能登地震被災地から 噴出する岸田政権への怒り

週刊『前進』04頁(3333号02面05)(2024/02/26)


能登地震被災地から
 噴出する岸田政権への怒り

(写真 海岸が隆起し、磯が白く浮き上がっている。奥に見える丘は珠洲原発の建設予定地だった寺家地区)

(写真 トラックに支援の品を積み込み、届けに行く出口さん【写真左】)


 2月11日の国鉄集会に寄せられた、能登半島地震被災地からのメッセージを要約して掲載します。(編集局)

 今回の地震はマグニチュード7・6で阪神淡路大震災や熊本大地震を超え、港が最大4㍍も隆起する大地震でした。その被害は甚大で人命、家屋、生活を奪いました。
 地震は天災です! しかし、その後に襲ってきたのは人災です。「苛政(かせい)は虎より猛(たけ)し」と言います。岸田は、被災者に「最大20万円貸す」と言い放ち、旅行業者には「北陸応援割に104億円」と誇らしげに言っています。石川県知事の馳浩は大阪万博を応援しています。政府はサラ金業者になり下がり、知事はイベント屋に精を出しているのです。「こんなひどい政府聞いたことない」「知事は地元や被災者をどう思っているのか」と怒りが噴出しています。
 避難所ではいまだ水道が使えず、洗濯もできずトイレも使えません。他方で3月からは観光業者に「応援割」を実施、孤立集落などから避難した被災者を2月末にはホテルから追い出すというとんでもない事態が発生しています。
 近年は群発地震が続き、去年の5月にはマグニチュード6・5の地震がありました。去年の5月12日に開かれた「原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合」では「最大マグニチュード8・1が想定されている」という評価を下しています。私は北陸電力にそのことをただしましたが聞く耳を持ちませんでした。しかし、それが的中したのです!!
 停止中の2基の原子炉は、地盤が隆起して変圧器が破損し、オイルが流出、送電線は破断し電源は遮断されました。内部はどうなっているか全く不明のままです。モニタリングポストは次々と倒壊し用をなしません。にもかかわらず岸田は、原発再稼働、新増設をうたっています。
 今回の震源地の真上では珠洲原発建設計画がありましたが、地元の皆さんがスクラムを組み完全に撤回させました。もし建設されていたら、3・11の再来どころか日本には誰も住めなくなっていたでしょう。
 福島原発事故後の保養を支えてくれたのが珠洲原発反対闘争を担った方たちです。その人たちが例外なく被災しました。能登では誰一人として被災しなかった方はいません。とりわけ漁業関係者は真っ暗闇にたたきこまれています。能登半島沿岸の港はことごとく破壊され、港を新造しなければ出漁できません。そこで早くも「受益者が少ないのだから」とブレーキをかけてくるのは必至です。
 3月16日の北陸新幹線敦賀開業はとんでもない事態を生み出しています。日本海側の大動脈である北陸本線は米原〜敦賀間のローカル線になり下がります。並行在来線は廃止され、第三セクター化されます。沿線自治体は新幹線誘致に血道を上げ、在来線に対しては、いかにしてJR西日本からの譲渡条件を良くするかしか考えていません。
 その典型例は、城端線・氷見線をJR西で存続させるのではなく、既存の第三セクターに吸収合併させることです。能登半島の穴水〜輪島間及び穴水〜蛸島間は廃線、七尾〜穴水間は第三セクターの鉄道となっています。今後は枝線が順次切り捨てられることは必至です。その一方で、貨物列車輸送は北海道〜九州をつなぐ縦貫鉄道として軍事輸送のためにクローズアップされています。
 岸田政権は被災者を踏みにじり、自衛隊を前面に押し立てた戦時体制の構築をうちだし、地方切り捨てで被害を甚大化させた責任には一言も触れずに居直っています。被災地能登から「戦争国会粉砕・岸田打倒」ののろしを上げよう!(動労総連合北陸委員長・出口威)

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