大軍拡予算の強行許すな 戦争・軍需に延命かける日帝資本
週刊『前進』05頁(3336号02面03)(2024/03/18)
大軍拡予算の強行許すな
戦争・軍需に延命かける日帝資本
岸田政権は大軍拡予算を年度内に成立させるため、3月2日、異例の土曜日審議を強行して予算案を衆院通過させた。断じて許せない。今国会には「経済安保上の重要情報」を漏らした場合に重罰を科す「経済安保情報保護・活用法案」や、地方自治を根本的に解体する地方自治法改悪案などの一連の戦争法案が提出されている。これらの攻撃の財政上の裏付けをなすものが国家予算だ。
戦争国会を労働者人民の怒りで粉砕し、戦争を阻止する大闘争を巻き起こそう。そのために大軍拡予算の中身を改めて暴露する。
24年度政府予算案には過去最大の7兆9496億円の防衛費が盛り込まれた。
支払いは後回しで大量の兵器を調達
岸田政権は22年12月に安保3文書を改定し、5年で43兆円の大軍拡を決めた。それまで年5兆円台だった防衛費を、27年度には約2倍の8兆9千億円に増やすことが、その前提になっている。43兆円とは、そこへの移行期に当たる23〜27年度に予算措置がとられる防衛費の総額だ。23年度以降、防衛予算は急増した。実際の防衛費は予算額にとどまらない。その後の年度でとられる予算措置を当てにして、つけで武器や装備を調達する後年度負担分があるからだ。24年度に新たに発生する後年度負担は7兆9076億円で、22年度と比べて3倍以上に膨らんだ。さらに、23年度以前に調達契約が結ばれたが、まだ支払いが済んでいない既定の後年度負担分も5兆8412億円に達する。(グラフ参照)
これらの支払いは25年度以降の予算に回される。今後、防衛費の爆発的な増大は避けられない。
安保3文書の改定に伴い、岸田政権は所得税の引き上げによる年約1兆円の増税などで防衛財源を確保すると決めた。だが昨年末、岸田は増税の開始時期を25年度以降に先送りし、逆に今年6月からの定額減税を打ち出した。大増税への労働者人民の怒りをかわさなければ、政権を維持できないからだ。
他方で、予算措置もないままに殺傷兵器の爆買いだけは強行する。その中身も12式地対艦ミサイルの配備やトマホークの取得など、敵基地攻撃能力の確保に踏み込むものだ。そのもとで南西諸島のミサイル基地化が急速に進んでいる。
戦争国会粉砕する闘い巻き起こそう
安保3文書の改定に先立ち22年11月に出された「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の報告書は、「あらゆる能力を国力としての防衛力という観点で総合的・一体的に利活用すべきだ」「防衛省・自衛隊などのニーズを踏まえ、関係府省が連携し、それらの予算が総合的な防衛体制の強化のために効果的に活用される仕組みとすることが重要だ」と述べている。防衛省だけでなく、全省庁の予算が戦争のために使われるべきだということだ。一般会計で総額112兆5717億円の24年度政府予算案は、この観点から策定されている。軍事費はひとたび拡大すればどこまでも膨張する。防衛省に設置された「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」の初会合で、座長の経団連元会長・榊原定征は、43兆円の軍拡予算について、物価高を踏まえさらに増額すべきだと発言した。同会議のメンバーには三菱重工会長の宮永俊一も加わっている。同社の23年度上半期の軍需部門の売上高は、前年同期比で約5倍の9994億円になった。資本は戦争と軍需に延命の道を求めている。岸田政権が昨年制定した防衛生産基盤強化法は、軍需産業を育成し、場合によってはそれを国有化すると定めた。
最大の財政破綻国の日帝がこんなことを強行すれば大増税は避けられない。行きつく先は誰も制御できない形で爆発する大恐慌だ。大軍拡予算を許さず戦争国会粉砕へ闘おう。