公的義務を履行しない場合は、永住許可を取り消せるようにする。地方自治体から入管に通報できる制度も設ける」(2月20日記者会見)と断言した。
 特定技能制度は、人手不足が著しい建設・造船、自動車などの製造業、漁業・農業など12分野に外国人労働者を受け入れるとして2019年に始まった。「特定技能1号」は家族と共に日本で暮らすことも認めず、在留期間の最長5年が切れたら帰ってもらう。「2号」は条件を満たせば在留資格の更新、家族帯同もでき、将来は永住権申請も可能になる。自民党が言う「永住につながる就労者」とは2号を指す。しかし、当初、5年間で34万5千人の受け入れを見込んだ特定技能の労働者は、昨年12月末時点で1号が20万8425人、2号は37人にすぎない。今回も、特定技能の受け入れ上限枠を5年間で「82万人」と打ち出したが、マイナス要因ばかりの日本が外国人に「選ばれる国」であるはずがない。
 小泉が言う「公的義務を履行しない場合」とは、税金や社会保険料の滞納を指している。これは今後、日本帝国主義の侵略と植民地支配の生き証人である在日朝鮮人・中国人をもターゲットにしようという攻撃だ。在留カード制度が導入された2009年の改悪入管法附則に「『特別永住者』に準ずる永住者(旧植民地出身者)について……在留管理を検討」することが盛り込まれていた。つまり、この機に乗じて永住者、さらに特別永住者に対してすら「国益」を損なうなら永住権を奪い排除するという分断攻撃であり、絶対に許すことはできない。
 難民認定率がわずか5%(22年)の日本で、それでも生きるために難民申請を繰り返す人々に対し、3回目からは申請中であっても強制送還を可能にする改悪入管法の施行を絶対に阻止しなければならない。
 米欧各国をはじめ移民・難民への排斥が吹き荒れている。戦争を引き起こしながら難民・避難民に対する「人道支援」などそもそもペテンだ。「ガザ大虐殺やめろ!」と叫ぶ反戦闘争が世界を揺るがしている。在日外国人と連帯し、中国侵略戦争へと突き進む岸田政権を打倒する大反戦闘争に立とう。難民排除の改悪入管法施行を阻止しよう! 永住権はく奪を狙う入管法改悪攻撃と闘おう!
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