南西諸島で日米演習激化 再びの戦場化に住民の怒り拡大 EABOの訓練がますます本格化へ
週刊『前進』04頁(3335号03面02)(2024/03/11)
南西諸島で日米演習激化
再びの戦場化に住民の怒り拡大
EABOの訓練がますます本格化へ
2月25~3月17日までの予定で、日米共同演習「アイアンフィスト24」が実施されている。沖永良部島(鹿児島県)や陸上自衛隊相浦駐屯地(長崎県)、高遊原分屯地(熊本県)、米軍キャンプ・ハンセン(沖縄県)などを使い、「日米共同での水陸両用作戦に係る実動訓練」として陸自水陸機動団や海上自衛隊の輸送艦、米海軍・海兵隊が参加している。沖永良部島が日米共同訓練で使われるのは初めてだ。
アイアンフィストは2005年に米本土で始まった「離島奪還作戦」のための演習だ。後に水陸機動団に改編される西部方面普通科連隊(02年創設)が初回から一貫して参加し、昨年からは日本に場所を移し、徳之島(鹿児島県)や喜界島(同県)で実施された。まぎれもなく米海兵隊の中国侵略戦争構想=「遠征前進基地作戦」(EABO)を日米共同で実行するための訓練である。「沖縄戦の再来」を前提とした演習であり、絶対に許せない。
米軍はこの間、地元自治体や沖縄県が一貫して中止を求める中、嘉手納基地での降下訓練を3カ月連続で強行した。上陸強襲作戦は上陸部隊と一体で敵地内部にパラシュート部隊を降下させて敵を混乱させることが必須だ。米軍の横暴はアイアンフィスト24と一体のものなのである。
また2月26日、台湾有事を念頭とした先島諸島からの避難計画の原案が判明。九州各県と山口県に主に航空機を用いて約12万人を避難させるというものだが、避難先に沖縄本島が入っていない。「本島の戦場化」が想定されているからだ。
没落するアメリカ帝国主義は中国との戦争で予想される膨大な損害を見越し、自衛隊にその損害の一部を担わせようとしている。日本帝国主義もこれに主体的に参加することで帝国主義として延命しようとしている。前線に投入される自衛隊員、南西諸島をはじめとした労働者人民を犠牲にし、帝国主義の支配を維持するための戦争をやろうとしているのだ。
米艦寄港に全港湾がストライキ通告
中国侵略戦争に向けた米日帝の演習や基地の拡大は、その本質をむき出しにして住民無視の姿勢を強めている。それは人民の怒りを呼び起こし、歴史的な情勢の転換を起こしている。全日本港湾労働組合沖縄地方本部は、米海軍の駆逐艦が3月11~14日に石垣港に入港すると通告したことに対し、寄港すれば石垣港・那覇港・那覇新港ふ頭・浦添ふ頭で全面ストライキを行うことを通告した。
沖縄県うるま市での陸上自衛隊訓練場の新設問題(本紙第3332号既報)では、地域住民をはじめとした激しい怒りが議会や県知事すら動かし、防衛省が計画見直しを検討せざるを得なくなった。玉城デニー知事は衆院議員だった2012年3月、衆院安全保障委員会で「日米同盟の深化へ協力していく姿勢」「自衛隊のさらなる増強」を政府に求めた人物で、辺野古新基地問題で「基地反対派」のポーズをとりながらも、南西諸島での自衛隊増強は一貫して推進してきた。それが自衛隊の訓練場新設に反対したのは、「沖縄戦の再来」に対する住民の怒りと危機感の高まりを無視できなくなったからだ。ここに重大な情勢の転換がある。
沖縄の怒りと連帯し、中国侵略戦争―世界戦争阻止へ闘おう。